いざ出航、FORTHの海へ! FORTHメソッド【最終回】

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 草苅 徹(ビリーブロード株式会社) > いざ出航、FORTHの海へ! FORTHメソッド【最終回】
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

いざ出航、FORTHの海へ! FORTHメソッド【最終回】

2017/12/28

 これまでビジネスモデルキャンバス(BMC)をメインにお話し、さらに前回はバリュープロポジションキャンバス(VPC)について軽く説明させていただきました。

 これらのツールを使うメリットには、ビジネスモデルを1枚の紙で俯瞰して見ることができるだけでなく、ある要素を変えると、それに応じて関連する要素も柔軟に変化し、さらには、顧客や価値提案を深堀りすることで、新たなビジネスモデルに昇華できることが挙げられます。

 これを、企業や組織に展開していく場合、BMCやVPCを理解したメンバーで進めると、非常に効率良くビジネスモデルを生み出し、変化させていくことができます。ところが、大抵の企業では、まだまだこれらのキャンバスをいきなり導入することができません。それは、共通言語としてのキャンバスの役割が認知されていないからなのです。

 最近では、特に大企業の企画部門やイノベーション推進部門などでキャンバスの役割が認知され、活用の機会が増えてきましたが、まだまだ多くの企業では浸透しきれていないのが事実です。そのため、企業や組織内部に根付かせるには、それなりの手順を踏まないと、有効な効果を挙げることができません。

 そこで、最終回となる今回は、企業や組織に導入しやすくなるメソッドをご紹介して、本連載を終えたいと思います。

 そのメソッドは、「FORTHメソッド」といいます。 イノベーションコンサルティング・スタートアップのスペシャリストである、ハイス・ファン・ウルフェン氏が提唱している、ビジネスイノベーションを進めるためのメソッドです。

FORTHメソッドとは?

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 FORTHは、この1枚の地図に表されているといって良いでしょう。5つの大陸からなるこのメソッドは、20週間かけて大陸と海を進んでいきます。

第1の大陸は、「FULL STEAMAHEAD 全速前進でスタート!」

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 プロジェクトに大きな影響を与える上層部などのステークホルダーを交えながら、折り合いをつけ、合意し、その上でプロジェクトをスタートさせるのがこの大陸でのタスクです。

 そして、アイデア創出チームを組成し、全員で出航するのです。ここに至るまでに、5週間かけてワークを行い、関係するステークホルダー全員が納得した上で船出します。

第2の大陸は、「OBSERVE & LEARN 観察と学び」

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 ここでは、イノベーションが成功した実例を見たり、トレンドやテクノロジーを調査したり、ターゲット顧客の不満(ペイン)を炙り出したりします。

 そうした活動を分担し、チーム内で共有することも実行します。この大陸では約6週間かけて、「観察と学び」を深めていきます。

第3の大陸は、「RAISE IDEAS アイデアを出す」

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 ここでは大きく2つのワークを行います。1つは「ブレインストーミング」。想像以上の数の新しいアイデアを生み出していきます。もう1つは「コンセプト改善」です。新しい製品やサービスについてのビジネスモデルのコンセプトを、より洗練していきます。

 この大陸では約2週間滞在し、500〜750のアイデアを生み出します。

第4の大陸は、「TEST IDEAS アイデアをテストする」

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 ここでは、生み出したアイデアのコンセプトが本当に市場に投入できるほど魅力的なのか、採算は合うのか、などをテストします。この大陸では約3週間を費やします。

第5の大陸は、「HOMECOMIING 帰還」

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 ここにきて、3〜5個程度の魅力的な新製品やサービスのコンセプトが生み出されます。ビジネスモデルをさらに洗練するワークショップや、上層部のステークホルダーにビジネスモデルの確からしさをプレゼンテーションします。

 ここで、やっとBMCやVPCが登場します。生み出したアイデアがビジネスモデルとして成り立つかを整理する、まさに終盤での登場です。企業や組織にとって、それまでの4つの大陸でどのように過ごすかが、いかに重要かが分かります。

 肝は、第1と第3の大陸でしょう。

 第1では、覚悟を決めて全員で出航する。
 第3の大陸では、これ以上出せないと思う位――無数の新しいアイデアを知恵を絞って生み出し、それを検証する。これができてなお、ビジネスモデルを組み上げ、よやく新規事業は作られる。

  このステップを上手に進めるためには、このメソッドに熟知したファシリテーターの存在も欠かせません。しかし、何より「われわれは新規事業を生み出すのだ!」という組織全体の覚悟と前進が最も重要となるのが、このメソッドの特徴でもあるのです。

 さて、本シリーズはこの回で最終回となりました。不定期な掲載にもかかわらず、お読みいただきまして、大変感謝しております。

 本シリーズで紹介した、ビジネスモデルキャンバス、バリュープロポジションキャンバス、FORTHメソッドは、日々進化しております。そのため、ここ、という部分を説明してもなお、新たな学びがたくさん出てくることになり、私自身ますます伝えることの難しさを感じている次第です。

 皆さんも、ぜひ、キャンバスを描くことにチャレンジし、自身のビジネスモデルを見つめる機会を作っていただきたいと思います。イノベーションも新規事業も、まずはこの一歩から始まります。

 共に、頑張っていきましょう。

■1.  イントロダクション 
■2.  ビジネスモデルキャンバスとは何? 描くと何が良いの? 
■3.  “価値提案”とは 
■4.  “顧客セグメント”とは 
■5.  “チャネル”とは  
■6.  “顧客との関係”とは 
■7.  “パートナー”とは
■8.  “主要活動”とは 
■9.  “リソース”とは 
■10.“収益”と“コスト構造” 
■11. 全体を描いた時の気付きのポイント(付箋の数、貼りやすさ) 
■12. 全体が成長し、強くなるモデル「自己強化ループ」
■13. 他社がマネできない、「クリティカル・コア」
■14. 顧客を知る・バリュープロポジションキャンバス 
■15. 思い切ってイノベーションの船出を! 「FORTHメソッド」(←今回はココ)

  それでは、どこかでお会いできることを楽しみにしています。ありがとうございました。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30010053


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 草苅 徹(ビリーブロード株式会社) > いざ出航、FORTHの海へ! FORTHメソッド【最終回】

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
国内ITコンサルティング企業のコンサルタント時代は、流通・小売、製造、地方銀行、官公庁等のコンサル、プロジェクトマネジメント、運用マネジメントを実践。 国内の大規模プロジェクトも多く経験。 現在の会社を設立後は、ビジネスモデルキャンバスを駆使し、企業内改善やイノベーション創出などの事業に邁進中。

ページトップへ