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» 2018年11月26日 08時00分 公開

エバンジェリストが教える、RPA成功の絶対条件:「RPAは簡単に作れる」に潜む落とし穴、回避の心得とは? (1/2)

RPAの運用が予想以上に重労働だ、夜間や休日にロボットが止まって仕事にならない――今回は、RPAの“こんなはずじゃなかった”を回避する2つのポイントをご紹介します。多くの企業が重視するRPAのある機能が、運用を複雑化することはご存じない方も多いのではないでしょうか。

[志村裕司,Blue Prism]

著者紹介:志村裕司

Blue Prism ソリューションコンサルティング部長

野村総合研究所、セールスフォース・ドットコム、Box JapanといったIT企業で活躍後、Blue Prismに入社し、日本ビジネスの立ち上げメンバーとして尽力。プリセールス活動を中心に、導入プロジェクトへの参画やイベントでの講演も数多く務める。

 こんにちは、Blue Prismの志村です。前回はエンタープライズRPAの導入と運用が成功した場合のメリットをご紹介しました。大きな成果を得るためには全社的な自動化の取り組みが必須であるという私の説明に対して、「日本企業は現場主義、縦割り、ボトムアップの文化なので、実際のところそれは難しいのでは?」というお声をいただきましたが、決してそんなことはありません。

 例えば、幾つかの部門で個別にデスクトップ型のRPAツールを導入しているために、業務全体のプロセスではなく単なる一作業の自動化しか実現できないと悩む企業が増えています。こうしたケースでは、社内にロボットが乱立し、ロボットの一元管理ができていないことで内部統制上の課題を抱えていることも珍しくありません。最近では、状況を打破するために、経営企画部やIT戦略部といった組織横断の部門で提案をまとめて経営層から承認と予算を獲得し、全社的なプロジェクトとしてRPAに取り組む日本企業が増えていると感じます。

 特に日本はこれから労働人口の減少が一気に進んでいきますので、企業が生き残るためにも業務の自動化というのは必ず取り組まなければいけないテーマになります。もしかしたら、経営層はあなたの提言を待っているかもしれません。

TCO/ROIに影響する「拡張性」と「耐障害性」

 さて今回は、RPA導入時の製品選定に必要な視点である「拡張性」「耐障害性」についてご紹介します。全社的な自動化の取り組みであるエンタープライズRPAを成功させるには、この「拡張性」と「耐障害性」を欠かすことはできません。

 ここでいう拡張性とは、「いかに効率的にデジタルワーカーの数を増やしていけるか?」という観点を指します。デジタルワーカーは、業務プロセスや操作対象のシステムが変更される度に修正が必要ですが、数を増やせば増やすほど、それに比例して運用・保守の工数が上がってしまうようでは、全社規模での導入は難しくなります。

 日本の企業は導入時にこの視点が抜けがちで「業務部門のユーザーでもいかに簡単にロボットを開発できるか?」ということばかりを重視するため、いざ自動化の対象を広げようとしたときに拡張性の問題に直面する例が後を絶ちません。

 一方、RPAの文脈でいう耐障害性は、RPAの文脈では、インフラ面で冗長構成を組むことによりミッションクリティカルな業務にも対応できるという意味だけでなく、それ以上に、自動化したプロセスが途中で止まらずに最後まで実行できる能力のことを指します。

 例えば、100件の請求書データを社内システムに登録する業務の場合、51件目がエラーデータだったためにプロセスが止まってしまい、人が対応しなければ再始動できないようでは、夜間や休日にスケジュールを組んで実行を任せることはとてもできません。しかし、エラーデータなどが原因で自動化のプロセスが止まってしまうケースは、実は珍しいことではないのです。

悪しきレコーディング信仰

 拡張性を確保する際に、落とし穴となりやすいのが「レコーディング」です。以下では、ロボット開発のトレーニングを最小限にして手っ取り早くRPAを導入したい欲求にかられ、レコーディング機能を必須と考えることがいかに危険であるかを説明したいと思います。

 レコーディングとは、人間がPCで行った操作を、そのまま自動化のシナリオとして再現する手法です。レコーディング機能を使えば、録画ボタンをクリックするだけで自動化のシナリオを作成できるため、業務にすぐ適用できるメリットはあるのですが、適用範囲を広げるときに課題が顕在化してきます。

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