顧客を知る・バリュープロポジションキャンバス【第14回】

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顧客を知る・バリュープロポジションキャンバス【第14回】

2017/12/20

 前回までの13本を通して、ビジネスモデルキャンバス(以下、BMC)を用いたビジネスモデルの作成と、その活用などについて学んできたわけですが、今回は、BMCと一緒に抑えておきたいツールをご紹介します。

 「バリュープロポジションキャンバス(以降、VPC)」と呼ばれるツールです。百聞は一見に如かず。まずは、キャンバスを見てみましょう。

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 これが、VPCです。右側の円で表現された図が、BMCでいうところの「顧客セグメント(CS)」で、VPCでは「顧客プロフィール」といいます。

 左側の四角で表現された図が、BMCでいうところの「価値提案(VP)」で、VPCでは「バリューマップ」といいます。

■顧客プロフィール

 まずは、右側の顧客プロフィールから見てみましょう。

 ここでは、顧客について明確に理解することが重要になります。顧客を知り、顧客はどのような思いでいるのかをより深く理解するために、この図を使って記述していきます。

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 顧客プロフィールは3つのエリアに分かれています。円の右側は「ジョブ(Jobs)」です。ジョブには、顧客が生活や仕事を通じて「したいこと」が表現されます。「Jobs」となっているので、和訳本では「仕事」と表現されていることもあります。

 顧客はさまざまなジョブを持っているで、顧客自身も明確に「これが私のジョブです」と理解している訳ではありません。知らずして行っているジョブもあります。そのため、私たちは丹念に、顧客のジョブは何かを探り出す必要があります。その際、ジョブには次の4種類があるといわれています。

 1.機能的なジョブ(顧客の具体的な任務や、解決したい特定の問題)
 2.社会的なジョブ(顧客がそれをすることで得られるステータスなど)
 3.個人的/感情的なジョブ(顧客が満足したり安心したりするようなこと)
 4.サポート的なジョブ(顧客に直接の恩恵はないが、周囲にサポート的に影響すること)

 円の左下は「ペイン(Pains)」です。顧客の悩みや痛み、課題をここに表現します。ペインは、顧客にとって“困りごと”ですから、大変大きな意味を持ちます。顧客の中でも複数のペインがありますので、どれがどのくらいの重みがあるものなのかを見極めることが必要になります。

 円の左上は「ゲイン(Gains)」です。顧客の望む結果や喜びを指します。ゲインには顧客が望んでいるものもあれば、想定していなかったものもあります。

 一見すると、ペインとゲインは裏表に見えますが、この顧客プロフィールを作っていく過程では、そのような視点では見ません。あくまで、ジョブが先にあります。そして、そのジョブを遂行するに当たって、発生するペインは何なのか? 求めるゲインは何なのか? と考えていきます。

■バリューマップ

 続いて、VPCの左側のバリューマップを見てみましょう。四角の形をしたバリューマップは、右側の「顧客プロフィール」に対応しています。

 まず、バリューマップの左側は、「製品とサービス(Products & Services)」です。これはまさしくBMCの価値提案(VP)で、あなたが提供する製品やサービスを示します。

 次に、バリューマップの右下は「ペインリリーバー(Pain Relievers)」といい、「ペイン」を和らげたり取り除いたりするものです。

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 バリューマップの右上は、「ゲインクリエーター(Gain Creators)」といい、ゲインを生み出すものです。つまり、あなたの「製品とサービス」が、それぞれ、ペインに対応した「ペインリリーバー」として提供されるのか、ゲインに対応した「ゲインクリエーター」として提供されるのか、それが満たされていて初めて顧客に響く「製品やサービス」であるということがいえる、これが分かるのですね。

 今回は、まずはVPCの概要だけの説明に留めますが、このVPC作成はそれだけでさまざまなノウハウがあり、また作ってみると、BMCと同様の大きな気付きが得られます。いかに顧客目線で製品やサービスを作らなければいけないか、ということが、VPCを作成することで理解できるようになります。

 そして、VPCの「顧客プロフィール」と「バリューマップ」は、そのままBMCの「顧客セグメント(CS)」と「価値提案(VP)」に置いてビジネスモデルを検討できますので、VPCを深く理解することで、BMCの精度が格段に上がることになります。

 
 さて、次回は本シリーズの最終回です。 BMCやVPCを使ってビジネスモデルを構築する以前に、もっと大事なことがあるのですが、それはいったい何でしょう。その大事な部分に触れたいと思います。

■1.  イントロダクション 
■2.  ビジネスモデルキャンバスとは何? 描くと何が良いの? 
■3.  “価値提案”とは 
■4.  “顧客セグメント”とは 
■5.  “チャネル”とは  
■6.  “顧客との関係”とは 
■7.  “パートナー”とは
■8.  “主要活動”とは 
■9.  “リソース”とは 
■10.“収益”と“コスト構造” 
■11. 全体を描いた時の気付きのポイント(付箋の数、貼りやすさ) 
■12. 全体が成長し、強くなるモデル「自己強化ループ」
■13. 他社がマネできない、「クリティカル・コア」
□14. 顧客を知る・バリュープロポジションキャンバス (←今回はココ)
□15. 思い切ってイノベーションの船出を! 「FORTHメソッド」

それでは、次回に続きます。

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キーマンズネットとは
国内ITコンサルティング企業のコンサルタント時代は、流通・小売、製造、地方銀行、官公庁等のコンサル、プロジェクトマネジメント、運用マネジメントを実践。 国内の大規模プロジェクトも多く経験。 現在の会社を設立後は、ビジネスモデルキャンバスを駆使し、企業内改善やイノベーション創出などの事業に邁進中。

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