2020年に向けて進化するデジタルサイネージ

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2020年に向けて進化するデジタルサイネージ

オフィス機器 2016/06/17

 2020年の東京で開催される世界的なスポーツイベントに向けて、デジタルサイネージの在り方が、「Interop Tokyo」の基調講演で語られた。デジタルサイネージとは、街で見かける液晶ディスプレイなどの映像装置で、ネットワーク接続され、情報配信ができるもののこと。このデジタルサイネージはこれからどのように進化するのだろうか?

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一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム事務局 石戸奈々子氏

 登壇者は、デジタルサイネージコンソーシアム事務局の石戸奈々子氏を司会役に、デジタルサイネージの政策を推進する総務省の山田真貴子氏。そしてデジタルサイネージにいち早く着目し、業界団体、デジタルサイネージコンソーシアムを設立、現在は学び領域での新ビジネスを行うドコモgaccoの伊能美和子氏の女性3人だ。

 まず山田真貴子氏が2020年に向けた社会全体のICT化のアクションプランの概要を説明した。

 デジタルサイネージはパブリックインフラ、スマートパブリックインフラという位置付けで、社会全体に行き渡らせるべく、現在、政策が進められている。この中で先行して行われているのが、都市サービスの高度化と高度な映像配信サービスだ。山田氏は、「デジタルサイネージが有効な総合情報通信サービスとして進化し、街に普及する姿を描いています」と話す。

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総務省 情報通信国際戦略局長 山田真貴子氏
2020年に向けた社会全体のICT化のアクションプラン概要

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2020年に向けた社会全体のICT化のアクションプラン概要
現在、都市サービスの高度化と高度な映像配信サービスに注力する。

 そして、目指すところは下記の3つだ。

●災害情報等の一斉配信サービスの対応
●個人属性に応じた情報提供(多言語、IoTおもてなしクラウド等への対応)
●4K・8K高度な映像配信・パブリックビューイング

 しかし現在のデジタルサイネージはそれぞれ仕様が異なり、相互連携が困難。タブレットやスマートフォンなど、多様なデバイス間の連携や、個人に最適なサービス提供が重要だと考える。そのため2016年4月に「デジタルサイネージ標準システム相互運用ガイドライン1.0版」を公表。共通仕様により利便性の向上を図った。

 また相互連携のためにWebベースサイネージを提案。Web-based Signage WG(Working Group)の設立に向けて尽力すると共に、国際標準化を見据え、ITUには日本より勧告化作業の開始を提案し、了承をもらっている。勧告化は2018年までを目指し、国際競争力強化に努める。※ITU=無線通信・電気通信において各国間の標準化を確立する国連の専門機関。

 山田氏は「デジタルサイネージとスマートフォン、あるいは交通系ICカードを連携させ、共通クラウド基盤に接続。インバウンドも視野に、移動、ショッピング、観光など、外国人がどこでもひとりで自由に歩ける環境を、IoTで作っていこうと考えています。デジタルサイネージを活用した高度な映像サービスの実現に向けて、映像配信プラットフォームの推進体制も整備中です。いずれも今季、秋以降に複数箇所で実証を予定。デジタルサイネージで街中が明るく、また便利になる。そういう2020年を目指していきたいです」と語った。

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スマートフォンや交通系ICカードと連携することで可能になるIoTおもてなしクラウド事業の概要。

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4K・8Kの高精細なデジタルサイネージの活用で、新たなエンターテインメント市場や映像配信市場が創設。市場規模は2014年で1027億円のところ、2020年には8900億円まで大きくなると予想されている。

デジタルサイネージの普及に向けた3つの標準化

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株式会社ドコモgacco 代表取締役社長/株式会社ABC Cooking Studio 取締役/一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアム専務理事 伊能美和子氏

 伊能美和子氏は「デジタルサイネージの普及のために、3つの標準化が必要」だと言う。その3つとは、表記、システム、人材だ。まず初めて日本を訪れた外国人が困惑するという表記について説明。防災ネットワークの情報配信に向けて、HTMLやITUの標準化の必要性を説き、山田氏と同様にWebベースサイネージの採用を促した。

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同じ駅の出口でも英語表記が異なったり、荒川をArakawa River、利根川をTone Riverと記載することなどに、外国人は困惑していると言う。これらの表記統一が求められている。

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災害情報や観光情報など、多彩な情報を配信できる多目的メディアになるためには、HTMLやITUの標準化が重要。

 そして自身の専門でもある人材育成については、デジタルサイネージのメディアデザインに関する専門家の育成や認定の必要性を語った。

 「デジタルサイネージは導入したものの、入れっぱなしという状況が多いです。人はどの距離から見るのか、向きはどちらであるべきかなど、デジタルサイネージをデザインしていく専門家の育成が必要。そのためサーティフィケーション部会を立ち上げました。メディアデザイン全般をいろんな観点で理解している人材育成のために、学習プログラムや認定プログラムなどの提供、資格認定の実施などを実践していきたいと考えています。」

 伊能氏は、デジタルサイネージを支える人材として、市民の理解が必要だとも言う。そのためオンラインの市民講座の開講を考えていると、今後の展開を述べた。

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デジタルサイネージの専門家育成のために、サーティフィケーション部会で実施が予定されている内容。

 最後は女性3人の対談となり、石戸奈々子氏の質問に山田氏と伊能氏が回答する形で進行。 「2020年にデジタルサイネージでどのような東京でありたいか」という石戸氏の質問に対して、山田氏は「大量のデジタルデータを自由に共有できることが、東京の街の魅力を高めること。2020年のオリンピック・パラリンピックでは、様々な人が東京を訪れます。その中には車イスの人や視覚障害者の人もいるでしょう。そういった方々にも、電車に乗るためのナビゲートや、盲導犬と一緒に入店できるレストランの紹介など、パーソナルな情報を提供できれば。言語や障害などにとらわれず、安全に自由に楽しめる街を実現していきたい。その中心にデジタルサイネージがあり、ワクワクする情報や便利な情報を提供してくれる。そんな姿になると、東京の便利さや魅力が高まると思います」と答えた。

 一方、伊能氏は「一般の人がどれだけデジタルサイネージに親しめるか」の石戸氏の問いに対して、「街の人に愛される伝言板の用途として使われると良いと思います。例えばネコがいなくなった情報や、売ります、あげますといった街の情報誌的役割。デジタルサイネージをC to Cでも活用できる。そんなみんなのものにしたいです」と語った。

                              (執筆者:綿谷 禎子)

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