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» 2017年06月19日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:課題から理解する「クラウド型ERP」、導入の手順、選び方のコツ (1/3)

事業拡大や業務効率化を考えたとき、クラウド型で提供されるERPの利用は、検討したい選択肢の1つだ。だがクラウド型はどこから着手すべきかは考えておく必要がある。

[西山 毅,レッドオウル]

 あるERPベンダーによれば、この半年間で急激にクラウドへのニーズが高まってきているという。2016年から適用開始となったマイナンバー制度や段階的に引き上げられている消費税増税など、制度変更への迅速な対応に加えて、提供されるサービスそのものが増え、ユーザー企業の選択の幅が広がってきたことなどが理由として考えられる。では実際にどんな企業がクラウド型ERPを求めているのか、またクラウド型ERPはどこまで使えるのかについて考えてみたい。

クラウド型ERPが求められる背景

 実際に今どんな企業が、クラウド型ERPに目を向け始めているのだろうか。始めにその主な動機について整理しておく。

コストをかけずに、新たな法律や制度改正に対応したい

 冒頭でも触れたように、最近の大きな環境変化としてはマイナンバー制度の施行が挙げられるが、2017年5月30日には改正個人情報保護法が施行され、従業員規模5000人以下の小規模事業者も、個人情報保護法の適用対象となった。こうした法制度にリアルタイムで追随していくためには、その度に対応コストが必要となり、特に体力がなく、専任のIT担当者がいない中小企業は厳しい状況に置かれることになる。そこで環境変化にはサービス提供側が対応し、運用担当者も不要で、さらに月額料金で利用できるクラウド型ERPに目が向けられる。

取引先からのトレーサビリティーの要求に対応したい

 中堅中小企業がクラウド型ERPに目を向けるもう1つの外的要因となるのが、取引先からのガバナンス強化に対応する要求だ。分かりやすい例としては、原材料や部品を仕入れてから加工し、組み立て、出荷するまでの物の流れを、最終製品のロット番号とひも付けてリアルタイムで追跡できるようにして欲しいというトレーサビリティーの要求だ。

 こうしたニーズに対応するためには、個々の業務システムをバッチで連携しているような状況では難しい。そこで各業務システムをERPの各モジュールに置き換え、さらにいつでも、どこでも、取引先からの問い合わせにすぐに対応できるようにクラウド化して、物の流れをトラッキングできるようにするという流れがある。

海外工場の生産管理に、ガバナンスを効かせたい

 これは特に海外展開している、あるいはこれから海外を目指そうとしている製造業に見られる要件だが、海外拠点に工場を新設する際、生産管理システムとしてクラウド型ERPの生産管理モジュールを入れ、本社のERPもしくは手組みの基幹業務システムと連携して現地の生産管理にガバナンスを効かせたいというニーズがある。

 初期投資を抑えてスモールスタートで始めることができ、さまざまな製造業のノウハウが詰まった生産管理モジュールを利用することで業務の標準化を図ることもでき、現地の運用担当者も不要となる。

 環境変化や取引先からの要求だけでなく、社内のシステム事情からクラウド型ERPの利用を検討するユーザー企業ももちろんある。例えば現在、パッケージを利用して会計や人事給与などの業務システムを個別に運用している場合、使い勝手が悪いので、サポート切れなどのタイミングで他の製品にリプレースしたい、その際にERPに目を向けるとか、あるいは現在Excelを使って会計処理などを行っているが、事業の拡大に伴い、他システムとのスムーズな連携が求められるようになり、Excelではもう対応し切れなくなったというケースだ。

 ただしこれらの場合、クラウド化が最優先というよりも、起点となっているのは、あくまで現行環境のリプレースだ。その際に、現在の“クラウドファースト”という流れの中で、特に新規でERPの導入を検討する中小企業が、保有コストが不要で運用負荷もかからないクラウド型ERPに目を向けることになる。

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