IoTを実現するためのITアーキテクチャと必要な技術要素

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IoTを実現するためのITアーキテクチャと必要な技術要素

データ分析 2016/06/27

  IT業界はもちろん、それ以外の業界からも注目されているIoT(Internet of Things=モノのインターネット)。商用サービスとして徐々に動き出す中、IoTサービスを実現する上で必要なITアーキテクチャのあるべき姿や、IoTサービスに必要な技術要素を、「Interop Tokyo」の基調講演で解説した。

IoTの市場とターゲット

  IT業界はもちろん、それ以外の業界からも注目されているIoT。登壇者のレッドハット株式会社の三木雄平氏は、まずIoTの4つのセグメントについて解説した(図1)。

 その1つ目が「モニタリング」。モノからデータを集めてきて分析するという、一番注目されているサービスだ。

 2つ目が集めたデータから何らかのアクションを行う「制御」。

三木雄平氏

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三木雄平氏
レッドハット株式会社 テクニカル・セールス本部 エンタープライズ・ソリューション アーキテクト部 部長 三木雄平氏。2007年入社。ミドルウェアビジネス及び、エンタープライズビジネスの立ち上げに従事する。

 3つ目が「最適化」。外部のシステムと連携し、最適化してアクションを行う。

 そして4つ目が「自律性」。これは自分で考えて自分でアクションを起こすという、人工知能の世界に入ってくる。

図1 IoTサービス:4つのセグメント

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図1 IoTサービス:4つのセグメント
Harvard Business ReviewのMichael E Porterらの論文より抜粋。

 この4つのセグメントをIoT市場に当てはめたものが、次の「IoT市場」の表だ。左右の軸はトランザクション量(情報量)で、左にいくほど少なく、右に行くほど多くなる。現在、行われているのは、トランザクション量が少なく、モニタリングと制御で済むIoT。ここの分野はどれだけファッショナブルなものを開発するか、生活に溶け込んだものを小さなセンサーで提供するかが重要視される。

 しかし一番ホットなのはさらにその上の最適化や自律性が必要とされる分野。例えば、スマート農業では抽出したデータを過去のデータや、天気予報などの外部のサービスと連携することで、いろいろなアクションをアラートで知らせたりできる。「狙うべきはこの黄色い部分で、コンシューマIoTと呼ばれるフィットネスやウェラブル端末は、サービスが複雑になればなるほどトランザクション量が多くなり、最適化が求められます。人工知能も視野に入れながら活動を行っています」と三木氏。

4つのセグメントとトランザクション量によって領域分けされたIoTサービス市場

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4つのセグメントとトランザクション量によって領域分けされたIoTサービス市場

  IoTを実現する上で、レッドハットが考える「IoTテクノロジースタック」についても図解で分かりやすく説明された。サーバーサイドはフロントとバックエンドに分けるのが一般的で、情報を受け取る側ではMQTTというプロトコルが重要視されている。フロントの主役はMBaaS(mobile backend as a Service)。バックエンドにはリアルタイムでの情報処理基盤と、分析のための処理基盤の2つに分けることを推奨する。

IoTを実現するための技術ポイント。それぞれの工程で必要なテクノロジースタックのイメージ

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IoTを実現するための技術ポイント。それぞれの工程で必要なテクノロジースタックのイメージ

IoTを実現するための3つのテクノロジーアーキテクチャ

 レッドハットのIoTスタックの特徴は、ポータビリティ、リアルタイム処理、フレキシビリティの3点。最初のポータビリティについては、長期的なスパンを考慮して、クラウドでもオンプレでも動かすことができるフレキシブルさが重要。「実際、IoTサービスの中の1つのサービスだけオンプレに戻したいといったニーズが、去年くらいから増えています。その時にクラウドだけでしか動かせないのは、ネックになってきます」と言う。

 ポータビリティを考えた時に、コンテナ型の仮想化を実現するファイルシステムの「Docker」を使った開発を推奨。DockerはLinuxはもちろん、Amazon Web Service、Microsoft Azureでも動くので、いろいろなシステム作りの試行錯誤ができる。移行という観点でもラクで、複数のマシンを束ねて管理できる(図2)。

図2 ポータビリティ

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図2 ポータビリティ
情報が少ないとサクサク動くが、範囲を広げてセンサーの数を増やした途端、ネットワークが遅くなる。クラウドで全てを情報処理するのではなく、工場内のサーバーで処理して、必要な情報だけをクラウドに上げるなど、ポータビリティがアドバンテージになる。

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Dockerによって各スタックをコンテナイメージ化することで、高いポータビリティが実現できる。

 2つ目のリアルタイム処理は、分析処理と共に2つの基盤が必要。長い年月をかけて蓄積された大量のデータの中から、人もしくは人工知能が分析することで、工場の最適な生産管理を見つけたり、新しい製品のより良い改良を考えたりできる(図3)。そんなビッグデータと共に必要なのがリアルタイム処理基盤。今日1日、直近1時間といった短いスパンで、エラーが3回出たら管理者にアラートをあげるなど、分析処理基盤では実現できないアクションを起こすことができる。

図3 リアルタイム処理

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図3 リアルタイム処理
リアルタイム処理基盤(Real Time BIG Data Solution)では、大量データをインメモリで保持し、ルールエンジンを使った複合イベント処理を実現できる。

  3つ目のフレキシビリティにおいては、今後、製品側の最適化と自律性が進むことを考えて、個別にカスタマイズしたり、市場のニーズに合わせてルールエンジンを製品に組み込むことを実証実験している(図4)。製品側にルールを組み込むことができると、分析結果を情報処理にフィードバックし、自動反映する仕組みを実現。より円滑にサイクルを回すことができる。なおこれらの内容はレッドハットのコラムにも掲載していると言う。

図4 フレキシビリティ

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図4 フレキシビリティ

 フレキシビリティには2つ意味があり、オープンイノべーションの実現と、Dスタートアップでやりながら作っていく。IoTの世界ではスピード感を大切に開発するが、途中で違う仕組みが必要だったなどが必ず出てくるもの。ある意味、エンドユーザプログラミングに近いものが求められる。  

                              (執筆者:綿谷 禎子)

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