第3話:働き方の問題点と改革までの道のり

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第3話:働き方の問題点と改革までの道のり

2016/06/14

前々回(第1話:ワークスタイル変革が必要な理由)前回(第2話:日本の働き方の問題点)では、マクロの視点でワークスタイル変革についてお話をさせて頂きました。  

今回は、企業のワークスタイル変革の軌跡をよりミクロの視点でお話したいと思います。実際にワークスタイルを変革した(している)実践企業のお話をご紹介します。

直面した課題

第1話で「共働き世帯の増加」と「M字カーブ」という課題のお話をさせていただきました。
今回紹介する実践企業では、この課題に悩まされていました。

でも実は……

実践企業というのは、私が勤務する会社(株式会社ソフトクリエイト)です。まさに、この日本の課題が当社でも起こっており、我が身で感じていました。当社では、この課題を「どのように解決しているのか」をまず、お話いたします。

具体的な施策として「テレワーク」をまずは導入しました。導入したとはいえ、まだ課題は山積みで、現在も課題解決中です……(汗)

さて、社内でこの施策を“プロジェクト”としてスタートしました。プロジェクトリーダーは、起案者でもある私吉田です。

当社で起こっていた働き方の問題点と個人背景を簡単にご説明いたします。

まず、吉田の簡単なプロフィールです。

年齢:31歳 既婚
世帯:共働き(※両親が遠方で暮らしている)
子供:1人(5歳で保育園入所)

地方出身の核家族……よくある世帯です。では、何が問題になっているのか!?
私のとある1日のスケジュールを例にとってお話をしたいと思います。

=========== 1日のスケジュール ===========
  8:00 子供を保育園へ送る
  9:00 渋谷にある会社へ出社
      17時まで社内業務を黙々ばりばりにこなします。
17:00 退社
18:00 保育園へお迎えに行く
==================================

当社の定時は18時ですが、この日は子供のお迎えのため早退しました。

常にこのような働き方をしているわけではありません。

・奥さんが残業をしないといけない時
・奥さんが出張時の時
・子供が発熱で、保育園から呼び出しが来た時  など

共働き世帯のあるあるですが、上記のような理由の場合の働き方です。

妻が子供をお迎えに行く事ができない場合、私がお迎えに行きます。共に両親が遠方のため、代わりにお迎えに行ってもらえず、夫婦2人で頑張るという生活を送っています。

当事者となった私から見た、企業と個人、2つの視点での問題は……

◎企業視点
 ・個人の生産性(量)が下がる
  ⇒ 8時間勤務するはずのメンバーが、7時間勤務になる  

◎個人視点
 ・個人のモチベーションの低下


この問題を解決したく、私が社内でこのプロジェクトを発足した理由は「モチベーションの低下」が一番大きな理由でした。

なぜか……。

・17:00まで働いたにも関わらず「有給休暇」を取得している“制度”
・有給がなくなってしまい、本来使いたい時に使えない“制度”
・早上がりが多くなると、社内から白い目で見られる(という雰囲気がある)“風土”  

この問題を「テレワーク」の導入という方法で解決すべく、社内プロジェクトをスタートさせました。

課題を解決するために


実際に同じようなご経験をされている方もいるでしょう……。

漠然とした課題・問題として認識はしていても、現在の状況をどのように打破していけるのか、よく聞く『ワークスタイル変革』を実践しようと考えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

どうしても『ワークスタイル変革』というと漠然としており、どうアプローチしたら良いのか?どうやって社内に提言していけば良いのか?など、実践しようと考える多くの皆様がこういった悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。  

前述したとおり、我々は「テレワーク(在宅勤務)」を導入し、実際に活用しております。

実践してみた結果、私は「テレワーク(在宅勤務)」を導入することでワークスタイルは変わると確信しました!

そもそも、どうして「テレワーク」の導入に思い至ったのか……。
当事者となる私にとっての「理想的な働き方」をまず検討することからはじめました。

=== 私の理想的な働き方 ===
  8:00 子供を保育園へ送る
  8:30 業務開始(在宅勤務)
17:30 業務終了
18:00 保育園お迎えに行く

そして、次に実現するためにはどうすればよいかということを考えました。

===理想的な働き方を実現するための考え方のフロー===
・会社を17:00に出なければいけない
 ↓
・通勤時間に1時間(合計2時間)を要している
 ↓
・通勤時間を業務に充てる事が出来れば、8時間勤務になる
 ↓
・会社に行くことなく業務ができれば、理想的な働き方になる
 ↓
『テレワーク(在宅勤務)だ!!』

解決策としての「テレワーク(在宅勤務)」を導入することで、理想的な働き方になる(近づく)ということに気づき、早々会社に提案しました。そして、プロジェクトを発足するにいたり歩みはじめました。

陥った問題と解決策

プロジェクトをスタートする前、会社に「テレワークを導入しましょう!」と提案したものの、そうそう簡単に提案を受け入れていただくことはできませんでした。

それは、当社が昔ながらの会社であったからです。

第2話で人口ボーナス期のお話をしましたが、人口ボーナス期で成功した価値観のメンバーが多くいらっしゃいます。価値観を変える、ワークスタイルを変革する事に非常にアレルギーが出る(出てきそうな空気)がありました。

そして、お察しのとおり「テレワークを導入するメリット」はあるのかという疑問を投げかけられました。それは、そうですよね。当事者の私1人のために会社の制度を変えてまで、得られるメリットを要求されるのは当然のこととして受け止めました。

この状況の中、どのようにテレワークの導入を進めていったかと申しますと……。

第1話でご説明した、日本の背景と自社を照らし合わせ、今後育児・介護で問題を抱える社員が今後増える事を提言し、テレワークを導入することで失われた生産性(この例で言うと、私の働く時間と量)を取り戻すことが出来るというこの2点を主張し、受け入れていただきました(文章にすると短いのですが長い道のりでした……)。

テレワークを成功させる為のポイント

テレワーク(在宅勤務)と聞くと、家の中で黙々と仕事をしているようなイメージを抱くかと思います。また、テレワークでできる仕事は限られており、限定的な職種の方が対象になるのではと思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

我々が考えるテレワークは、『どこにいても(場所にとらわれず)、全業務が出来る働き方』です。

全業務をテレワークで行わなければ業務が限定され、その業務しかテレワークでできないことになり、結果、生産性や効率性が落ちることにつながります。

全業務をテレワークで実施可能にする重要なポイントが2点あります。

・業務内容の洗い出しと、可視化
・業務内容の手法の変更


これは、テレワークをスタートしてから、学んだことです。
そう、残念ながら当社のテレワークは、導入当初から成功したわけではありません。

我々が陥った失敗談をお話します。

まず、テレワークに必要なツールは何か?という良くある「ツール先行型」で失敗をしてしまいました。何度かテレワークをトライアルで実施する中で、どうしてもツールではできない、そして補えない部分が出てきました。チームで実施をする対面式の会議やお客様先訪問等の業務を担うメンバーは特に難しかったと思います。

今ある業務を細分化し、以下の2点を中心に何度もトライ&エラーを繰り返しました。
・その業務は、どうすれば同じ場所にいない人と業務が出来るか
・その業務内容は本当に必要か(意味の無い定例会議など)

こうして、業務内容が変更可能な業務は変更し、不足部分でITが活用できる部分は、ITツールで補うという形で、テレワークの仕組みを確立しました。

また、会議も手法を変えました。

古の習慣がある会議は、たらだら数字を報告し、結果の見えない討論で決議せず、結果会議の時間が伸びるということはよくある(?)かと思います。

今まで1時間かかっていたこの会議を30分で終えるように改善しました。会議に参加するメンバーは、会議の前に報告する数字を共有し他メンバーの実績を必ず確認をしておくようにしました。テレワーク中のメンバーはWeb会議で参加し、報告内容は今後のアクションのみ報告するようにしました。

見事、会議の時間の無駄づかいをなくすことに成功しました。テレワークを実施することで、テレワークする人もしない人も業務の改善ができ、生産性が上がったと考えています。

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当社の今の状況

当社ではテレワークを導入いたしましたが、まだ限定的な部門(人)を対象にしています。今後、テレワークという働き方を他部門へも広げて、拡大しようと考えております。

他部門への展開を考えた場合、その部門での業務の見直しと、「改善」というのが必要不可欠となります。そして、業務の見直しと改善ではなく、テレワークを実現するための人事・労務の見直しと修正、テレワーク時におけるセキュリティポリシーの策定や評価制度の見直しなど、まだまだ問題はやるべきことは山積みです。

当社のような昔ながら(私は「ごりごりの営業会社」と呼んでいます。笑)の価値観を持った企業でも「ワークスタイル変革」を模索し、そして前進中です。完璧な姿にはまだほど遠いのですが、1人1人の理想的な働き方を模索し、企業戦略としてワークスタイル変革を実施していきます。

我々は「テレワーク」を切り口に、ワークスタイル変革に結びつけてきました。
企業によって、ワークスタイル変革を成すための切り口は様々な実施方法があると考えています。

▶SCSK株式会社様
https://www.scsk.jp/news/2015/press/other/20150306.html
SCSK様では、長時間労働の是正を目的にワークスタイル変革を実施しています。残業時間の制限を設け、浮いた残業代金を社員に還元する手法をとっています。    

▶株式会社ストライプインターナショナル様
http://www.stripe-intl.com/company/satisfaction/
株式会社ストライプインターナショナル様では「女性活躍」を目的に人事制度、働き方改革を実施しております。 4時間正社員、6時間正社員といった人事制度を設け、女性のライフステージに合わせた働き方を実施しています。

共通して言えることは、ワークスタイル変革はポーズでも、政府が言っているから何となく実施するのではなく「企業の成長戦略」の一環で実施しているということです。我々は、人材確保と生産性向上の目的で「テレワーク」を導入しました。各会社様で何をするためのワークスタイル変革か?という事を今一度考えて頂ければと思います。

そして、我々の事例をテレワークの導入を検討されている皆様、また本コラムを通じてワークスタイル変革の必要性を理解頂く皆様のお役に立てるような情報を発信したいと考えております。

今回の内容は、テレワーク導入の背景や実施内容の一部分をご紹介しました。
次回以降は、より具体的な社内改善内容や、導入したツールなどをご紹介いたします。

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ワークスタイルエバンジェリストとして、「企業へのテレワーク推進、ワークスタイル変革の活動に邁進中。私生活ではイクメン(自称)として主に食事を担当して、家事にも邁進!子育てと仕事の両立を日々楽しんでいます。「パパ・ママが笑って働ける日本を」をモットーに日々活動中です。

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