特集
» 2018年12月28日 10時00分 公開

時間外労働削減、3企業の事例で理解する「仕組み化」のアプローチ (1/3)

いまや企業評価サイトでも重視される残業時間。へたをすると企業ブランドを損ねかねない問題だ。3企業の事例から、課題別に勤怠管理ルールを含む「仕組み」の作り方を見ていく。

[土肥正弘,ドキュメント工房]
オービックビジネスコンサルタント 津吉 沙織里氏

 企業評価サイトなどでも注目を集める「時間外労働時間削減」。取り組みの状況がランキングで評価されるほど、現在の就職・転職市場では重視される要素の1つだ。時間外労働の削減は、働き方改革法などのルールへの対策だけでなく、社員のモチベーション維持やよりよい人材を集める際にも効果を発揮する。企業にとっては無駄な残業時間を把握して生産性を高める意識作りにも役立つだろう。

 こうした取り組みを進める際は、スローガンやルールだけでなく、「仕組み」を作り上げて従業員の行動や意識付けを変える仕掛けが重要だ。本稿では1000社以上の企業で勤怠管理に起因する業務課題を見てきたOBC マーケティング部の津吉 沙織里氏の講演から、勤怠管理の課題について、3つの実在する企業の事例を「症例」として取り上げ、真因と解決策(処方箋)を紹介する。

本稿はOBC主催「奉行クラウドフォーラム2018」(10月12日)での津吉沙織里氏の講演を基に編集部が再構成している。


症例1:従業員が申告する残業時間の真贋が分からない企業

 症例1は「残業時間の適正把握に不安、従業員が残業時間を把握できていない」という、ある製造業のケースだ。従業員数は約200人、本社の他、3カ所の工場を持つ。

 従来の勤怠管理方法はどうだったかというと、始業時刻と終業時刻を紙の出勤簿で自己申告。勤怠締め日に出勤簿を回収してExcelで出勤時間や残業時間を計算。

紙の出勤簿、締め日以降にまとめて計算

 この手法の問題点として、津吉氏は次の点を指摘する。

 紙の出勤簿に自己申告制で管理していたために残業時間の記録の精度が疑わしいこと、次に毎日出勤簿に記入するのではなく、締め日近くにだいたいの就業時刻をまとめて記入する従業員がいても許容できてしまい、チェック機能がなかったこと。実態が把握できないだけでなく、実際よりも長い勤務時間を記入していないかどうかも疑わしかった。そもそも自己申告制は「労働時間の適正把握ガイドライン」(厚生労働省)で許されてはいるものの、例外的で客観性に欠けていることから会社側に問題意識があった。

 この他、締め日の後でなければ残業時間が分からないため、そもそも従業員の残業に対する意識が低かったことも問題だ。現場では取引先からの要請に応じて業務を行う状況も見られ、いつまでも働いてしまう環境になっていた。

処方箋

 ではこの状況をどう改善できるだろうか。

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