全体が成長し強くなるモデル「自己強化ループ」【第12回】

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全体が成長し強くなるモデル「自己強化ループ」【第12回】

2017/11/20

 さて、今回は「自己強化ループ」を紹介したいと思います。「自己強化ループ」は、そのビジネスモデルを継続することで、さらに自社の強みが強化されていき、そのために他社が参入しづらくなり、継続するに従って自社を強化していくモデルです。

 このループはそれ自体が強みになり、他社がまねようともまねできない状態になっていきます。

 ループの一例ですが、企業が所有する「リソース(KR)」には設備(機械や工場など)がありますが、これが増えれば増えるほど、「価値提案(VP)」を豊富に産み出すことができます。その「価値」「顧客セグメント(CS)」に受け入れられ、産み出した分だけ購入されれば、「収益(R$)」として企業に還元されます。その「収益(R$)」は新しい機械や工場(リソース)へ投資され、さらに機械や工場を増やせば、多くの価値(VP)を産み出すための能力が増える、ということになります。

 ループの根幹となるものは、何も設備のようなものでなくても構いません。例えば、リソースには、「ユーザー数」というものも含まれます。ユーザーが増えれば増えるほど、強化されるループもあります。そのような企業は、例えばどのような企業があるでしょうか。

 これの代表的な企業として「Facebook」があります。

Facebookの自己強化ループ

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Facebookの自己強化ループ

 日本において、今でこそ「LINE」や「Instagram」の台頭でSNSユーザーは流動的になってはいますが、Facebookは現在も30代後半以上の利用者に多く利用されています。その特徴は、実名、顔出しで交流することを基本としたコミュニティーの形成でした。

 信頼できるユーザーが見つかると、「友達申請」でつながり、その友達がまた友達を呼んでコミュニティーが成長する、あるいは新たなコミュニティーが誕生する。そうしてFacebook自体の規模が成長していきました。

 ユーザー数が増えることで、広告費やゲーム課金などの別の収益が増える仕組みを持つことで、Facebookの収益増ループは強化され、さらに設備や仕組みに投資できるという自己強化ループを形成しました。

 「Amazon」も自己強化ループを形成した企業としては外せません。

Amazonの自己強化ループ

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Amazonの自己強化ループ

 Amazonは、サイト上で販売する販売収入と、そこに出店するサプライヤーの出店料の2つが収益源になっています。

 大量の品ぞろえに魅力を感じている全世界の圧倒的な数のAmazonユーザーが、Amazon上で購買活動を繰り広げます。そこでの販売機会に魅力を感じたサプライヤーは、次から次へとショップをオープンしていきます。ますます品ぞろえは豊かになり、顧客もサプライヤーも増え、Amazon市場が出来上がります。こうして潤沢な収益を得て、さらなる物流向上策を取っていく。Amazonもまた、顧客やサプライヤー数が増えれば増えるほど収益を増し、自己の強みを強化していくモデルといえます。

 さて、こうした企業は、最初から「自己強化ループ」を形成しようとして、モデルを作りあげていったのでしょうか。

 筆者の主観ではありますが、FacebookにしてもAmazonにしても、事業拡大のシナリオとして、大きな方向性としてのビジネスモデルはあったでしょうし、緻密な計画もしたのではないかと思います。しかし、このモデルが「自己強化ループ」を形成したことは、後になって気付いたのではないかとも思います。ビジネスモデルの中で、どの要素が起点になって「自己強化ループ」を回し始めるかは、その時に気付いたときの経営采配に他なりません。そのため、最初からループを作って強化しよう、というようにはいかないのが現実と思います。

 ループの兆しがあり、自社の強みが生かされ、そして成長する感覚があったとき、初めて「自己強化ループ」形成に気付くのではないかと。これは、筆者も経営をしているからこその感想です。

 次回は自己強化ループが回るためのヒントとなる、「クリティカル・コア」に触れます。

■1.  イントロダクション 
■2.  ビジネスモデルキャンバスとは何? 描くと何が良いの? 
■3.  “価値提案”とは 
■4.  “顧客セグメント”とは 
■5.  “チャネル”とは  
■6.  “顧客との関係”とは 
■7.  “パートナー”とは
■8.  “主要活動”とは 
■9.  “リソース”とは 
■10.“収益”と“コスト構造” 
■11. 全体を描いた時の気付きのポイント(付箋の数、貼りやすさ) 
■12. 全体が成長し、強くなるモデル「自己強化ループ」  (←今回はココ)
□13. 他社がまねできない! 「クリティカル・コア」 
□14. さらに顧客をひもとく「バリュープロポジション・キャンバス」 
□15. 思い切ってイノベーションの船出を! 「FORTHメソッド」

それでは、次回に続きます。

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国内ITコンサルティング企業のコンサルタント時代は、流通・小売、製造、地方銀行、官公庁等のコンサル、プロジェクトマネジメント、運用マネジメントを実践。 国内の大規模プロジェクトも多く経験。 現在の会社を設立後は、ビジネスモデルキャンバスを駆使し、企業内改善やイノベーション創出などの事業に邁進中。

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