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» 2018年09月18日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:AIが学生を審査? “採用”に踏み込む最新のAIサービス (1/4)

機械学習や深層学習といったAI技術を採用に活用するケースが増えてきた。本来は、人が担うべき領域と考えられていた採用活動になぜいまAI(人工知能)が乗り出しているのか。具体的なサービスとともに紹介する。エントリーシートの審査や一次面接にとって代わるようなサービスや、AIが自社で活躍できるポスト「ハイパフォーマー」を探し出すサービスもある。

[吉村哲樹,オフィスティーワイ]

 ここ数年、AI(人工知能)が採用選考の一部を担う動きが増えてきた。17年にヒューマノイド「Pepper」が面接を行うサービスが注目を集めたことは記憶に新しい。

 こうしたサービスは、最新のテクノロジーによって、人事業務に新しい価値をもたらそうという「HRテック」の領域に位置付けられる。「HRテック」という言葉自体は以前から存在していたが、ここ1年で何度目かのブームを迎え、とりわけ「採用」の分野でAI技術を活用した斬新なサービスが次々と脚光を浴びている。これらを実際に導入したりする企業も増え、成果を出すケースも登場している。従来、機械に任せられない、あるいは任せたくないという傾向の強かった「採用」の領域に、なぜAI技術による「HRテック」を活用しようという機運が高まっているのか。

 技術的な観点からいえば、企業には採用のIT化に必要な人事データが豊富に蓄積されており、AI技術を活用するための材料を調達しやすいことが挙げられる。しかし、それだけでは採用における「AIブーム」を説明することはできない。背景には企業の抱える深刻な課題があった。

何万通ものエントリーシートをさばけない……採用業務の自動化・省力化のため

 企業は採用活動にHRテックを活用して、どのような効果を得ようとしているのか。1つは、採用業務の省力化だ。企業においては、採用業務に掛かる負荷が年々高まり、人手で回すことが困難であるケースも出てきた。「一人採用担当」が、採用活動において多忙を極めるという姿もめずらしくはない。その背景には、新卒の就職活動が就職活動支援サイトの利用によってシステム化され、1人の学生が数多くの企業に対して簡単にエントリーできるようなった事情がある。かつて、紙の履歴書や書類を1枚1枚手で記入し、応募先企業に郵送していた時代は、自ずと1人の就活生が応募できる企業の数にも限りがあった。しかし今日では、就職活動支援サイトを通じて容易に複数の企業に応募できる。

 これによって、応募を受け付ける企業には膨大な数のエントリーシートが押し寄せるようになった。特に多くの学生の応募が集中する人気企業には、数万のエントリーシートが送付されるため、採用担当はその審査に多くの時間を割かなければならない。そこで、ITの力を借りて少しでも負荷を軽減し、採用活動の企画や学生に対してのケアなど、本来行うべき業務により注力できるよう、HRテックに注目する企業が増えてきているのだ。

好みで判断していないか……人事のバイアスを取り除くために

 HRテックの本来の価値は、省力化や自動化だけにあるのではない。自社にマッチした人材の確保も目的になる。これまで人手で行われてきた書類審査や面接は、評価者の裁量に一任されることが多く、その信頼性や公平性には疑問が呈されてきた。事実、「出身大学が同じだから」「何となく話が合うから」「付き合いが長いから」といった理由で採用が決まるケースは少なくない。AIの導入には、こうした属人的で信頼性に欠ける採用基準を廃し、客観的なデータに基づく公平な評価を可能にするという期待が持たれている。

学生が来ない……地方企業や中小企業の人材確保策として

 今後、少子高齢化に拍車が掛かる日本において、若くて優秀な労働力を確保することはどの企業にとってもますます困難になっている状況だ。

 大企業はもちろんのこと、人材の確保に苦労してきた中堅・中小企業や地方の企業にとって、今後人材の確保は死活問題になりかねない。そこでHRテックを導入し、自社の人材獲得施策にテコを入れ、将来の成長の糧となる優秀な人材を確保できる仕組みを構築しようというわけだ。

 こうした目的を達成するため、具体的にどのようなサービスがあるのか。以降では、企業の採用活動のフェーズごとに活用できる、AI技術を使ったHRテックのサービスの概要を紹介したい。

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