特集
» 2018年07月30日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:ツール選定の失敗、運用の挫折 RPAの落とし穴を避ける方法 (1/3)

RPAを導入し、全社展開に取り組むものの思ったような効果を得られない。これからRPAの全社展開を目指す企業が、必ず押さえて欲しい項目を紹介する。

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 メガバンクの取り組みを皮切りに、RPAのブームが巻き起こった2017年には業種や規模を問わず多くの企業がRPAの導入に着手し、情報収集やPoCを行った。そうした企業は現在、全社展開に向けて取り組みを進めているが、中には思ったような成果を出せない企業もあるようだ。今回は企業のRPA導入を指揮するベンダーやコンサルティング会社に、RPAの落とし穴とその回避方法を聞いた。

RPAの認識不足は失望を招く

 導入企業の中で、RPAへの失望感があるとすれば、その原因の1つはRPAへの認識がずれていることにあるという。

 RPAは「デジタルレイバー」と呼ばれ、人間がPC上で行う作業を代替する仮想従業員に例えられる。その本質は従来の業務システムの導入とは異なる。

 周知の通り業務システムは、カスタマイズやスクラッチ開発により数カ月から1年以上の期間をかけて作り込む。構築時点で想定された目的・用途で常に安定して動くというメリットがある一方で、変化するビジネス事情に追随し、エンドユーザーのさまざまな個別ニーズに対応するのは難しい。

 そこで、費用対効果などの問題から業務システムではカバーできない部分を、担当者自身がExcelなどを駆使して埋める必要がある。その作業に含まれる単調なコピー&ペーストや集計などの定型作業をロボットに任せ、人間はより付加価値の高い仕事をしようというのがRPA本来のコンセプトだ。

 図1はシステム開発とRPAの違いを簡単に示すイメージ図だ。RPAは、システム開発(SI)とはスコープや目的が違う。現時点ではあくまで業務プロセスを局所的に改善するツールであり、現場の業務効率化やミス発生防止、リソース不足解消を目的とするものであり、短いサイクルでトライ&エラーを回して改善できることがメリットだ。このコンセプトをはき違えると、必要以上にプロジェクトを長期化させたり、効果の出ない業務を選定したりといった失敗を招く。

システム開発(SI)とRPAの違い 図1 システム開発(SI)とRPAの違い(出典:ビッグツリー テクノロジー&コンサルティング)

 以降では、具体的にRPA導入で失敗しやすいポイントを紹介しよう。

業務選定の失敗

 RPA導入でまず失敗しやすい点として挙げられるのが、業務選定だ。RPAによる自動化に適さない業務を選定すると、思ったような費用対効果が得られないという失敗につながる。業務を選ぶ際には、次のポイントを押さえておくべきだ。

(1)現場の人の仕事がラクになる業務を選ぶ

(2)業務プロセスの全体ではなく一部の人手作業を自動化するものであることを理解する

(3)例外の発生しにくい作業に適用する

 まず(1)に関して。投資対効果を上げるには、多くの人が長時間行っているボリュームの大きい業務を選ぶだけではなく、継続的にRPAによる自動化をスケールさせ、小さくてもさまざまな業務の人手作業をつぶすことも肝心だ。

 そのために、まずは成功例を作り、従業員の口コミによってRPAが他部署に展開するシナリオがベスト。社員のモチベーションを上げ、RPAが無理なく展開するように、人手作業が業務全体のボトルネックとなっている部分を探し出し「現場の人の仕事がラクになる」業務を選びたい。参考として、社員に簡単なアンケートを募るケースもある。

 また一部の人手作業に適用するという(2)のポイントも注意点としてよく語られる。業務プロセス全体をカバーするロボット化を企図すると、動作を定義するシナリオが複雑になり、一部を直すと全体のテストが必要になり、工数増加のもとになる。結果、作成や運用の途中で挫折する可能性が高い。自動化の際には、業務プロセスの中でもRPAを作成、管理しやすい一部の作業を選ぶべきだ。

 例外が発生しにくい業務を選ぶという(3)のポイントも重要。RPAは定義されたこと以外はできず、フローの途中で例外があった場合には、エラーを起こして止まるか、間違いを繰り返し続ける。例外の発生しにくい作業のみをロボットに任せ、それ以外は無理に自動化せず人に任せ続けるという判断が必要だ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。