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事例で分かる「MADP」の活用法、積極的なモバイル活用で競合企業に差をつけるIT導入完全ガイド(1/4 ページ)

ROIの最大化や顧客満足度の向上、業務改善など、多くのビジネス効果が期待できるモバイル活用。今回はそのアプリ開発に有効なMADPの機能を活用事例を交えて紹介する。

» 2016年07月04日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 モバイルアプリは単純なアプリビジネスの枠を超え、企業基幹系/情報系システムに連携する業務目的での活用が進むとともに、差別化戦略に基づく新サービス開拓の尖兵となった。ビジネス活用はいまだ成熟への道半ばにあるだけに、アプリ開発の巧拙・柔軟性・適時性の差が競争を左右する可能性が高い。そこで見逃せないツールがMADP(Mobile Application Development Platform)、またはMEAP(Mobile Enterprise Application Platform)だ。今回は、MADPがアプリ開発をどう変え、ビジネスにどう貢献するのかを考える。

モバイルアプリと従来の業務アプリとの違いは何か?

 モバイルアプリを活用した新ビジネス・新サービスは、配車サービス「Uber」などの世界的成功を引き合いに出すまでもなく、国内の金融・クレジット・保険業界、物流・小売業界、旅行・ホテル業界など、あらゆるシーンでこれまでにない利便性と満足度をユーザーにもたらしている。

 しかしモバイルアプリ開発はこれまでの業務システム開発とは異なる条件をクリアする必要があり、従来の開発スタイルが踏襲できないことに戸惑う企業も少なくない。ここではまず、モバイルアプリ開発とPC前提の業務システム開発とは、何が違うかを明らかにしたい。

 最も大きな違いは、より優れたユーザー体験(UI/UX)が必要なことだろう。せっかく新しいモバイルデバイスを導入しながら「モバイルPCの方が良かった」といわれるようでは元も子もない。デバイスが備えるタッチパネル、マイク、カメラ、GPSなどの固有機能を統合し、PC時代のシステムを超えた利便性や新機能を実現することが求められるばかりでなく、コンシューマー向けアプリを個人的に利用してきた従業員のモバイル体験をLook&Feelの面でも同等または追い越すような工夫が必要になる。そうしなければ結局使われないか、かえって不満を高めて業務効率を落とす危険があるからだ。

 現在ではiOS、Android、Windowsの3OSへの対応が一般的に求められるようになっている。開発SDKや開発ツールはベンダー提供のものが利用できるが、iOS用にはObjective-CとXcode、Android用にはJavaとJava対応IDE(Eclipseなど)、Windows用には.NETフレームワーク対応言語とVisual Studioといった開発言語・開発環境の習熟が要る。またタッチパネルサイズの違い、端末ごとの機能の違いにも配慮が必要になる。

 モバイルデバイスが新サービスを担うケースが多くなり、リーンスタートアップが求められるようになると、必要な機能を絞り込み、その部分の品質はできるだけ高くした上で迅速にリリースできることが望まれる。アジャイル手法による工期短縮と、ユーザー評価も取り入れた迅速な品質改善が図れる体制が望ましい。

 高頻度で行われるOS更新に都度対応する必要がある。またモバイルアプリのライフサイクルは従来の業務システムとは比較にならないほど短い(数カ月程度ともいわれる)のが普通だ。継続的にアプリを改善してEOL(End-of-life)をなくすアプローチもあり、作成したアプリは修正せず(塩漬けにして)新たなアプリに切り替えるアプローチもあるが、いずれにしてもビジネス変化に対応しつつ、ユーザーの評価や希望を絶えず取り入れ、短いスパンで多くのリリースを行っていかなければならない。

 “モバイルデバイスを前提にせずにセキュリティポリシーを策定していた企業”の場合は、いかにセキュリティを確保するかを考えなければならず、ポリシーの見直しが大きな問題となろう。また隅々にまで配慮したセキュリティ実装には大きな工数がかかり、その部分のテスト工数も増加する。

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