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アーカイブ需要に復権をかけるテープストレージの今すご腕アナリスト市場予測(2/3 ページ)

» 2017年09月27日 10時00分 公開
[森山正秋IDC Japan]

テープストレージがアーカイブに最適なワケ

 アーカイブ用途にテープストレージが利用される理由の1つには、やはりGB単価がディスクストレージに比べて安価なことが挙げられる。

 NASをはじめとした安価なディスクストレージは、コンシューマモデルでも2TBで1〜2万円台のコストがかかるが、例えばテープストレージのなかでもLTO-6で見た場合、単体ドライブそのものは30〜50万円前後は必要になるが、非圧縮時で2.5TBの容量が確保できるLTO-6なら1巻当たり5000円前後だ。

 ストレージとしての拡張を考えると、テープメディアは大容量のデータを扱えば扱うほどコストメリットを享受できるようになる。大量のデータを取り扱う企業が増える中で、長期保管を検討する際には、テープストレージは1つの有力な候補になることは間違いない。

 クラウドサービスを利用するという手もあるが、事業者自体のサービスレベルが自社の要求を満たしているかどうかや、データのダウンロード時に発生する課金などの課題もあり、データが巨大になればなるほどクラウドサービスの場合はコストが当初の想定よりも高額になる場合もある。

 また、長期間のアーカイブということになると、低消費電力や長期保存性に優れている点でもテープストレージは大容量アーカイブに適しているといえる。

 テープメディアに目を向けてみると、ひと昔前まではさまざまな規格が市場に展開されていた。エントリーで大きなシェアを持っていたDDSをはじめ、ミッドレンジにおけるDLTやAIT、LTO、そしてエンタープライズではメインフレームなどに利用されるOracleやIBMの独自規格などがあった。

 そうした中で、多くの規格が市場から姿を消し、エントリーで利用されていたDDSテープドライブも生産終了となった。エンタープライズ領域に対応した独自規格のものは引き続き市場に投入されているが、市場でより広く利用されているLTOが中心的なテープメディアとなっている。

 LTOは現在LTO-7が市場に出荷されている状況で、ロードマップとしては圧縮時の容量が120TB、転送速度が1秒当たり2,750MBのLTO-10まで示されている。ただし、市場ではLTO-4〜6も多く出ており、DDSの代わりにLTO-3を利用している企業も少なくない。いずれにせよ、LTOがエントリーからミッドレンジ、そして大容量が求められるエンタープライズ領域にまで進出しているのが今のテープメディアの状況だ。

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