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バッテリーレスの環境発電IoTデバイス「EnOcean」とは?5分で分かる最新キーワード解説(4/5 ページ)

» 2018年03月20日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

今後の展開

 EnOceanの日本セールスディレクターでありEnOcean Alliance副会長、アジア担当の板垣一美氏は「日本でのビルオートメーションはこれからさらに進んでいく」と将来像を語る。

 「既に大手不動産開発会社などの手による各種建物に無線スイッチの導入が進んでいるが、さまざまなセンサー情報を建物管理の自動化に役立てる本格的なオートメーション化がますます進展していく。そこで欧州で業界標準となったEnOcean対応製品は大きく貢献できるはずです。

 欧州のビルオートメーション事例では大体30〜40%に達する省エネ効果を上げています。オフィス、ホテル、空港ターミナル、工場など200万棟以上で採用されており、ビルや各種施設では5000〜2万個以上のEnOcean製品が導入されているケースが多い。

 もっと小さな規模では歯科医の医療器具のためのフットスイッチに無線スイッチを使うような例もあります。ただでさえケーブルが多い工場などでは無線スイッチや無線センサーデバイスの適用が効果的です。

 日本でもソニー、内田洋行などのオフィスビルや物流拠点、工場、国立がんセンターなど多くの導入事例が出てきている。レイアウト変更の際の工数、コストの軽減と合わせて、ランニングコストの削減効果は大きく、多少初期投資がかかっても数年で回収できる。また、ホームオートメーション分野でも普及が進むものと考えています」。

 欧州うはじめ世界での実績を積んだ「EnOcean」と、IoT活用に新しい選択肢をもたらしたLPWAである「EnOcean Long Range」。デバイスが増えれば増えるほどかさむ運用管理工数とバッテリー代に悩む企業では導入検討の価値がある。

 なお、EnOceanでは必ずしも自社の通信方式にこだわるわけではなく、Zigbee、BLE、LoRaWANの通信モジュールと、同社の環境発電モジュールの組み合わせでも製品提供している。他方式の既存システムの給電を環境発電にリプレースする感覚で導入することも可能だろう。

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