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デジタルツインとは何か? 5分で納得、用語解説困ったときのビジネス用語(1/3 ページ)

2018年、注目のキーワードの1つとされている「デジタルツイン」。製造業に関連するキーワードと思いきや、最近ではどの業種においても重要な概念となっています。その可能性やメリットを専門家に伺いました。

» 2018年03月07日 10時00分 公開
[キーマンズネット]

 昨今、「インダストリー4.0」といった文脈で耳にすることも多い「デジタルツイン」。「何それロボット?」「製造業にだけ関係する言葉だろう」と思う方も多いでしょう。しかし、最近ではどの業種においてもデジタルツインという概念が重要になっています。その可能性やメリットを専門家に伺いました。

湾曲テストも何のその、デジタルツインとは

 デジタルツインとは、文字通り「デジタル上の双子」を指す言葉。これだけを聞くとロボティクス的なものを想像しがちですが、検証したい物理的なモノや空間をデジタル上にも再現し(デジタル上の双子を作り)、仮想的なシミュレーションを行うことをいいます。

 概念自体は新しいものではなく、数十年前に米国防総省内の研究開発部門である高等研究計画局(DARPA:Defense Advanced Research Projects Agency)が作った造語だとIDC JapanでITスペンディングシニアマーケットアナリストを務める岩本直子氏は説明します。

 例えば、製造業におけるプロダクト開発のフェーズでは、長らくCAE(Computer Aided Engineering)という手法が使われてきました。これは、3Dデータで作成した製品や部品をバーチャルな環境でテストする手法。何百度もの熱や衝撃に耐え得るかといったシミュレーションをデジタル上で行い、物理的なテストの頻度を削減することでコストや時間を削減するといった例があります。これもデジタルツインの活用法の1つです。

 従来では、製造業や建設業といったモノづくり業界におけるプロダクト開発の行程で出番の多かったデジタルツイン。しかし現在、業界を問わず応用できる概念として注目を集めています。

デジタルツインがいま、盛り上がりを見せる背景

 デジタルツインが再注目された背景には、テクノロジーの進展があると岩本氏は説明します。無線技術や、センサー機器、収集したデータを蓄積するクラウド基盤などが発達したことに加え、シミュレーションを行うに当たり必要なコンピューティングパワー、データを分析して可視化するためのツールなども発展しました。図1は、IDC Japanが「第3のプラットフォーム」と呼ぶ4つの技術と、そのプラットフォーム上で活用が進む「イノベーションアクセラレーター」と呼ばれる技術を示したもの。こうした技術が出そろうことで、シミュレーションの幅が広がり、より高度で多様な検証が可能になったのです。

 そうしたことからデジタルツインは再び大きな期待を集め、開発のフェーズだけでなく、「生産」や「販売」などあらゆる行程で活躍の舞台を広げていると岩本氏は話します

第3のプラットフォームとイノベーションアクセラレーター 図1 第3のプラットフォームとイノベーションアクセラレーター(出典:IDC Japan)
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