他社がマネできない、クリティカル・コア【第13回】

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他社がマネできない、クリティカル・コア【第13回】

開発 2017/11/27

 「クリティカル・コア」は、ビジネスモデル構築において大変重要な要素です。

 なぜ重要なのか――。「クリティカル・コア」は、一見、ビジネスの肝となっているようには見えず、とても不合理のように見え、競合他社から見るとまねしたくはない要素となっています。しかし、実はそれがビジネスの強みを引き出している、という特徴があるからです。

 一見不合理で、競合他社は積極的にはまねしたくない要素があると、自社の競争優位は継続します。当たり前ですが、他社がまねをしないからです。

あるお店の事例

 ここで、筆者が担当したお客さまのビジネスモデルをご紹介します。

 群馬県の前橋市と高崎市で展開しているステーキとハンバーグのお店です。地元では大変な人気があり、連日お客さまでいっぱいになるお店です。

 このお店の強みとなる点は幾つもあるのですが、その中でも、「リソース(KR)」の強みをご紹介します。

 このお店では、「リソース(KR)」の育成と成長について、他のお店がすぐにはまねできない強さを持っていました。この事例でのKRの強みを中心にした自己強化ループを下記に示します。

KR:実はスタッフも「顧客セグメント」と考える自己成長ループ

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KR:実はスタッフも「顧客セグメント」と考える自己成長ループ

 図解で一目瞭然かと思いますが、確固たる理念である「来た時よりも幸せに」をキーワードに、店長からスタッフまで一丸となった教育を行います。この教育は、文化の継承といってもいいでしょう。さらに、顧客からのアンケートなどで評価を得るなど成果を出したスタッフには、“報酬”という形で反映し、成果を皆で褒める、という取り組みも当たり前のように実行しています。

 この結果、笑顔が絶えないさわやかな接客が全店舗で展開されます。地元食材こだわりのステーキ&ハンバーグに加え、スタッフの献身的な対応は、まさにお客さまの気持ちを来店したときよりも幸せにします。そうした良いループを構築するために、日々、店長やスタッフへの教育と評価がなされているのです。

 一見、当たり前とも思える取り組みに見えますが、これを真摯(しんし)に続けることの難しさは、飲食業で人材を使う難しさを知っている人にはよく分かるのではないかと思います。

  ┌┐
  ↑↓ 経営理念の唱和と浸透による、店長とスタッフのより良い育成
  │↓ 「あたり前のことをあたり前」にできる企業文化の実践
  │↓ 「来たときよりも幸せに」の理念あふれた店舗づくり
  │↓ 店長やスタッフも、店で働くことで感じる幸福
  │↓ 幸福なスタッフがいれば、店は幸せになり、それは顧客へ伝わる
  │↓ 顧客満足の高まりは、経営に反映され、さらにQHAの意識と、スタッフ育成の場へ
  └┘

 そして会社側から見ると、店長やスタッフも「顧客セグメント(CS)」なのだ、という意識がこのお店の「クリティカル・コア」を形成する中心点になっています。ここの意識が社内文化として醸成できたからこそ、他社がまねしにくいモデルとなっている、といえます。

 「クリティカル・コア」は、他社から「まねされないこと」が肝になります。ただし「まねしたいけれど、出来ない」のではなく、意図的に「まねをしない」のです。つまり、「まねをすると大変だから」とか「まねをすると損しそうだから」とか、消極的な理由が付随しやすい要素であるからこそ、あえてまねをしないのです。そのため、先行して「クリティカル・コア」を生み出すことは、大変重要な要素になるのです。

 「クリティカル・コア」の事例となる企業は、他に下記のような企業があります。

●Amazon
●アスクル
●デル
●サウスウエスト航空
●ブックオフ

 上記は、今でこそ有名な企業となっていますが、当時その業界では「非常識・非合理」なことばかりでした。上記企業は、その非合理さを強みに変えて成長していきました。

 一見非合理なので、その業界を知っている人ほど、同じようなやり方に手をださない・まねをしない。しかしそのために、気付いた時には、圧倒的な効果を発揮している。「クリティカル・コア」にはそのような特徴があって、頭で理解するだけではなかなか成果を出すまでに至らないかもしれません。それこそが「クリティカル・コア」といえる部分なのだということです。

 次回はBMC(ビジネスモデルキャンバス)とセットで使いたい、「バリュープロポジションキャンバス」について学習してみたいと思います。

■1.  イントロダクション 
■2.  ビジネスモデルキャンバスとは何? 描くと何が良いの? 
■3.  “価値提案”とは 
■4.  “顧客セグメント”とは 
■5.  “チャネル”とは  
■6.  “顧客との関係”とは 
■7.  “パートナー”とは
■8.  “主要活動”とは 
■9.  “リソース”とは 
■10.“収益”と“コスト構造” 
■11. 全体を描いた時の気付きのポイント(付箋の数、貼りやすさ) 
■12. 全体が成長し、強くなるモデル「自己強化ループ」
■13. 他社がまねできない! 「クリティカル・コア」 (←今回はココ)
□14. さらに顧客をひもとく「バリュープロポジション・キャンバス」 
□15. 思い切ってイノベーションの船出を! 「FORTHメソッド」

それでは、次回に続きます。

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キーマンズネットとは
国内ITコンサルティング企業のコンサルタント時代は、流通・小売、製造、地方銀行、官公庁等のコンサル、プロジェクトマネジメント、運用マネジメントを実践。 国内の大規模プロジェクトも多く経験。 現在の会社を設立後は、ビジネスモデルキャンバスを駆使し、企業内改善やイノベーション創出などの事業に邁進中。

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