「収益の流れとコスト構造」【第10回】

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 草苅 徹(ビリーブロード株式会社) > 「収益の流れとコスト構造」【第10回】
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

「収益の流れとコスト構造」【第10回】

2017/08/15

 前回は、「リソース(KR)」について説明させていただきました。第10回の本記事では、9つの要素の中の最後の2つ、「収益の流れ(Revenue Streams:以降RSもしくはR$と略称)」「コスト構造(Cost Structure:以降はC$と略称)」について説明します。

 まずは「コスト構造(C$)」です。この要素は、ビジネスモデルキャンバスの構造をよく見ていただくと、大変分かりやすいかと思います。「コスト構造」の上部には、「パートナー(KP)」「主要活動(KA)」「リソース(KR)」があるわけですが、どの要素もコストが発生する要素となっています。そのため、特に難しく考えなくとも、上にある要素を見るだけで、コストが把握できることになります。

 ただし、「チャネル(CH)」については、「コスト構造」の上部にないため忘れがちです。「チャネル」も、例えばそれが「Webサイト」であったり、「店舗」だったり、「リソース」に類するものであった場合は、当然コストとして加味する必要があります。「チャネル」の内容も見て「コスト構造」に加えていくようにしましょう。

「コスト構造」では変動費と固定費を意識する

 ここで、しっかり考えておきたいのは、コストが「固定費」なのか、「変動費」なのか、という点です。この差はビジネスプランに深く影響しますので、「コスト構造」を記載するにあたっては、各コストが固定費と変動費のどちらになるかを明記しておきましょう。さらには「初期コスト」なのか、「運用コスト」なのかについても、把握しておく必要があります。これも、分かりやすく明記するようにしましょう。

 次に「収益の流れ(R$)」ですが、これについても上部の要素を参考にします。基本的には、「価値提案」を受ける「顧客セグメント」から、報酬を受け取るわけですから、その旨を「収益の流れ」の中に記載します。

 その際、「顧客との関係(CR)」が重要な要素になり、ここでどのような関係を築くかによって、どのようなタイミングで、どの程度の報酬が入るかが決まってきます。例えば、顧客に会員になってもらうビジネスモデルを描いたとします。会員制ですから、一定の期間で会費をもらいます。これが収益になりますし、この場合の収益は、会員数と会費納入時期などから、いつどの程度の金額が入金されるかの予想が立てやすくなります。

  「コスト構造(C$)」は、「パートナー」「主要活動」「リソース」「チャネル」の各要素から、固定費と変動費、あるいは初期費用と運用費用に分類して明記する。
  「収益の流れ(R$)」は、「顧客セグメント」からの報酬を、「顧客との関係」で示された期間、頻度、などによって明記する。

 これを意識していただくと、事業計画策定時に、費用で大きく漏れ抜けが出たり、検討不足といったことが防げます。そして、その後意識することは、

 「コスト構造」 < 「収益の流れ」

となるように、調整していくことです。調整方法はそれぞれの上部の要素を見て、加減を付けていくことになります。

 コストを抑える必要があれば、「パートナー」「主要活動」「リソース」の内容を見直し、削減したり代替したりすることでコストを落とせるかを検討します。

 収益を上げることは難しいですが、「顧客セグメント」を見直して市場規模のより大きいターゲットを見つけるとか、「顧客との関係」を見直して安定して長期的に収益が出るパターンを見つけるという見直しをするようにします。

「コスト構造」と「収益の流れ」をビジネスモデルキャンバスに描く

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

アイティメディアの「コスト構造」と「収益の流れ」の例

 さて、ここまできて、ようやく9つ全ての要素の説明を終えました。 次回はこうして作成したBMCを俯瞰してみて、新たな気付きを探ります。

■1.  イントロダクション 
■2.  ビジネスモデルキャンバスとは何? 描くと何が良いの? 
■3.  “価値提案”とは 
■4.  “顧客セグメント”とは 
■5.  “チャネル”とは  
■6.  “顧客との関係”とは 
■7.  “パートナー”とは
■8.  “主要活動”とは 
■9.  “リソース”とは 
■10.“収益”と“コスト構造”  (←今回はココ)
□11. 全体を描いた時の気付きのポイント(付せんの数、貼りやすさ) 
□12. 全体が成長し、強くなるモデル「自己強化ループ」 
□13. 他社がまねできない! 「クリティカル・コア」 
□14. さらに顧客をひもとく「バリュープロポジション・キャンバス」 
□15. 思い切ってイノベーションの船出を! 「FORTHメソッド」

それでは、次回に続きます。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30009814


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 草苅 徹(ビリーブロード株式会社) > 「収益の流れとコスト構造」【第10回】

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
国内ITコンサルティング企業のコンサルタント時代は、流通・小売、製造、地方銀行、官公庁等のコンサル、プロジェクトマネジメント、運用マネジメントを実践。 国内の大規模プロジェクトも多く経験。 現在の会社を設立後は、ビジネスモデルキャンバスを駆使し、企業内改善やイノベーション創出などの事業に邁進中。

ページトップへ