検索ワード分析で明らかになった就活生の意外な行動とは?

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検索ワード分析で明らかになった就活生の意外な行動とは?

データ分析 2016/08/08

 2016年7月13日〜15日、東京ビッグサイトで開催された「総務・人事・経理ワールド2017 HR EXPO」の特別講演(14日)では、「Googleと考える新卒採用戦略〜検索データを活用したデジタルソリューション〜」と題し、グーグル新規顧客開発本部統括本部長・廣田達樹氏が登壇した。

学生を動かすにはスマートフォンへのアプローチが不可欠

 「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」のがグーグルの事業コンセプト。多岐にわたる事業の根幹にあるのは検索技術だ。これをどう人事に活用できるかが、今回の廣田氏の講演の趣旨だ。

 その例として、人事の大きな課題である採用に関わる「就活生の行動」を読み取る方法が紹介された。まずは学生の情報収集方法についてである。メディアへの接触時間は2010年には新聞雑誌などのオフラインメディアが40%、PC/スマートフォンを利用するオンラインメディアが47%。これが2015年には前者が26%、後者が64%に変化した。64%の内訳ではスマートフォンが37%、タブレット8%、PC19%になっている。メディアへの接触は圧倒的にスマートフォンを利用するケースが多い。またスマートフォンを起動する回数は1日に150回、その1回あたり利用時間は約1分11秒、1日の起動時間合計で177分に及ぶという。

 そのスマートフォン利用時間に学生は何をしているのかを調査したところ、「購入直前の判断」が82%、「予期せぬ問題への対処」が62%、「長期的な検討に関する情報収集」が90%となった。就職という長期的な検討を要する問題にもスマートフォンを利用した情報収集をしている姿が容易に想像できる。またスマートフォンの利用時間帯も1日の中に点在しており、情報提供側としては多くの接触機会がある。そこで「学生を動かすためにはスマートフォンへのアプローチが必要不可欠」と廣田氏は言う。

予想と真逆だった就活生の行動スケジュール

 では学生とはどうコミュニケーションをとればよいのだろう。廣田氏は、それを考える前に就活生の一般的な行動スケジュールを知るべきだとする。一般的に考えると、まず就活生自身の自己分析があり、決めた方向で業界を研究し、その後企業の研究を行う順番になりそうだが、現実の2016年卒学生の検索データに基づく行動分析では、それと真逆の結果が出た。

予想される検索の盛り上がり

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予想される検索の盛り上がり

16卒 就活生 実際の検索データ

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16卒 就活生 実際の検索データ


 実際の検索数は、企業研究に関する検索ワードが2015年1月から急上昇を始め、3月にピークを迎えていた。一方、自己分析関連検索は緩やかに上昇しながら3月にピークがある。業界研究はあまり盛り上がることなく、2月にかすかなピークを認めるのみだ。この結果から、就活生はまず企業研究から始め、その企業が自分に適しているかどうかを自己分析して確かめる傾向にあると考えられる。

 さらに企業研究関連検索においては73%が企業名を含む検索ワードが使われており、最初から企業を特定して研究している様子が見て取れるという。また企業名を含む検索を行った人は、一般的な「技術者 求人」などのような検索をした人よりも、サイト訪問時に企業に応募する可能性が4.6倍も高い。一般的にサイトを再訪問する可能性は指名検索した人の方が1.76倍高いことが分かっている。逆に言えば企業名を含む検索を行った人は、特定企業の情報以外には接触機会が少なく、就活生の「ファン企業」になれば、あまり他と比較されずに自社をアピールできることになる。

本当に必要とされる施策とは 1

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本当に必要とされる施策とは 1

就活生へのアプローチはどうあるべきか

 ただし、短期間で企業研究のための検索ができるのは、その人の人生と何かしらの接点がある企業に限られることが多いといい、必ずしも本当の能力とのマッチングが適正でない場合もありうる。そこには企業から学生へ手を差し伸べるべきだと廣田氏は言う。

 そこで学生へのアプローチの仕方が問題になる。「まずはファン企業群に入り込むことが肝心」と廣田氏。就活生は数社のファン企業だけを重点的に研究するので、その中に入らないと企業研究の対象にならず、応募の可能性が遠のく。また、ファン企業群に入っていても、その中で企業研究の優先順位を上げていく戦略を取らなければならない。

本当に必要とされる施策とは 2

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本当に必要とされる施策とは 2

 「そこでわれわれが提案する施策はシンプル」だと廣田氏は言い、「まず採用したい層のスマートフォンを狙うこと」そして「情報と感情の詰まった動画を使うこと」の2つだけを挙げた。ここで実際の学習塾経営会社が塾講師募集のために作成した感動を呼ぶ内容の動画がサンプルとして上映された。これはYouTube動画広告として掲載され、SNS拡散もあり、シリーズ累計83万回再生を記録、採用サイトへのアクセスは前年比179%と跳ね上がったという。

動画の情報量は1分間にWebページ3600枚分!

 なぜ動画にこれだけの効果があるのか? 「短時間に伝えられる情報量が圧倒的に違う」と廣田氏は言う。1分間の動画にはWebページ3600枚分の情報が詰まっているとのことだ。また動画をほぼ毎日閲覧する学生は67%、通学中に閲覧する学生は60%にのぼり、82%が主にスマートフォンで閲覧している。また20代の89%がYouTubeを恒常的に利用しており、広告ネットワークのリーチ率は93%である。これらさまざまなデータから、動画は自社を学生のファン企業とするための重要ツールと言うことができる。

 さらに検索データを利用して性別、年齢、地域、デバイスなどの情報を予測・特定することも可能である。スマートフォンを利用している人の属性を特定し、狙いたい学生像によりフォーカスしたアプローチもできると廣田氏は言い、別の成功事例を動画で紹介した。

 ファン企業に入った時の優先順位の上げ方については「ターゲットの全ての“知りたい”瞬間を捉えて、自社への導線を作ることが大事」と廣田氏は言う。グーグルのAdwordsは、ユーザーが発するシグナルを捉え、それを自社への導線とするためのサービスだ。紹介された事例はこれを利用していたとのことである。こうした手段を使いながら、学生の自社に対する「無知・誤解・軽視」を無くし、企業研究をしてもらえる企業になることが大事だと廣田氏は説く。そのための第一歩として「グーグルのデータを調べ、自社のインサイトを知ることから始める」のがお勧めできるとして、講演を閉じた。

                              (執筆者:土肥 正弘)

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