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乾電池で10年駆動、日本発の無線規格「Wi-SUN」とは?(4/4 ページ)

» 2015年03月18日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]
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Wi-SUNの応用

 HEMSなどのように屋内の情報収集に優れた特長が生かせるばかりでなく、Wi-SUNには低消費電力でありながら、1キロ弱の比較的長距離通信が可能で、しかもモジュール同士のマルチホップ方式(隣接する機器へと情報をバケツリレーのような形で受け渡していく方式)で遠距離へと情報を運ぶ動作にも対応できるという特長も持ち、数十ホップ程度までの比較的広域で面的に広がるネットワークを形づくることができる。

 この特長を生かせば、一定のエリア内でのセンサーネットワーク形成すなどが容易になる。しかも920MHz帯は障害物にも強いため、野外での利用にも適す。

 NICTでは、例えば農地の温湿度や降雨量センサー、災害地の環境センサー、橋梁などの建造物の状態センサー、ダムの水位センサー、放射線量センサーなどの情報を無線で収集し、農作物の収量や品質の向上、環境状態のきめ細かい把握、建築物の保守に生かすなど、さまざまな社会的、経済的メリットを期待する。

 すなわち、Wi-SUNは図5の左側のような自動検針のためのスマートメーター用無線としての効用を目的として当初実現したものであるが、その特長をさらに有効利用し、同図右側への拡張がなされることにより、将来的には地域に密着した公益性の高いサービス提供基盤の確立にも寄与することを目指す。

Wi-SUNによるスマートメーターと各種データ収集、利用のイメージ 図5 Wi-SUNによるスマートメーターと各種データ収集、利用のイメージ(出典:NICT)

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HEMS(Home Energy Management System)

 企業のエネルギー管理システムのBEMS(Building Energy Management System)の家庭版。家庭の照明や空調機器はじめさまざまな家電に通信機能を搭載し、電力消費状況などの情報を家庭内に設置したコントローラーに集約して集中管理可能にする仕組みだ。

 電力消費量は、電力会社が設置するスマートメーター(次世代電力量計)を通して、30分ごとなど短い単位で電力会社に通知できる。その情報は詳細な電力使用明細として節電などに利用できる他、電力会社が用意する料金プランの適切な選択に役立てられる。

「Wi-SUN」との関連は?

 スマートメーターとHEMSコントローラー間の通信(Bルートと呼ぶ)を無線化する下位層通信プロトコルとして東京電力が採用し、他の電力会社もWi-SUNの使用に合意した。また2015年1月にはNICTが家庭内の各種家電製品とHEMSコントローラー間のネットワーク(HAN、Home Area Network)のためのWi-SUNプロファイルに準拠する無線機を実装して実証実験を行い成功した。対応家電やコントローラーによりWi-SUNベースのHEMSが構成できる前提条件が整った。

ECHONET Lite

 1997年に設立された「ECHONETコンソーシアム」が2011年に発表し、2013年にISO/IEC規格として国際標準化された家電機器の遠隔制御、モニタリングなどに活用できるホームネットワークの規格。

 2000年にはOSI参照モデルのレイヤー1から7をカバーするECHONET規格を公開したが、それを改良するとともにレイヤー5から7層の規定にとどめ、下層レイヤーは自由に技術を選べるようにしたのがECHONET Liteだ。世界的にもHEMSの標準プロトコルとして認められた。

「Wi-SUN」との関連は?

 Wi-SUNはECHONET Liteに対してレイヤー1から4の下位層プロトコルを実現するプロファイルを規定し、ECHONET Liteを920MHz帯無線(IEEE 802.15.4g)で使う場合には好適な選択肢になる。

Wi-SUNプロファイル

 Wi-SUNアライアンスはIEEE 802.15.4g規格準拠無線機の世界初の規格認証団体で、製品の規格適合性および相互接続性を検証し、適格なものを準拠製品として認証する。認証は、想定アプリケーションに応じてそれぞれ物理層、MAC層、必要ならばインタフェースに関する機能仕様を規定し、認証の基準とすることで行われる。このようなアプリケーションに応じて規定される機能仕様を、当該アプリケーションに対するWi-SUNプロファイルという。

「Wi-SUN」との関連は?

 Wi-SUNは規格として各種の仕様を策定するが、仕様の普及のためにはそれに準拠した製品が相互接続できることを検証し、問題ないものに「お墨付き」を与える必要がある。相互接続性の検証を行うために必要になるのがWi-SUNプロファイルだ。

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