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2014年企業におけるタブレット導入白書すご腕アナリスト市場予測(3/4 ページ)

» 2014年01月23日 10時00分 公開
[岩上由高ノークリサーチ]

業務システムとの連携は避けられないステップ

 こうしたさまざまなタブレット活用を展開していく上で、ユーザー企業は特にどのような点に気を付ければ良いだろうか。そのヒントとなるのが以下のグラフである。

 これは既にERPを導入している年商5億円以上〜500億円未満のユーザー企業に対し、「スマートデバイス活用の実現手段(複数回答可)」を尋ねたものである。活用シナリオとしては以下の2つを今回はピックアップしてみた。

シナリオ1

 経営層や社員がデータの集計/分析結果をどこからでも確認できるようにする

シナリオ2

 営業が外出中に在庫確認や見積作成を行う

スマートデバイス活用の実現手段 図4 スマートデバイス活用の実現手段(幾つでも)(出典:ノークリサーチ「2013年版中堅・中小企業におけるERP/BI活用の実態と展望レポート」)

 つまり、シナリオ1やシナリオ2を実現するために実際にどのような手段を講じたのかを表した結果といえる。

 シナリオ1は「閲覧中心」のタブレット活用に該当する。ERPに蓄積されたデータをグラフなどによって可視化し、それを社外でも見られるようにするというものだ。

 一方、シナリオ2は「閲覧+更新」のタブレット活用といえる。ERP内データを閲覧するだけでなく、「在庫を確認し、見積を発行する(場合によっては発注する)」といった更新処理をタブレット上からERPに対して実行することになる。

 ここで先に挙げた以下の2つのタブレット活用例をもう一度振り返ってみよう。

  • 現地で撮影された動画閲覧などを交えながら、さまざまな旅行プランのシミュレーションを顧客とインタラクティブに行う
  • カメラを通じて顧客の顔を画面に映し、そこに電子化された髪形カタログを重ねることでカットの仕上がりイメージを事前に確認してもらう

 旅行申し込みがあれば、その場で発注処理が必要となる。発注に結び付かなった場合でも今後のリコメンドのために作成した旅行プランは顧客情報とともに販売管理システムやCRMに記録すべきだろう(ただし顧客の事前了解が必要となる)。

 髪形カタログについても同様だ。「前回はこんな髪形でしたが、今回はどうしますか?」といったきめ細かなサービスを担当美容師に依存せずに実現するためにも顧客の嗜好を共有しておく必要がある。

 このように売上増に結び付くタブレット活用を行うためにはタブレットから業務システムに対して「閲覧」だけでなく、「閲覧+更新」の処理が必要となってくる。その点で今後のタブレット活用ではシナリオ1よりもシナリオ2に近いパターンが増えると予想される。

 シナリオ2はシナリオ1に比べて「スマートデバイス対応の機能を独自に開発する」「システム面のコンサルティングを利用する」「業務面のコンサルティングを利用する」といった項目の割合が高い。つまり、「閲覧+更新」の処理をタブレットから行うためには「閲覧」のみの場合と比べ業務システム側の投資がより多く必要となるわけだ。

 逆に言えば、今後タブレット活用を検討している場合は「業務システム側がどこまでスマートデバイスとの親和性を考えているか」に注意を払う必要がある。例えば、

  • タブレット向けのタッチ画面を独自に作成できる仕組みを備えているか?
  • 専用クライアントモジュール以外からも処理を実行できるAPIはあるか?

といったポイントだ。タブレットからの処理を追加する際の「土台」が用意されているかが重要となってくるわけだ。

 2014年4月の消費税率改正をきっかけに業務システムの刷新や更新を検討しているユーザー企業も少なくないだろう。その際にはスマートデバイス活用との親和性も検討材料の一つに加えてみると良いかもしれない。

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