特集
» 2018年07月02日 10時00分 公開

事例で学ぶ!業務改善のヒント:Sansanの全従業員がミッションに向かい続けるためのツールとは? (1/4)

Googleも活用する目標管理の仕組み「OKR」をSansanが採用した。さらにOKRの仕組みを最大限に生かすツールの活用も進めている。急成長する同社を支える仕組みだというが、その効果とは?

[白谷輝英,伝]

 全従業員が顔を合わせて働く小規模な企業なら、組織との一体感は得やすい。また、従業員と組織との間に方向性の違いが生じても、すぐに対策が打てるだろう。ところが、企業規模が拡大して従業員数が増えると、組織と個人の目指すべきものをすり合わせることは難しい。

 名刺サービスを契機に急成長を遂げているSansanもこうした課題を抱えていた。全社のミッション達成に向けて従業員が尽力する社風がある一方で、自分のやるべきことが会社のミッションに貢献しているのか分からずエンジニアから「これは何のために作っているのか」という疑問が上がることもあったという。

 同社では、この問題に対処すべく「OKR」という仕組みを採用した。OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、Objective(目的=なりたい姿や目指すべきゴール)と、それを実現するためのKey Results(カギとなる結果=目的実現の達成度を測る指標など)を決めることで、各社員が取り組むべきことを明確にする考え方のこと。Googleも採用する目標管理フレームワークだ。さらにOKRの仕組みを最大限に生かすツールの活用も進めている。今回はSansanの導入事例を通じ、OKRの効果を探ってみよう。急成長中の企業の従業員が、どのような目標を掲げているか、どのようなツールで意識を共有しているのか気になる人も必見だ。

「ミッションドリブンな組織」SansanにマッチしたOKRの仕組み

Sansan 宍倉功一氏 Sansan 宍倉功一氏

 Sansanは、名刺情報をデータベース化して営業活動や人脈構築などに役立てるクラウドサービスを展開する企業。法人向けサービスの「Sansan」と個人向けの「Eight」は認知度が高く、読者の中にも利用している人が多いだろう。前者のSansanに関しては、2018年の6月時点で導入企業が7000社を突破し、2年後には1万社という目標を掲げる。設立は2007年だが、現在の従業員数はすでに約400人。その成長ぶりは、目を見張るほどだ。

 同社が掲げるミッションは、「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というもの。名刺管理サービスを通じて人と人がつながりやすくなる仕組みを提供し、出会うべき人が出会う世界を作るという方針を打ち出す。

 「企業のミッションを達成するためにはどうすべきかを全社員が考え、一丸となって行動する風土が根付いています」と語るのは、Vice President of Engineering(マネジメント責任者)を務める宍倉功一氏だ。

 「当社はいわば『ミッションドリブンな組織』。社員全員が、ミッションを果たそうという意識が高い企業です。個人が目指すべき目標をより明確にするため、当社では以前、『MBO(Management by Object)』という手法を取り入れました。これはメンバーごとに個人目標を設定し、達成度を自ら管理することで組織全体の成果を高めようとする方法です。ところが、個人の実績を数字で測りやすい営業部門では有効に作用する一方、エンジニアやデザイナーなど、チームでものづくりに取り組む部署には合わず、納得感が得られないという意見が多く出たのです。そこで2015年ごろから、OKRへの切り替えを図りました」(宍倉功一氏)

 OKRは、最初に企業が目指すべき「Objective」(以下、単に「目標」と呼ぶ)を定め、さらに、部門ごとの目標へと細分化する。そして、それらの達成を目指す際に指標となる「Key Results」(以下「キーリザルト」)を設定して進捗状況を管理することで、企業のパフォーマンスを高めようとする考え方だ(図1)各部門、あるいは個人の目標が、会社全体の目標とリンクする仕組みだといえる。

OKRの仕組み 図1 OKRの仕組み(出典:https://resily.com/blog/method-to-achieve-goals-with-okr/)

 もともと「ミッションドリブンな組織」だったSansanにとって、全社のミッションを各部門に落とし込んでいくOKRの考え方は親しみやすかったのだろう。それが、SansanがMBOからOKRに切り替えた理由だった。

 ところが、OKRの導入は決してスムーズには進まなかった。壁として立ちはだかっていたのが、目標やキーリザルトを共有するための工数だ。当初は、決定した目標やキーリザルトをパワーポイントで図表化して共有。また、キーリザルトの進捗状況はスプレッドシートで管理していた。バラバラなツールを使っていたために利便性は高くなく、社員にもなかなか浸透しなかったという。そのためか、同じ目標を社員全員で共有できているという実感も薄かった。

 ターニングポイントが訪れたのは、2017年末のこと。Resilyが提供するクラウドOKRサービスの「Resily」を導入したことで、状況は劇的に変わったのだ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

会員登録(無料)

ホワイトペーパーや技術資料、導入事例など、IT導入の課題解決に役立つ資料を簡単に入手できます。