データ活用経営を実現し、労働生産性向上のポイント1"いつでも"

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データ活用経営を実現し、労働生産性向上のポイント1"いつでも"

データ分析 2017/07/31

 キーマンズネットをご覧の読者の皆さま、フロムスクラッチの宮川です。前回から『データ活用経営を実現し、労働生産性を向上する3つのポイント』として、データ活用経営におけるポイントについてお話しています。

 第1回は消費者と企業をとりまく環境の変化により、データを活用して労働生産性を向上することが国家レベルの課題となっている現状についてお話しました。まだご覧いただいていない方はこちらからぜひご覧ください。

●データ活用経営を実現し、労働生産性を向上する3つのポイント

 第2回はデータを活用した労働生産性向上3つのポイント、“いつでも“、“ひとつで“、“だれでも”のうちの“いつでも”です。“いつでも”とは言い換えれば、「データが統合されていて、いつでもデータを使える状態をつくること」です。それは一体どのような状態なのか、詳しく説明していきます。

変わり始めている市場の温度感

 これまである種のバズワードだった「マーケティングオートメーション(MA)」を筆頭に、市場の興味関心は流行中のマーケティングツールに向く状態が続いていました。われわれの「b→dash」もマーケティングツール市場のトレンドに乗って、導入社数が急増しました。

 一方で、ここ1年程は市場の考え方が徐々にシフトしているように感じます。具体的に言うと、どの会社でもこれまで持っていた「MA神話≒ツールを入れればマーケティングが改善する、データマーケティングが実現できる」という考え方が崩れ、マーケティングツールをただ導入しただけでは改善されないことを徐々に認識するようになってきました。

 市場として、成功や失敗を含めてちょうど一巡目が終わってきている状況だと思います。

データの活用にのみ意識が集中している市場

 第一回の記事でも説明しましたが、消費者と企業をとりまく環境の変化により、データの利活用がトレンド化しています。その結果、ほとんどの企業やマーケターが「MAをやりたい」「One to One マーケティングをやりたい」「オムニチャネルをやりたい」など、マーケティングに関する要望や課題を多く抱えています。

 つまり、「企業が保有するビッグデータを最大限に活用できなければ、デジタル時代のマーケティングを最適化していくことはできない」という事実が、だんだんと認識されています。

 では、なぜ前述のようにツールを入れただけでは改善されないか。ここで重要になってくるのは、データを活用する前のプロセスへの意識です。一言で「データを活用したデジタルマーケティング」といっても、活用の前には(1)取得、(2)取込、(3)統合、(4)変換という4つの過程が存在します。

 米国では、データの取得、統合が重要であるという認識がまず広がり、その後で活用の必要性が喧伝されるようになりました。しかし、日本では、データの活用だけに目が向けられている現状があります。これではデータの真の活用を実現することはできません。データ活用に至るプロセスを知らないことで、データが生かせない、つまり“いつでも”データが使えない状況になってしまいます。

 MAのようなマーケティングツールはデータの「活用」領域を担うものです。その他にも、レコメンドやメール配信、BI(分析)ツールもデータの「活用」工程のツールです。これらのツールが機能するには、データの「取得」「統合」をしっかりと行わなければなりません。

 市場のトレンドに乗ってMAのようなデータの「活用」を担うツールのみを導入すれば、データの「取得」や「統合」もやってくれると勘違いしてしまっているケースを非常に多く耳にします。

データの「統合」とは

 では、データの統合とは具体的にどのような作業なのか。

 少々込み入った話をしますが、多くの場合、企業が保有するアクセスログデータ、広告接触データ、ビジネスデータはバラバラに管理されています。例えば、アクセスログデータではAさん、広告接触データではBさんとそれぞれのデータベースで管理されていますが、実は同じ人だったということが往々にして起こっています。 

 まずは、企業内で1ユーザーに対して共通のIDを設けて、それぞれのデータ同士をつなぎ合わせる作業が「統合」の役割になります。その結果、「どの広告からサイトに入ってきて、サイトではどのページを何秒くらい見ていて、どのメールを開いていて、この店舗でこの商品を購入した26歳の男性は宮川という人間だ」というカスタマージャーニーが分かるような状態を作れます。これを活用することで、顧客ごとに最適な広告配信などの施策を実施できるようになります。

 考え方は、検索エンジンと似ています。例えば、インターネットで物件を探す際、「西新宿 賃貸」よりも「西新宿賃貸 新築 オートロック 駅近 コンビニあり」と検索した方が、より自分にあった物件と出会える可能性は高まります。マーケティングでも同様で、多くデータを掛け合わせるほど、より精度の高いマーケティング施策を実施できます。

データ統合がもたらすメリット

 データ統合を駆使できれば、Webサイトを一度訪問した履歴のあるユーザーに対して一律に広告を出す「リターゲティング広告」のような、ユーザー属性などを考慮しない“雑なマーケティング施策”からの脱却も可能です。

 例えば、「30代男性」「3日以内にメールを開封したが、URLをクリックせず」「過去1年以内に10万円以上のサービスを購入した」という異なる領域から取得したユーザーデータを掛け合わせます。このように創出した統合データを基にすることで、個別のユーザーに対する最適なコミュニケーションが可能になります。                                     

 前述した通り、これからの時代においては、データを最大限活用し、最適化されたマーケティングを実施することが企業の存続に大きく関わります。自社のデータが統合されていなければ、やむなく精度の低い雑なマーケティングを実施するか、莫大な工数を必要とする統合作業を実施しなければなりません。しかし、作業が終わったころには消費者の環境が大きく変化していたということにもなりかねません。

 データが統合されている状態であれば、例えば分析のスピードを上げられます。これまでデータの取得や分析に数日間かかっていたところを数分に短縮することも可能になり、生産性を向上させられます。いつでもデータを使える状態にしておくことは労働生産性を高めるためには必要不可欠なのです。

データ統合を実現するには

 ではどうすればデータを統合し、“いつでも”活用できるようになるのでしょうか。大きく2つのアプローチが可能です。 

 1つは、(1)取得、(2)取込、(3)統合、(4)変換、(5)活用それぞれの機能を持つツールを導入し、連携させる方法です。しかし、この方法では複数のツールを導入することによるコストや、ツール間を連携させるための人的コストがかかってしまいます。 

 もう1つの方法は、(1)から(5)までのプロセスを全て備えているツールを導入する方法です。このようなツールの数は決して多くありませんが、比較的安価に導入が可能であるため、容易にデータの活用が可能になります。   

 ツールの導入を検討する上でのより具体的なポイントについては、次回の2つ目のキーワード“ひとつで”の回で詳しくご説明します。

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大学卒業後、国内独立系の戦略PRエージェンシーにてPRコンサルタント業務に従事。大手メーカーのコミュニケーション戦略策定から実行までを手がける。フロムスクラッチに入社。Corporate Strategy Co.にて自社のプロモーション/ブランディングプランの企画立案やオウンドメディア事業の統括、HR領域まで幅広い領域に従事。

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