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自動化に大きく舵を切る「ストレージ管理」はどこへ向かう?IT導入完全ガイド(1/4 ページ)

クラウドコンピューティングの進展やフラッシュストレージなど新たなストレージの台頭により、ストレージ環境は劇的な変化の中にある。「ストレージ管理ツール」の最新動向に迫る。

» 2014年07月28日 10時00分 公開
[酒井洋和てんとまる社]

 クラウドコンピューティングの進展やフラッシュストレージなど新たなストレージの台頭により、ストレージ環境は劇的な変化にさらされている。そこで重要になるのが、ストレージを管理面で支えるストレージ管理ツールだ。

 ハードウェア付属のツールやソフトウェア製品などさまざまな形態で提供されるが、実際の機能についてのトレンドは分かりにくい面もある。今回は、ストレージ管理ツールの機能についておさらいしながら、2014年におけるストレージ管理動向について概観してみたい。

ストレージ管理ツールが置かれている状況

 現在ストレージを取り巻く環境は大きく変化している。特に仮想化の進展に伴ってサーバ領域の仮想化が進み、複数のVM(Virtual Machine:仮想マシン)を同一筐体内で動作させる機会が増えた。

 それ故、快適なレスポンスを確保するためのパフォーマンス管理はこれまで以上に重要だ。しかし、最も要求の高いVMのI/Oに合わせてストレージを設計すると、それ以外のVMに対してはオーバースペックになり、仮想化したもののコストダウンにつながらないという悩みを抱える企業は多い。

 また、新たな形態のストレージが登場したことも、管理の複雑さをより助長すると言っていい。特に高速な処理が可能になるフラッシュストレージが登場し、既存のSANストレージにフラッシュが搭載されたものやオールフラッシュで構築されたストレージなど新たなアーキテクチャも登場した。管理面からすると、これまで以上に複雑なストレージ管理が要求される状況だ。

 ひと昔前のストレージ管理ツールは、障害検知やパフォーマンス監視などの機能の他、複数のストレージを1つの仮想的なプールとして集約する機能やボリューム管理、構成管理、そしてデータ保護や可用性向上に向けたRAID管理やレプリケーション、クラスタといった機能を備えた。

 これらは現状でも備わっているが、現在はI/O最適化に向けた帯域制御やデータ使用頻度に応じた階層管理などを自動化していくオートメーション機能に注力するベンダーが増えた。

 複数のOSやストレージが混在していた以前とは異なり、今はサーバ仮想化が広く普及し、全てハイパーバイザーによって統合的な管理が可能となった。しかも、サーバ環境は仮想化によって柔軟に構成変更が可能となり、ストレージ領域もその柔軟性に追随することが求められる。

 それ故、高速化を目指したI/O最適化や自動階層管理による処理スピードの向上などが技術動向の中心になり、ストレージ管理の領域を「ハイパーバイザー化」する方向性を打ち出したベンダーもある。「サーバ仮想化のようにストレージ側で勝手に最適化してほしい」というのがユーザーの本音なのかもしれない。

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