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» 2018年12月21日 10時00分 公開

RPAで失敗しない、“優等生ロボット”の育て方・付き合い方:「RPA、取りあえずやってみよう」はダメ、正しい開発プロセスとは? (1/3)

ユーザー部門自らが“取りあえず開発を始められる”ことが一つのメリットでもあるRPAだが、いつまでも考えなしに取りあえずやってみるだけでは、トラブルの絶えないロボが作られ続けることになってしまう。作り手の視点や、ちょっとした前準備が、現場で役立つ優秀なロボット開発につながるのだ。RPA開発の正しいステップとは何か――現場のユーザーでもできることを紹介する。

[樋口 匡, 浜村佳史,SHIFT]

著者紹介:樋口 匡

SHIFT ビジネストランスフォーメーション事業本部 エンタープライズビジネスユニット 金融第2グループ プリンシパル

大手SIerで、金融機関に向けた構想策定、要件定義、設計、テストまで一連の開発業務を経験。電子マネーの新規事業構築にも従事。その後、外資系大手コンサルティング会社において、金融機関のIT戦略/投資立案、IT構想策定、IT導入支援(PMO/テスト戦略など)など、多数のプロジェクトをシニアマネジャーとしてけん引する。また、IT投資フレームワーク構築などにも従事。SHIFTでは、複数の金融系プロジェクトの統括責任者としてコンサルティング業務を行い、RPA/BPM新規事業構築、方法論構築にも精力的に取り組む。

著者紹介:浜村佳史

SHIFT ビジネストランスフォーメーション事業本部 技術推進部 RPA推進グループ

大手通信会社にて、通信インフラの設計・運用に関わるシステム開発プロジェクトにコンサルタントとして参画。システムの構想策定から要件定義、設計、テストまで一連の開発業務を経験。国内において、RPAという概念の認知・普及が広がる10年以上前から、UI操作による既存システムの自動化、メール連動業務の自動化など、現場の業務改善活動に関わる多くの取り組みを手掛ける。SHIFTでは、企業の業務プロセス改善およびRPAロボの品質向上に向けた支援業務に注力している。

 前回は、RPAロボット(以下、ロボ)が止まってしまう“ロボトラブル”の原因とその対策を説明した。RPAを開発する際に、業務を知っているユーザーの視点と、システムに詳しいシステム担当者の視点のどちらか一方でも欠ければ、トラブルの絶えないロボができてしまう。今回は、ロボトラブルの発生を予防し、RPAの導入で狙った投資対効果(ROI)を出すために、品質やコスト、時間を意識した正しい開発プロセスについて解説する。

1.「ロボの開発コストがかかる!」「ロボが止まる!」良くある現場の悩み

 ロボの開発は、「システム部門主導型」と「ユーザー部門主導型」の2パターンの体制で行うことが多い。企業の方針や、開発の規模に従って主導する部門は異なるが、それぞれ一長一短で課題がある。

 システム部門主導型は、システム部門またはシステム部門から発注を受けた開発ベンダーがロボ開発を行うパターンだ。ロボ化の範囲が大規模または複雑な場合に多く採用される。課題として、プロジェクトが重厚長大になり、コストや時間がかかる。

 一方、ユーザー部門主導型は、ユーザー部門が主体となり、ロボ開発を行うパターンだ。「取りあえずやってみよう」と小規模にRPA導入を始めた場合に多い。開発が場当たり的になりがちで、ロボットの品質が悪くなりやすいという課題がある。

図1 システム部門主導型 図1 システム部門主導型
図2 ユーザー部門主導型 図2 ユーザー部門主導型

2.ロボの望ましい開発プロセスとは

 SHIFTは、ロボの業務設計および開発の各プロセスに、システム部門と現場のユーザー部門が参加し、タスクの完了状況を確認し合いながら進める手法を推奨している。

 ロボ開発の体制は企業によって異なるが、両部門の視点をロボ開発に取り入れることで、開発のやり直しといった無駄を防げる。また、両部門が関わることで、業務特性への考慮とシステムとしての構造整理が両立し、運用・保守フェーズでメンテナンスもしやすい。

図3 ロボの設計/開発工程における標準開発プロセス 図3 ロボの設計/開発工程における標準開発プロセス

 図3は、業務設計とロボ開発のプロセスを示した図だ。開発の規模や複雑度によってカスタマイズが必要だが、基本形として捉えていただきたい。次項では、図3における赤枠内の業務設計および開発プロセスで押さえるべきポイントを説明する。ロボ開発をシステム部門またはユーザー部門の双方で臨むことを意識しながら、これから紹介する開発のコツを実践してほしい。

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