マーケティング施策におけるアプリの活用【第2回】

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マーケティング施策におけるアプリの活用【第2回】

開発 2017/01/25

 前回の記事では、ここ数年でも大きく変化したスマートフォンを取り巻く環境と、消費者がスマートフォンを利用する時間の大部分を占めるモバイルアプリは「リッチな操作性」「オフライン利用」「パーソナライズ」といった観点でスマホサイトに勝っていると説明しました。

 連載第2回では、引き続きスマホサイトと比べた時のアプリの優位性についてご紹介します。

モバイルにおける最強のマーケティング施策「プッシュ通知」

 スマートフォンを利用している顧客へのマーケティング施策として、メールやソーシャルメディアなどもありますが、アプリではプッシュ通知も使うことができます。

 プッシュ通知の特徴はリアルタイムでお知らせができる点と、スマートフォンのロック画面からでも情報を伝えられるという点です。

リアルタイム性がある

 メールやソーシャルメディアでは発信した情報がユーザーに読まれるまでにタイムラグがあり、期間限定のキャンペーンといったリアルタイム性が重要なマーケティング施策の効果を最大化できない、緊急時のお知らせなどをすぐに伝えることができないという問題があります。

 プッシュ通知はユーザーが通知を許可していればリアルタイムで情報を届けることができるため、届けたい情報を適切なタイミングで配信し、施策の効果を高めることができます。

 例えば、アメリカの大手百貨店メイシーズのアプリには「In-Store Notifications」という機能があり、ユーザーが店舗に入った時におすすめ商品の情報や割引クーポンなどをプッシュ通知で送ることでユーザーの買物体験を向上させ、売上につなげています。

スマートフォンのロック画面からユーザーに情報を届けることができる

 アプリとしてサービスを提供することで、スマートフォンのロック画面にプッシュ通知を使い、情報を届けることができます。ロック画面はスマートフォンを利用していれば1日に何度も目にするいわば「スマホの“一等地”」であり、通知さえ許可していればユーザーは必ず目にします。ここにユーザーの関心を引くような情報を届けることができれば、プッシュ通知を通じて自社とユーザーの結び付きをより強めることができるでしょう。

 最近はスマートフォンのロック画面に表示するプッシュ通知の表示も画像や動画などを含めることができるようになり、ユーザーの目を引きやすくなりました。

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リッチ通知を利用したgifアニメーション付きプッシュ通知の例

 また、ディープリンクと呼ばれる技術を使えば、ユーザーをロック画面から直接目的のページに遷移させることができます。これによって、有料会員登録や商品購入などのゴールにユーザーをより早く到達させることが可能です。

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ディープリンクを設定しているプッシュ通知では開封先に目的のページを指定できるため、ユーザーを見せたいページに直接遷移させることができる

プッシュ通知は他のマーケティング施策よりも高い効果を発揮している

 米国の調査会社であるフォレスター・リサーチのレポートによると、プッシュ通知の開封率はメールの開封率より50%以上高く、クリック率も2倍近く高いという結果が出ています。このレポートからもプッシュ通知がモバイルにおけるマーケティング施策として有用であることが分かります(脚注1)。

「アプリ開発は費用対効果に見合わない」という誤解

 ここまででアプリを活用したマーケティングの優れている点についてご紹介しましたが、それでも「アプリは開発コストが掛かる割に売上につながらない」というイメージをお持ちの方もいるかと思います。

 確かにAppleのiPhoneをはじめとしたスマートフォンが市場に出たばかりの頃はiOSやAndroidアプリケーションの開発を専門としているエンジニアや開発会社はほとんどおらず、予算を抑えてアプリを開発することは困難でした。

 しかしながら今はアプリの受託開発を専門としている開発会社がいくつもあり、実績や得意とするアプリのジャンルなどから予算に合わせて最適なベンダーを選択することができます。

 さらにGoogleのFirebaseやMicrosoftのAzureなど、mBaas(mobile Backend as a Service)と呼ばれるモバイルアプリを開発する際に必要となる機能をクラウドで提供するサービスも発達し、簡単なアプリであれば数カ月で企画からリリースまで終わらせることが可能になりました。

 こうしたアプリ開発を取り巻く環境の変化により、数年前と比べて今はモバイルアプリに関する技術や知見が無い企業でもモバイルアプリを企画し、コストを抑えて開発しやすくなっているといえます。

 小売や百貨店などの業界を中心にアプリが売上の一部を担っているケースも増えており、売上全体に占めるアプリ関連の売上は今後さらに増加するでしょう。

リスクは無いのか?

 これはアプリに限ったことではありませんが、アプリを作ってもうまくいかないリスクはあります。米Gartnerは2018年までにB2C向けのモバイルアプリでマネタイズに成功するのは0.01%以下になると予測しています(脚注2)。アプリ開発のハードルが下がり、アプリビジネスを始める人が増えているということは、それだけ失敗している人も増えているということです。

 こうした失敗のリスクを避けるには、アプリを企画する際に既存事業のなかでアプリが果たす役割を「プロモーション」(集客)、「セールス」(販売)、「リテンション」(顧客維持)の3つのどこに位置付けるかを明確にすることが重要です。自社の事業とシナジーのあるアプリを考えるためのポイントについては次の回で詳しくご説明します。

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キーマンズネットとは
1990年新潟県生まれ。新卒で朝日新聞社に入社し、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」のWEBディレクターとしてWEBサイトとアプリの改善に従事。2016年1月にアプリの解析・マーケティングツールを提供するRepro株式会社にジョインし、マーケティング担当として見込み顧客の獲得とアプリマーケティングの啓蒙に励む。

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