B2C企業がアプリを開発すべき理由【第1回】

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 伊藤 直樹(Repro株式会社) > B2C企業がアプリを開発すべき理由【第1回】
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

B2C企業がアプリを開発すべき理由【第1回】

開発 2017/01/18

 初代iPhone発売から9年が経ち、消費者がさまざまなシーンでスマートフォンを利用するようになった今、小売、運輸、出版、不動産といったITサービスの提供を主な収益源にしていないB2C企業においてもモバイルアプリを自社ビジネスに生かしたいという機運は益々高まってきており、実際に多くのアプリが世に出ています。

 しかしながら、自社ビジネスとの親和性やモバイルアプリだからこそできるメリットを十分に考慮せずに開発されたアプリも多いのが現状です。

 これらのアプリは多額の費用をかけたにもかかわらず、ダウンロード数ばかりを気にしてアプリ本来の目的が見失われてしまっているものが多く、結果、「モバイルアプリはもうからない」という主張を後押しする要因にもなってしまっています。

 本連載では上記のような状況を見直す一助となるべく、これまで世界25カ国、2700以上のモバイルアプリに導入され、さまざまなアプリの成長を支援してきた弊社の実績を元に、B2C企業がアプリを企画・制作・運用し、収益を上げるために知っておくべきことを解説していきます。

 初回ではB2C企業がアプリの企画・制作・運用に取り組むべき理由を探っていきます。

B2C企業がモバイルのチャネルを強化すべき理由

 スマートフォンを使うユーザーはここ数年で飛躍的に増大しました。

 ニールセンの調査によると、スマートフォンでのインターネット利用人口は2016年6月時点で5,566万人と3年前と比べおよそ2倍になっています(脚注1)。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

スマートフォンからのインターネット利用人口はここ3年で約2倍に

 年代別に見ても10代から60代まで、どの年代でもスマートフォンの利用率は伸びており、モバイルはもはや若い世代を主な顧客とした企業だけが取り組むべきものではなく、消費者に対して製品やサービスを提供している企業であれば、強化すべきチャネルだということが分かります(脚注2)。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

全年代でスマートフォンの利用率は増加

スマホサイトではなくアプリとしてサービスを提供するメリット

 ここまででモバイルが消費者の生活に浸透・定着していることをご紹介してきましたが、「うちは既にスマホサイトがあるからアプリは必要ない」という反論もあるかと思います。

 しかしながら、スマートフォンでのスマホサイト(ブラウザ)とアプリの利用時間を比較すると、ライトユーザーかヘビーユーザーかに関わらずアプリを使う時間のほうが長いという結果も出ており、スマートフォンにおける利用の中心はアプリだということが分かります。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

スマートフォンユーザーは一日のスマートフォン利用時間のうち約8割がアプリの利用に費やされる

 スマートフォンユーザーはブラウザよりもアプリを使う時間の方が長いというだけではなく、アプリは多くの面においてスマホサイトよりも優れており、アプリにすることで既存顧客との接点を多く作ることができたり、新たな顧客層を開拓することができます。

 ここからはスマホサイトではなくアプリとしてサービスを提供するメリットをご紹介します。

スマホ端末ならではの機能や、スマホサイトではできないUXが実現できる

 アプリでは、ピンチイン、スワイプ、タップなど、スマホサイトでは対応できない操作性を持たせることができます。それにより、スマホサイトよりも快適に自社のサービスを使ってもらい、顧客の継続率や課金率を高めることができます。

 例えば、ケーキの注文アプリを運営しているBAKEという企業は、モバイルアプリにおけるケーキ注文までのUIを最適化し、アプリでのケーキ購入率をPCやスマホサイトと比べて20%以上高めることに成功しています。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

大きな画像付きのボタンをタップしていくUIによって、自分がどんなケーキを注文しようとしているのかが視覚的に分かりやすくなり、注文プロセスでの離脱率は低下。購入率は20%アップした

 操作性だけではなく、カメラ、GPS、加速度センサーなどスマートフォンにもともと備わっている機能を利用できる点もアプリのメリットとなります。

 例えば、三菱東京UFJ銀行の口座開設アプリでは、Webサイトでは手動で個人情報を入力しなければいけないところを、端末のカメラ機能を使うことによって運転免許証などを写真撮影するだけで可能にし、入力の手間を減らしています。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

端末のカメラで運転免許証を撮影することによって個人情報が自動で入力される
参照: 三菱東京UFJ銀行のスマートフォンアプリ「スマート口座開設」
http://www.bk.mufg.jp/tsukau/app/kouza/index.html

 このように、スマートフォン端末ならではの操作性や機能を利用することによってユーザーの利便性を高めることができます。

オフラインでも利用できる

 スマホサイトは端末がインターネット接続がなければ利用することができませんが、アプリによってはオフラインでも動作することを前提に機能を提供しているものもあります。

 例えばGoogleが提供している地図アプリ「Googleマップ」では、オフラインで閲覧したい範囲を選択すれば地図データをダウンロードすることができます。これによって、機内などインターネット接続がない状況でも旅行先の地図の確認が行えます。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

「Googleマップ」のオフラインマップダウンロード画面
他にオフラインで機能を提供しているものとしては動画アプリや音楽アプリがある

パーソナライズできる

 アプリでは、アプリユーザーの興味関心、位置情報、利用頻度、ソーシャルグラフなどを利用して個々のユーザーに合わせたコンテンツ提供やマーケティング施策を実行することができます。

 さらに、アプリ以外にもWebサイトや実店舗などのチャネルを持っている企業は、各チャネルから得られた顧客データやPOSデータをアプリが持つデータと連携させ、チャネル横断的な顧客体験を作ることができます。

 例えば、ゴルフに特化したEC、予約、メディアなどさまざまな事業を展開しているゴルフダイジェスト・オンライン社では、スコアを管理するアプリの利用者データとECサイトの購買データを自社DMPに統合し、ユーザーごとに最適なクーポンをアプリで配信してECサイトの利用者数を2倍に増やすことに成功しています。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

アプリ内でクーポンを発行し、そのクーポンを1週間以内に利用していないユーザーにはさらに限定クーポンをプッシュ通知で配信。結果、ECサイトの利用者数は2倍になった

 アプリから収集できるデータ以外も活用することで、各顧客に合わせた適切な内容のコミュニケーションを行うことができるようになります。

最後に

 初回となる今回は、ここ数年の消費者のスマートフォン利用の変化、そしてその中でも中心的な役割を果たすモバイルアプリ開発のメリットを「リッチな操作性」「オフライン利用」「パーソナライズ」といった観点から解説しました。アプリにすることによって自社が提供するサービスをより長く使ってもらったり、商品購入や会員登録などサービスのゴールに到達するユーザーの割合を高めることができます。

 しかしながら、モバイルアプリがスマホサイトに勝っているところはこれだけではありません。次回はマーケティング施策におけるアプリの活用について事例を交えながら解説していきます。

脚注1: ニールセン株式会社 「DIGITAL TRENDS 2016上半期」
http://www.netratings.co.jp/news_release/2016/09/Newsrelease20160928.html

脚注2: 平成27年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/data/research/survey/telecom/2016/01_160825mediariyou_gaiyou.pdf

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30009449


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 伊藤 直樹(Repro株式会社) > B2C企業がアプリを開発すべき理由【第1回】

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
1990年新潟県生まれ。新卒で朝日新聞社に入社し、ニュースサイト「朝日新聞デジタル」のWEBディレクターとしてWEBサイトとアプリの改善に従事。2016年1月にアプリの解析・マーケティングツールを提供するRepro株式会社にジョインし、マーケティング担当として見込み顧客の獲得とアプリマーケティングの啓蒙に励む。

ページトップへ