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» 2015年08月03日 10時00分 公開

IT導入完全ガイド:モバイルアプリ短期開発「mBaaS」に注目 (1/5)

mBaaSの位置付けや基本機能を解説。技術者不足、コスト超過、リリースタイミングのズレなど品質を保ちオンスケジュールにコスト最適化を実現するには?

[土肥正弘,ドキュメント工房]

 国内のスマートフォンは契約数で6500万台(2015年3月末、MM総研調べ)を大きく超え、国内のタブレットも年間804万台が出荷(2014年、IDC Japan調べ)される。モバイルアプリはO2Oプロモーションや販促キャンペーン推進の立役者となり、また顧客エンゲージメントの強化や顧客分析、あるいはアプリそのものまたはアプリを前提にした独自サービスのマネタイズなど、さまざまな目的で活用されるようになってきた。

 しかし「わが社も波に乗れ」とばかりにモバイルアプリ開発に踏み切った会社が直面するのが技術者不足、コスト超過、リリースタイミングのズレ。品質を保ちながらオンスケジュールにコスト最適な開発を行うのには、従来の社内システム開発とは違った苦労がある。そんな苦労の多くを削減するのがサーバサイド開発をゼロにもできる「mBaaS」(mobile Backend as a Service)だ。今回はmBaaSの役割と利用メリットを中心に紹介する。

「mBaaS(mobile Backend as a Service)」って何だ?

 mBaaSはモバイルアプリのバックエンド領域だけに特化したクラウドサービスだ。バックエンド領域とは何かといえば、サーバ側で稼働するプログラムとインフラのことを指す。

 モバイルアプリは端末側プログラム(フロントエンド領域)だけで完結するケースはごくわずか、ほとんどはネットワークを介してサーバ側プログラムと情報をやりとりすることでアプリ機能が成り立っている。

 機能面や性能面、端末への負荷軽減のためにサーバ側の機能を利用するのが好都合なこともあるが、マーケティングやO2O実現など、企業がターゲット顧客に何らかのアプローチをとるためには、サーバ側に企業が参照できる形で情報を取る必要がある。

 端末アプリを配布、販売しただけで終わりにせず、ユーザーとの関係性を強化するために利用してこそ、モバイルアプリ提供の価値があるはずだ。

 開発企業にとって問題なのは、端末側開発に要求される技術と、サーバ側開発技術とのギャップだ。端末側でデバイスネイティブなアプリを開発するにはJava(Android用)やObjective-C(iOS用)、C#(Windows Phone用)などの言語とそれぞれのSDKが要る。

 これだけでも技術の修得は大変だが、加えてサーバ側開発用にサーバサイドJava、PHP、Perl、Ruby、Pythonなどの言語と開発環境への習熟も必要だ。もちろんWebサーバやDBMSなどのミドルウェアやインフラ系の技術も要り、物理的にサーバを用意して運用管理もしなければならない。定常的に人材不足気味なIT部門内では荷が重い。

 負荷を軽減するにはコアの部分以外を外部に切り出すのが通例だ。モバイルアプリのコア部分はフロントエンドにこそあると考えるのがmBaaSだ。アプリマーケットに100万本超のアプリがひしめく中で独自の魅力を発揮するには、アイデアや企画の良さとともにユーザーエクスペリエンス(UX)の洗練が不可欠だ。

 その多くを担うのは、端末側=フロントエンドの設計、開発である。便利さ、楽しさ、驚きといった、「使って面白い」体験ができることが、大きな差別化要因になるからだ。それを重視する企業に向けて、限られた人的資源をできるだけコア部分に集中できるよう、サーバ側の開発の一部または全部を肩代わりしようというのがmBaaSの根本だ。

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