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» 2018年05月30日 10時00分 公開

すご腕アナリスト市場予測:BPOサービスがテクノロジーに傾倒するワケとは? (1/5)

深刻な人手不足で企業から注目されるBPOサービスだが、もはや人海戦術では生き残れない。そんなBPOの動向を徹底解説する。

[吉井 誠一郎,IDC Japan]

アナリストプロフィール

吉井 誠一郎(Seiichiro Yoshii):IDC Japan シニアマーケットアナリスト

国内ITサービス市場およびBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などのビジネスサービス市場を担当。市場の全体動向や主要ベンダーの海外進出戦略、ユーザー動向などの調査、分析を行う。IDC Japan入社前は、外資系、国内のベンダーおよびユーザー企業で、オフショアを含むグローバルプロジェクトのプロジェクトマネージャーを長年にわたり務めた。他に営業、データモデリングによる業務分析、グローバル・アライアンスなど、IT業界にて20年以上の経験を有する。


 労働人口の減少によって深刻な人手不足が叫ばれている今、企業は社内の業務を外部に委託し、自社のコア業務に人材や資源を集中させる必要がある。そこで重宝するのが、外部にて業務支援してくれるBPO(Business Process Outsourcing)サービスだろう。クラウドコンピューティングが企業に広がる中で、手軽にサービスを受けることが可能なBPOサービスも増えている状況にある。そんなBPOサービスの中でも、今回はバックオフィス業務におけるBPOサービスについて詳しく見ていこう。

日本におけるBPOサービス市場予測

 社内で行ってきた業務を外部に委託するBPOサービスは、既に1980年代から北米や欧州を中心に多くの企業で取り入れられ、積極的に活用されてきたことはよくご存じの通りだろう。日本の場合は、主には財務、経理業務やコールセンター業務などを中心に古くから利用されてきたが、今では人事や総務、知財、法務、情報システムといった支援業務から、購買調達や営業、マーケティングといった直接業務に至る幅広い分野の業務プロセスがBPOサービスの対象となっている。

 その中でもIDCでは、「人事」「カスタマーケア」「財務/経理」「調達/購買」の4つの分野を中心にBPOサービスを調査しており、これら4業務を主要共通業務機能として位置付けている。これら主要共通業務機能に向けたBPOサービスは多くのベンダーから提供されており、多くの企業から積極的に採用されている状況にある。

 これらBPOサービス市場を概観すると、2017年度の同市場は前年比4.7%増の7346億円となり、2017年〜2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.6%、2022年の同市場規模は8769億円と予測している。

国内ビジネスプロセスアウトソーシング 図1 国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場 支出額予測(出典:IDC Japan)

 急激な成長は見込めない面もあるが、2022年まで支出額は着実に伸びていくことが予測され、堅調な成長を続けていく市場であることは間違いない。特に、AIやRPAなど新しいテクノロジーの普及やBPOサービスの位置付けの変化によって、従来は人力によるアナログ的な手法で受託してきたBPOベンダー側にも、テクノロジーを駆使することで従来にはない新たな手法によるアプローチが今後も求められてくることだろう。

企業におけるBPOサービス利用の背景

 BPOサービスが多くの企業で利用されている背景には、やはり人材不足が大きな課題となっていることがある。企業規模や業種業態を問わず、日本では人手が絶対的に足りていないのが実態だ。

 厚生労働省が2018年1月に発表した2017年平均の有効求人倍率は1.50倍となっており、8年連続上昇しているだけでなく、過去最高だった1973年の1.76倍に次いで44年ぶりの高水準にある。景気回復によって企業の採用意欲が高まっているものの、労働人口の減少も相まって人手不足を招いているわけだ。

 その結果、限られた経営資源となる人材を最適な形で配置する必要があり、結果として直接利益を生み出す領域に人的資源を振り向けていかざるを得ない。だからこそ、バックオフィス業務を中心とした間接部門の業務を外部にアウトソーシングする動きが活発になってくることになる。

 また、IDCが調査している主要共通業務機能である4つの業務は、バブル崩壊以降、間接部門のコスト削減という大きな潮流の中で、社内に専門的に従事する人材が少なくなっている。その状況が長い間続いてきたことで社内にノウハウが蓄積されず、また少人数での業務で圧倒的に人材不足の状態が慢性的になっている。たとえ景気が良くなったとしても、そのノウハウ不足から外部のBPOサービスを利用せざるを得ないということも、BPO活用が堅調な要因の1つに考えられる。

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