PM2.5計測でごみ収集車を活用?藤沢市と慶応大学の取り組みとは

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PM2.5計測でごみ収集車を活用?藤沢市と慶応大学の取り組みとは

データ分析 2016/06/29

 急速に成長を続けるIoT(Internet of Things)市場は、国内の様々なシーンで活用され始めている。前回は、兵庫県伊丹市と阪急阪神HDが取り組んだ新たなIoTサービスの構築事例を紹介した。今回は、慶応義塾大学と神奈川県藤沢市が取り組んだ新たなIoTサービスの実証実験プロジェクトを紹介する。

プロジェクトの背景にあった課題とは

 慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に勤務する、同大学 環境情報学部の中澤 仁准教授は、IoT黎明期より研究を重ね、培ってきたIoTのノウハウをキャンパスがある藤沢市のために役立てられないかを模索。藤沢市役所のIT推進部門や高齢者支援部門、土木技術部門、環境部門など様々な部署へのヒアリングも積極的に行ってきた。
 
 こうしたヒアリングを通じて中澤准教授は、藤沢市ではPM2.5をはじめとする環境情報を計測する大気汚染物質測定器が市内に4ヵ所しかなく、測定器から距離が離れている市民に対しても多くの情報を提供したいという課題を抱えていることを知る。

 市内の環境情報を網羅的に計測し、市民に情報を提供したいという課題を解決するために、中澤准教授はIoTを活用することを考え、藤沢市と慶応義塾大学が協働で環境情報の収集・可視化を行う実証試験「スマート藤沢プロジェクト」を立ち上げた。

どのようなシステムを構築したのか

 市内の環境情報を計測する方法として考えられるのは、市内のあらゆる場所にセンサーを取り付けて網羅的にデータを収集するというもので、ヨーロッパでは同様の実証実験も行われていたが、この方法には膨大なコストが必要となるという問題点があった。「スマート藤沢プロジェクト」は開始当時、市内のあらゆる場所にセンサーを取り付けるほどの予算は掛けることができなかったため、別の方法を考案する必要があった。

 そこで中澤准教授が着目したのが、市内のあらゆる場所を走り、かつスケジュールに則って定期的に巡回するごみ収集車。環境情報を計測するセンサーをごみ収集車に取り付け、市内を走り回ることで環境情報をセンシングするという方法を考案した。具体的には、ごみ収集車に取り付けたセンサーがPM2.5、紫外線量、照度、温度、湿度、排気ガス量、気圧など様々な環境情報を計測し、集めたデータを慶応大学にあるサーバーへとリアルタイムに送信するシステムを開発した。

「スマート藤沢プロジェクト」のシステム概要

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「スマート藤沢プロジェクト」のシステム概要

 中澤准教授によると、市内を循環するごみ収集車を活用して環境情報を計測する「スマート藤沢プロジェクト」のスキームは、同じように市内を循環するごみ収集車のインフラがあれば横展開が可能なので、既に藤沢市以外の自治体とも実証実験の実施を模索しているのだという。

システムに求められた課題に、OpenBlocksはどのように応えたか

 開発されたシステムの中で、センサーが収集したデータをサーバーへ情報を送信する機能として、ぷらっとホームが開発した3G通信モジュール内蔵のIoTゲートウェイ「OpenBlocks IoT BX1」が採用された。

 このシステムで求められたものは、環境センサーモジュールそのものの大型化を防ぐための超小型なコンピュータであること、そしてデータを送信するための通信機能を内蔵していることだ。OpenBlocks IoT BX1は手のひらに乗せてもその小ささが実感できるほどコンパクトな製品であり、また3G回線ながら通信機能を内蔵している。ルーターのような通信機器を別に搭載した場合にはシステム構成が複雑になってしまう恐れがあるので、通信機能の搭載は特に重要な要件であった。

 加えて、OpenBlocks IoT BX1がLinuxをOSに採用し、かつCPUアーキテクチャがIAであった点も、採用の大きな要因だったという。センサーなどの機器を制御するソフトウェアを柔軟に開発できる点も、IoTのシステムを構築する上で重要な要素である。

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キーマンズネットとは
IoTビジネス開発部部長。90年代初頭よりLinuxを始めとするオープンソース市場創成に貢献した日本を代表するエバンジェリストの1人。2000年に超小型Linuxマイクロサーバ「OpenBlocksシリーズ」を生み出し、本シリーズは累計10万台の出荷を超すベストセラーに。現在新領域としてIoT市場の開拓と普及に注力中。

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