IFRSを利用した経営改革!情報システム部門が果たすべき役割は?

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IFRSを利用した経営改革!情報システム部門が果たすべき役割は?

基幹系システム 2016/08/31

 日本においてIFRSの任意適用がスタートして久しい。当初は多くの企業が様子見の状態であったが、最近IFRSの任意適用企業数が急増している。そして、その適用目的として「グローバル経営管理」がキーワードとなっている。

 本稿では、来たるIFRS時代における「グローバル経営管理」のため、情報システム部門が果たすべく役割について考察したい。

IFRSを取り巻く最近の動向

INDEX

1.

IFRSはグローバル会計基準

2.

トレンドからスタンダードへ

3.

IFRSはグローバル経営管理のための必須ツール

1.IFRSはグローバル会計基準

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■ IFRSとは? 
 まず、IFRSとは何であったかを確認しよう。IFRSとは「国際財務報告基準, International Financial Reporting Standards」の略であり、国際会計基準審議会(IASB)により設定された会計基準の総称である。2005年よりEC域内市場の統一基準として適用が義務付けられたのを契機として、現在では120を超える国や地域で利用されている。

 IFRSはグローバルスタンダードとしての地位を固めつつあり、事実上の「グローバル会計基準」といえるだろう。


■ 会計基準もグローバル化の流れ
 会計基準はもともと各国がそれぞれ自国のルールとして定めるものであった。しかしながら企業活動のグローバル化に合わせ、企業業績を測定するルールである会計基準についても、世界で通用する共通ルールが必要となった。

 グローバル経済の中でグローバル会計基準により企業業績が測定されるという、自然な流れである。


 ■ 日本もグローバル化の波に乗る
 日本はアメリカと同様、強固な自国会計基準を持っていた。それだけに「グローバル会計基準への対応」という点では後手を踏んだ感は否めない。しかし、2005年のEC域内におけるIFRS強制適用を契機としたグローバル化の波は無視できず、2007年の東京合意に基づき、日本基準とIFRSとのコンバージェンス手続(IFRSとの基準間差異を無くす手続)が開始され、また、2010年3月期にはIFRSの任意適用が開始された。

2.トレンドからスタンダードへ

■ 日本企業のIFRS任意適用数は急増中 
 2010年3月期より開始したIFRS任意適用は、当初は各企業が様子見の状況にあったことや適用要件が厳しかったこともあり、その反応は鈍いものであった。しかし近年、IFRS任意適用数は急増の一途をたどっており、2016年3月末時点において128社(適用決定・予定企業も含む)、時価総額は東証上場会社の時価総額の4分の1を超える規模となっている(図1参照)。

図1 日本企業のIFRS適用状況

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図1 日本企業のIFRS適用状況
図1 株式会社東京証券取引所『「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示内容の分析(2016年4月13日)』より引用

■ 急増の背景は? 
 IFRS任意適用数が急増しているきっかけとして、まず2013年10月のIFRS任意適用要件の緩和が挙げられる。これにより、実質的に全ての企業でIFRSを任意適用することが可能となった。

 さらに、2014年6月に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2014」において「IFRSの任意適用企業の拡大促進」が明記され、国家レベルで日本企業のIFRS任意適用を後押ししていく方向に舵を切った。なお実務上は、適用事例が徐々に積み上がってきたことにより、IFRS任意適用時の負荷が軽減されてきたことも理由の1つであろう。


■ IFRS時代への突入 
 今後、IFRS任意適用数はさらに増加していくことは容易に予想される。現実に、IFRS任意適用に前向きな検討をしている企業の話は引き続きよく聞かれる。日本もとうとう本格的なIFRS時代に突入したと言ってよいであろう。IFRSはもはや「トレンド」ではなく、「スタンダード」であるという認識を持つべきである。

3.IFRSはグローバル経営管理のための必須ツール

■ IFRSを導入する目的は? 
 そもそもなぜ企業は時間とコストをかけてまでIFRSを任意適用するのだろうか。2015年に金融庁が実施したIFRS任意適用企業への実態調査・ヒアリングによると、IFRSの任意適用を決定した理由や想定メリットとして以下の事項が挙げられている(図2参照)。

図2 IFRSの任意適用を決定した理由や想定メリットとして各社が1位に順位付けした項目

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図2 IFRSの任意適用を決定した理由や想定メリットとして各社が1位に順位付けした項目
図2『IFRS適用レポート 本編 任意適用を決定した理由又は移行前に想定していた主なメリット - 2015年4月15日(金融庁)』より抜粋

■ IFRS導入はグローバル経営管理への入り口  
 特筆すべきは「経営管理への寄与」を挙げた企業数が最も多かったことである。
これらの企業は世界各国に子会社を有している日本を代表するグローバル企業であるということもあるが、これまでは各国で会計基準が異なっていたため、各子会社の業績を正しく評価することが難しかった。そこで、IFRSという「世界共通のモノサシ」を使ってグローバルベースでの業績評価基準の統一など経営管理を高度化し、ひいては企業の国際競争力を強化するツールとしてIFRSを利用しようとするものである。

 つまり、IFRS任意適用を単なる「会計基準の変更」と捉えるのではなく、「グローバル経営管理への入り口」と捉えることができるかが重要である。


■ グローバル経営管理におけるシステムの重要性
 
IFRSをグローバル経営管理のためのツールと捉えた場合、システムの果たす役割がよりクローズアップされることになる。実際にIFRS任意適用を契機としてシステムを全面改修した企業も存在する。企業の情報システム部門は、今起こっている変化または今後起こるだろう変化に対して、しっかり対処していかなくてはならない。 

 次回は、IFRS時代における情報システム部門の役割を考察する。

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キーマンズネットとは
株式会社ディーバ 連結会計事業部 マネージャー 公認会計士。多数の上場企業や上場準備企業の監査・コンサルティング業務においてプロジェクトマネジメントの経験を有し、また、会計士講師としての講師経験も持つ。特にIFRSや国際税務分野に精通しており、現在も多くのIFRSプロジェクトに参画、提案を行っている。

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