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ワークスタイル変革の取り組み状況に関する調査(2018年)/後編IT担当者300人に聞きました(3/4 ページ)

» 2018年04月26日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

強制力のないガイドライン、経営層との温度差を嘆く声は変わらず多い

 最後にワークスタイル改革の方針やガイドライン、他社の取り組み事例など、ワークスタイル変革についての意見や見解をフリーコメントで聞いたので以下に分類して紹介する。

■ガイドラインは役に立たない、事例がなければ経営層を説得できない

 まず、働き方改革については、省庁などから各種のガイドラインが公表されているが「政府のガイドラインには強制力がなく、役に立たない」といった意見が見られた。自由回答では、多くの読者が「同業他社がどう取り組んでいるかを知りたい」という意見を持っていたが、経験がない改革を推進するに当たって、成功例を知りたい、という不安に駆られている方が多く存在する状況があるといえるだろう。

 同業他社の成功事例がなければ動きにくい、という意見は、横並び主義ということではなく、説得材料として説得事例を利用したいと考えている可能性が高い。というのも、前編で見てきた通り、2017年と比較しても働き方改革への「具体的なニーズがある」とする回答は、他が軒並み10ポイント以上増加したにもかかわらず、経営層のみ変化がなかったことが明らかになっている。おそらくは経営層との意識差によるところが大きいのではないだろうか(今回のアンケートでは「事例を見た従業員から要望が増えるのは望ましくない」といった意見も寄せられている)。

この他にも働き方改革の現状について、「経営者はより安く働かせる生産性向上を目指しており、一方で従業員は業務効率化で業務を楽にすることを目指している。両者のギャップが最大の課題」「超勤削減と業務の効率化が車の両輪に成っておらず実質社員の裁量に任されている」「生産性向上の指標として残業時間以外にどのような項目を挙げればよいのか」といった意見も見られた。

■同一労働か、同一労働時間か

 従業員の側にも、例えば「裁量労働を前提とした高度プロフェッショナル制度などではなく、全体の勤務時間を削減するような法制度にしてほしい」といった、労働時間を軸に考える意見がある一方で、「仕事量に格差がある中で仕事量の少ない人にまで当然の権利として振る舞われるのは考え物」と、アウトプット量で考えた時に、時間を軸にした従業員との意識ギャップを指摘する意見も見られた。

 2017年の調査でも、時間評価の在り方を課題とする意見が見られたが、今回もこの傾向に変化はないようだ。もちろん、労働の内容によっては時間で作業量が明らかなものもあるため、労働時間による評価を一概には否定できない。しかし、時間だけが全ての指標ではなく、また、企業における生産性がかならずしも個人の生産性や時間管理効率とリンクしない点が、多くの企業や従業員の混乱の元凶になっているものと考えられる。

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