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» 2019年01月11日 10時00分 公開

Office 365導入で混乱の嵐、収束させた“いとちゃん”て何者? (1/2)

人海戦術の業務を変えるため、積極的にIT化を進めるメタルワン。Office 365もその1つだが、従業員からは使い方の問い合わせが殺到した。解決策は「いとちゃん」だ。同社のチャットbotプロジェクト第2弾。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 「Microsoft Office 365」にRPA、チャットbot――大手鉄鋼総合商社のメタルワンは、業務効率を改善すべく2017年から次々とIT化を進めている。

 2003年に三菱商事と日商岩井(現、双日)の鉄鋼事業統合で生まれた同社だが、10年間で現場における業務の進め方に大きな変化はなく「人海戦術」が基本のままだったからだ。人件費は高止まりだ。このままではグローバルで戦えるだけの競争力を維持できなくなるかもしれない。現場業務の効率化と経営の可視化は急務だった。

 だが急激なIT化は、ITシステムの問い合わせ対応を行う部署の業務負荷を増大させた。Office 365の使い方をはじめとした似たような質問が何百件も寄せられる。「社内規程の問い合わせ対応の自動化に成功したチャットbotがヘルプデスク業務でも使えるのではないか」。同社の新たな挑戦が始まった。

問い合わせは月間700件超、4人のオペレーターがフル稼働

 メタルワンでは、社員から寄せられる質問に対して外部委託のコールセンターで対応していた。ITソリューション部 コミュニケーションインフラユニット 兼 システムユニット 主任の本田亜耶氏は「同じ部署から同じ内容の質問が何度も寄せられる状況に改善の必要性を感じていました。問い合わせは月間で平均700件にのぼり、Office 365導入時は最大で600件もの問い合わせが上乗せされました。4人の常勤オペレーターが対応しました」と振り返る。

メタルワン 本田亜耶氏 メタルワン 本田亜耶氏

 グループウェア上にマニュアルやFAQを用意し、いつでも参照できる環境を整えたもののコール数は減らなかった。ユーザー側で問題の切り分けが難しく、資料のどこを参照すべきかに悩んで電話を手にしてしまうのだ。

 同社では、数千ページにも及ぶ社内規程に関する問い合わせ業務を豆蔵の対話型AIエンジン(チャットbot)「MZbot」で自動化することに成功していた(関連記事参照)。本田氏が「ITインフラ関連の問い合わせ対応にもチャットbotが適用できるのではないか」と考えるのは自然な流れだった。

地道なチューニング作業が回答率改善に貢献する

 まずはチャットbotの対話ルールを既存のFAQを基にしてExcelシートにまとめた。加えて、社内規程用チャットbotを参考に、人為的なルールも準備した。例えば大項目に「Outlook」、中項目に「画面表示」、小項目に「電子メール」のように構造化して、関連するキーワードを1行に記す。こうして出来上がった数百行のデータをMZbotに読み込ませた。

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