販売チャネル、CRMとしてアプリを活用する方法【第4回】

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販売チャネル、CRMとしてアプリを活用する方法【第4回】

開発 2017/02/08

 前回の記事ではアプリを商品の認知拡大や購買の動機付けに活用するには何をゴールにし、どういった指標を重視すべきかということをご紹介しました。

 今回は残り2つの「セールス」と「リテンション」について、それぞれの役割を果たすアプリで成功するためのポイントを解説します。

アプリで売上を上げるために大切なこと

 セールスチャネルとしてアプリを位置付けた場合、Webサイトや店舗など他の販売チャネルと同様、アプリ単体で収益を上げることが重要です。

 例えば小売企業のアプリの場合、アプリのゴールである売上を構成する要素は以下のようになります。

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小売企業のアプリで「売上」がゴールの場合のKPIツリー

KPIと施策の例

 売上をアプリのゴールとした場合、売上を構成する要素はアクティブユーザーの数(xAU)と1ユーザーあたりの平均単価ARPU:Average Revenue Per User)に分解できます。ARPUはアプリのビジネスモデルによって異なりますが、小売企業のアプリの場合であればARPUは商品を購入するユーザー1人あたりの平均購入単価ARPPU:Average Revenue Per Paid User)に購入するユーザーの割合(PUR:Paid User Rate)をかけたものになります。

 ARPPUを構成する要素は商品の単価、1回あたり購入数、購入頻度であり、ユーザーあたりの売上を伸ばすためにはこれらの指標をプッシュ通知やアプリ内メッセージなどによって高める必要があります。

セールスにフォーカスしたアプリの事例

 ここからは売上増を役割としたアプリの事例をご紹介します。

ピザの注文アプリ「Zero Click」

 ドミノピザは2016年春に「Zero Click」というアプリをリリースしました。その名の通り「クリック」すらする必要がなく、アプリの初回起動時に注文するピザ、住所、支払方法を登録しておけば2回目以降はスマホからアプリを立ち上げただけでピザが注文できるというものです。

 このように注文プロセスを極限まで省略することで、顧客がふとピザが食べたくなったときの迅速なサービス提供を実現しています。

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ドミノピザの注文アプリ「Zero Click」

日本交通のタクシー配車アプリ

 日本交通が提供しているタクシー配車アプリでは、事前にスマートフォンでのクレジットカード情報を登録した上で配車依頼をすると、降車時の支払い手続きが不要になる機能を提供しています。

クレジットカードの登録の他に「auかんたん決済」「Yahoo!ウォレット」「ドコモケータイ払い」といった各キャリアが提供している決済方法と連係することで、アプリ内決済の登録障壁を下げています。

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日本交通のタクシー配車アプリ。支払いオプションにキャリアの決済を提供し、アプリへの決済情報の登録ハードルを下げている

「リテンション」(顧客維持)としてのアプリのゴール、求められる機能とは

 自社製品やサービスを購入した顧客の情報を管理し、顧客の嗜好に合わせたコミュニケーションによって関係を維持する活動をCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)と呼びます。

 CRMの目的はLTV(Time Value:顧客生涯価値)の向上に他なりません。LTVを高めるためには顧客のサービス利用期間、サービスの利用頻度、購入単価を上げることが重要であり、リテンションを目的としたアプリの役割も同じです。

 アプリを顧客維持に活用するための一歩進んだ取り組みとしては、DMPなどにより管理されている自社の顧客データベースとの連係があります。

 なぜなら、アプリ以外の顧客接点から得られる情報を活用することによって、顧客の興味、関心や特性に基づいた顧客にとって有用な情報やサービスを提供することが可能になるからです。

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顧客との有効なコミュニケーションを実現するためには、アプリ以外の顧客接点から得られる情報も活用し、顧客の興味・関心や特性に基づいた顧客にとって有用な内容を提供することが重要

 例えばゴルフに特化したEC、予約、メディアなどさまざまな事業を展開しているゴルフダイジェスト・オンラインでは、自社ECサイトの購買履歴を元に、まだECサイトを利用したことのないユーザーに対してアプリのプッシュ通知でクーポンを送り、既存顧客の単価アップにつなげました。

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アプリ内でクーポンを発行し、そのクーポンを1週間以内に利用していないユーザーにはさらに限定クーポンをプッシュ通知で配信。結果、ECサイトの利用者数は2倍になった

このようにチャネルを横断した施策によって、既存顧客の囲い込みが可能になります。

「リテンション」(顧客維持)を役割としたアプリの事例

既存顧客の維持を目的としたアプリの事例をご紹介します。

バーニーズニューヨークの顧客管理アプリ

 米国の高級百貨店バーニーズニューヨークでは、顧客の過去の購入履歴や自社サイトの商品検索履歴を見ることができるアプリを従業員向けに提供し、そのデータをもとに実店舗で顧客の興味関心に合った商品をお勧めするなどといったパーソナライズした接客を実現しています。

あきんどスシローの座席予約・受付アプリ

 回転すし最大手のあきんどスシローでは、顧客が店舗を訪れたときに待ち時間なくサービスを提供するために座席の予約・受付ができるアプリを提供しています。

 GPSを活用して近隣店舗の待ち時間を確認できる機能や座席に案内してもらえる時間になるとプッシュ通知が届く機能など、アプリならではの特性を生かして訪れるユーザーの利便性を高めています。

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1カ月先までの日付を予約できるほか、アプリが店頭で発券される整理券の役割も果たしている

 連載第3回と第4回を通じて、B2C企業でアプリが果たすべき3つの役割「プロモーション」(集客)、「セールス」(販売)、「リテンション」(顧客維持)と各役割におけるアプリの重視すべき指標や事例についてご紹介しました。

 次回は、リリース後のアプリ運用で気を付けるべきことについてご紹介し「作りっぱなし」にしないためのヒントをお届けします。

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キーマンズネットとは
1990年新潟県生まれ。新卒で朝日新聞社に入社し、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」のWEBディレクターとしてWEBサイトとアプリの改善に従事。2016年1月にアプリの解析・マーケティングツールを提供するRepro株式会社にジョインし、マーケティング担当として見込み顧客の獲得とアプリマーケティングの啓蒙に励む。

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