2016/10/04
今回はメンタルヘルス不調者を出さないために、職場で何ができるかを“職場のよくあるシーン”を使って考えたいと思います。
Aさんは、1カ月前に別の職場から異動してきた50歳代の技術者。すでに多くの経験を持っており、前の職場でも責任者として活躍していました。組織改編に伴い異動してきたのですが、管理者であるあなたはAさんについて次のように考えています。
ところが、この「はず、はず」の思い込みは通用しませんでした。
Aさんは、新たな職場の勝手が分からずに戸惑い、同僚に相談するも「私には分かりません」と断られてしまいます。同僚も決して意地悪をしているのではなく、「担当が違うから分からない」との返事。みんな忙しそうに仕事をしているため、声をかけづらい雰囲気であるとAさんは感じていました。
また上司から期待されているため、周りに迷惑を掛けてはいけない、自分で解決しなければならないと思っていたのです。上司であるあなたは出張や打ち合わせで席にいることは少なかったのですが、「Aさんは大丈夫、何とかやってくれているはず」と思い込んでいました。
このような状態で時がたち、不幸にもAさんは仕事でのミスが続き、遅刻が増え、休みがちになり、メンタルヘルス不調に陥ってしまったのです。このケースにおいて、対策として管理者は何をすべきであったか考えてみましょう。
体調不良を訴えて遅刻が多くなり休みがちになったAさんに「人間なんだから体調を崩すこともある、病院に行っているのだから大丈夫」とあまり気に留めていませんでした。メンタルヘルス不調の前兆として、
などがあげられます(右図)。これらの症状が見られれば、本人に声をかけ不安な気持ちを聞き出しましょう。 |
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![]() メンタルヘルス不調の前兆 |
先ほどの前兆が現れるステージでは、すでにメンタルヘルス不調が始まっています。それよりも前に対策をとり、メンタルヘルス不調を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
メンタルヘルス不調となる原因のストレスには、職場異動という環境変化があります。またプライベートでの「肉親の突然死」「別居や離婚」といった家族の悲しい出来事から、「結婚」「妊娠」「出産」「子供の進学」などといった一見喜ばしい出来事もストレスになることがあります。部下が男性であっても、その奥さんの「妊娠」「出産」もそれに当たります。そんな部下に対しては特に気に掛け、声をかけ、不安を吐き出させるなど話をする時間を取りましょう。
上司が気に掛けていてくれていると知るだけで、部下はストレスが軽減ができ安心するものです。
メンタルヘルス不調になってしまうのは前項の様なストレスが要因といわれていますが、要因が明確でない場合も多くあります。この場合、不要なストレスを感じさせない職場づくりが大切です。仕事にストレスはつきものです。ただ、ここでいう「不要なストレス」とは、協力者であるべき職場メンバーが非協力的であるとか、相談できるはずの同僚や上司に相談しにくいなど、一人一人の生産性を下げてしまっていることを指します。
そして、その対策として以下のような「会話をする職場づくり」が大切なのです。
また、普段から職場のミッション、個人の役割について繰り返し伝えることで、全員が一体感を持ち、同じ方向を向いて取り組む職場の雰囲気を作り上げることができます。そんな職場であれば、ストレスを溜め込まず未然にメンタルヘルス不調者を出すことを防げるでしょう。
今、あなたは部下や同僚のいつもとの違いに気付けますか?不要なストレスを感じさせていませんか?皆の顔はいきいきとしていますか?周りをよく見てみましょう。
次回は、希望した職場に配属されず、メンタル不調が発生してしまった若手社員への対策についてお話します。
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