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» 2018年11月14日 10時00分 公開

RPAで失敗しない、“優等生ロボット”の育て方・付き合い方:壁だらけのロボット展開、RPAに求めるべき品質ってなに? 後編 (1/3)

ロボットが停止し、事業運営に影響を与える事故に発展した――RPA導入企業でこうした出来事が多発している。トラブルのないRPAを目指すなら、推進の各フェーズで必ず実践すべきことがある。

[菅 仁,SHIFT]

著者紹介:菅 仁(すが ただし)

SHIFT ビジネストランスフォーメーション事業本部 技術推進部 RPA推進グループ グループ長

大手電機メーカーで半導体検査装置の開発に従事。エンジニアとして装置の品質向上に取り組むとともに、開発プロセス改善にも尽力。その後、製造業を主要顧客とするコンサルティング会社で、多くの企業の企業価値向上および業務効率化に向けた業務支援に取り組む。SHIFTでは、エンタープライズ領域の大型プロジェクトを中心に、ソフトウェアの品質保証業務に関わるサービス開発を担当。現在は、RPA推進を専門とする部門の責任者としてRPAの導入から運用まで、企業が抱えるさまざまな課題の改善、RPAロボットの品質保証業務に注力している。共著として「開発力白書 2012(株式会社iTiDコンサルティング)」がある。

 ITリテラシーが高くない現場でもRPAの開発や運用を成功させるにはどうしたらよいのか――連載1回目の前回は、RPAを横展開する際に起きがちなトラブルから、高品質なRPAとは何かを説明した。今回は、これを実現するために各フェーズで留意すべき点を紹介する。

RPAの品質を高めるための推進方法

 RPA導入は、シンプルに「企画」「設計・開発・テスト」「運用」の3つのステップに分けられる(図1)。以下の手順とポイントを実践することで、前回説明した「高品質なRPA」の実現が可能になる。

図1 RPA推進の3ステップとゴール 図1 RPA推進の3ステップとゴール

1.企画

 1つ目の企画のステップでは、業務プロセスにおける人とロボの適切な業務分担計画をまとめる。具体的な手順は以下の通りだ。

(1)RPAの適用対象業務を決める

 業務プロセス全体を俯瞰し、ITシステム、人、ロボがどの業務を受け持てば最も効率的な業務フローを実現できるのかを再構成する。これはBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)と呼ばれる。BPRによってロボが担当する業務範囲を決定したら、ロボの業務や状況を把握できるようにロボの台帳管理を開始するとよい。ロボの台帳は「対象のロボ名」「作業内容」「連携するシステム名」「インプット・アウトプットすべきデータ」などを記載する。その後、運用の際に「稼働したタイミング」「設定どおりに動いていたか」「ロボのメンテナンス記録」などを随時更新する。

(2)RPA導入による投資対効果(ROI)の予測値を算出する

  • RPA化により、人のルーティン作業がどのくらい減るか

 対象となる作業を、全て人の手で行った場合の作業頻度や時間を整理し、RPA導入によるROIの予測値を算出する。ロボの開発や保守費用、ライセンス料やサーバ維持にかかる費用を考慮することも重要だ。

  • RPA化により人の生産性がどのくらい増えるのか

 RPAにおけるROIは、時間やコストなどの定量的な軸で判断されることが多い。しかし、実際にはRPA化によって人がどれだけ付加価値業務に集中できるようになり、従業員の意識改革や組織風土改革、働き方改革につながるかという定性的な軸も重要だ。特に、経営層や現場層が一体となってRPAを推進し展開する際には、付加価値の高い業務に集中できている度合いや改革の状況を可視化し、共有したい。

(3)RPA化すべき業務の順番やスケジュールを決め、運営体制を決定する

 RPA化すべき業務は、(2)で説明した予測値や可視化の結果を基に、ROIが高い順に進めるとよい。定期的な報告会で進捗や効果を把握できるようにスケジュールを引くことで、組織全体としてRPA化の停滞を防げる。また、RPA化を行う業務ごとに、ユーザー部門の担当者、開発担当者、運用保守担当者を定めるとよい。規模が小さいうちは少人数体制で対応できるが、RPAを社内で展開する際には、デジタル部などの専任組織の導入が必要ということも考えておきたい。

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