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メインフレームとOSSの相性がいい理由

サーバー 2016/09/20

絶対に落とせない、エラーできない金融機関の基幹業務をLinuxで運用は可能?

 大学や研究機関だけでなく、ビジネスの世界においてもオープンソースソフトウェア(OSS)の重要度がますます高まってきています。

 OSSは今や、LAMP(Linux、Apache、MySQL、PHP)スタックに代表されるようなWebサーバ、データベースサーバなどの主要ミドルウェアだけのものではありません。例えば、ソフトウェア開発フレームワーク、Apahe HadoopやSparkに代表されるようなデータ分析基盤、OpenStackのようなクラウドインフラ基盤、あるいはマイクロサービス間のメッセージング処理などでも活用されており、今やエンタープライズ分野での実績も多数持っています。

    このように、OSSが広くエンタープライズ領域で採用されるようになってきている背景には、市場ニーズの多様化や予測しきれないビジネス環境の変化に対して、エンタープライズのITシステムであっても、高いレベルでタイムリーに対応しなければならないという厳しい要件があります。  

 各プロジェクトのポリシーにもよりますが、OSSは世界中の技術者らが開発に参加し、常に新しい技術の取り込みやセキュリティリスクへの対処などをオープンに議論しています。また、成果は誰でもすぐに利用できます。
  
 常に最先端のテクノロジーが実装され、日々改良が重ねられ、誰でもすぐに利用できるという特徴を備えたOSSは、昨今の変化が激しいビジネス環境で求められる、現代的なエンタープライズシステムの要件をクリアしていくためのベストな選択であると考えられているわけです。  

 一方でハードウェア(サーバ)はコモディティ化が進んでおり、個々のエンタープライズシステムで求められる「信頼性」「可用性」「スケーラビリティ」「セキュリティ」といった、個別の非機能要件を必ずしも満足できないという課題に頭を悩ませるケースも増えています。  

 やりたいことをすぐに実装できるというソフトウェアの観点と、実装した機能を安定して運用できるというシステム基盤としての観点の両立が、ビジネスの世界では非常に重要ですが、一般的なコモディティハードウェアでは後者の「安定して運用」という点では、どうしても超ハイエンドな環境と比較すると見劣りします。例えば「無停止運用」といったときに、金融機関の決済業務システムと、IAサーバの冗長構成で運用するWebアプリケーションとでは許容されるSLAのレベルが異なるのです。  

LinuxONEが必要な理由

 IBMはこういったニーズに応える基盤として「LinuxONE」を2015年に発表しました。LinuxONEは、IBMのzシステムズで培ったメインフレーム技術が注ぎ込まれたLinux専用のエンタープライズサーバです。

 Linuxというと、IAサーバで動作するものを想起するかもしれませんが、メインフレームでも同じように動作します。CPUはIBM POWERの技術を取り入れた専用プロセッサーです。広帯域や堅牢性といった特徴をフルに生かしつつ、もっとも普及したOSSのOSであるLinuxとそのエコシステムの利点を享受できる環境がLinuxONEです。

 具体的には5.0GHzの高速コアを最大141個搭載でき、あらゆるワークロードを1台でこなすスケーラビリティを備えています。また、信頼性、可用性、セキュリティの高さに関しては、金融機関の基幹システムをはじめとして世界中の重要業務を長年支えてきたメインフレームの実績が証明している通りです。

 そして、当然ながら、LinuxONE上ではさまざまなOSSを稼働させ、あらゆるビジネスニーズに対応するシステムを作ることができます。

 Linuxシステムではまだまだ金融機関の基幹業務システムを運用させられる安定性はない――これは過去によく言われていた話です。しかし、メインフレームの堅牢なハードウェアと回路の上で、十分に検証された専用OSとしてLinuxが搭載されているならば、話は異なります。

 最近ではFintechやMarketing×Techといった「業界×Tech」に注目が集まっています。業界×Techが注目される背景には、スマートフォンアプリケーションに代表されるように、コンシューマーITの世界で、ユーザー体験のデザインが著しく発展してることが挙げられます。

 企業が持つ静的な、あるいはレガシーな基幹業務システムであっても、最新のWeb技術やアプリケーションAPIを活用して、新らしいサービス開発を推進したり、あるいは新たな価値創造を目指していかなければ、ユーザー(顧客)の支持を得続けることが難しくなると考えられているからです。

 FinTechでいえば、金融機関の周辺業務ではなく基幹業務の領域でも、Web APIで他のシステムと連携したり決済したりといった技術が求められます。この技術を自社だけで開発するのは時間的にも工数的にも現実的ではありません。そこで、世界中の開発リソースを活用して発展を続けるOSSであるLinuxとそのエコシステムを利用して、メインフレーム環境に俊敏さと現代的な新しい価値を付加していこうというのが、私たちがメインフレームLinuxを提案する理由なのです。

メインフレームLinuxを無償で試せる「LinuxONE Community Cloud」

 「メインフレームLinux」と言われても、いま運用しているメインフレーム上に導入するわけにはいきません。もちろん、そのためにもう1台ハイエンドサーバを調達するというのも、現実的ではないでしょう。

  実は今、このLinuxONE上に仮想サーバ(My Linux)を1台作成し、誰でも自由に利用できる無償サービス「LinuxONE Community Cloud」が用意されています(サーバ拠点はシラキュース大学、マリスト大学他)。

 利用するには「LinuxONE Community Cloud(https://developer.ibm.com/linuxone/)」にアクセスして簡単な手続き(Webブラウザから必要な情報を入力するだけ)でIDとパスワードが発行され、わずか数分で自分専用の仮想サーバを手に入れることができます。手順は次回、順を追って紹介します。

LinuxONE Community Cloud

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
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LinuxONE Community Cloud
LinuxONE Community Cloudでは、無償でメインフレームLinuxを試せる

 前置きが長くなりましたが、次回からはいよいよ「メインフレームLinux」がどのようなものか、「メインフレームらしさ」や「Linuxらしさ」がどう盛り込まれているのかを、実際に試しながら見ていきます。お楽しみに!

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キーマンズネットとは
2002年からLinux/OSSを活用したシステム開発や提案活動、品質向上のための取り組みなどに従事。2006年以降は「メインフレームLinux」を専門とし、お客さまの重要業務に高信頼・高品質なシステムをお届けしてきた。2016年には、長年の経験を生かして「Linuxアンバサダー」に就任。講演などを通じた啓蒙活動にも力を入れている。

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