いまさら聞けない契約書のはなし【第2回 “コピペ”は良いのか】

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いまさら聞けない契約書のはなし【第2回 “コピペ”は良いのか】

2016/06/29

第1回に続き、「契約書を作り始める時に気をつけること」についてお伝えします。

今回のテーマ

1.簡単な発注書のみは×。

2.こちら側の作った契約書を相手方にチェックさせる。

3.こちらで作るときは1から作るのではなく、コピーペーストで良い。

(1)今回の契約書の近い契約書で、(2)自社に有利な契約書を参考にする。

契約書を誰が作るか?

1.発注書のみで良いか

 企業によっては契約書を作らず、発注書のみで取引していることもあるかも知れません。 契約書がなくても発注書があれば、多くの場合契約が成立した証拠になるでしょう。しかし、発注書に様々な契約条件を記載しているでしょうか。発注書の隅に少しだけ書いている注意事項では、大事な項目が網羅されているとは思えません。

 例えば、訴える裁判所は決まっていますでしょうか(裁判管轄といって非常に重要です)。支払期日に遅れた場合の罰則等はありますか。著作権の譲渡(著作権の全てを譲渡するとだけ書いてあるだけでは足りません)の条項はどうなっていますでしょうか(これらの細かい条項の話は次回以降に説明していきます)。

 契約の数が多ければ、基本契約書を結んだ上で、それぞれの注文は発注書で済ませるという方法もありえると思います。ただ、基本契約書もなく様々な契約条件の書いていない発注書のみで済ませるのは良くありません。そのような場合、すぐに契約書の書き方などの本を探し、契約書を作りましょう。もしくは、開発契約、ライセンス契約等々に詳しい弁護士を探して相談して下さい。面倒でも契約書の条項を詳しくすることが、何か起きた時にあなたを守ることになるのです。

2.契約書をこちらが作っていますか。

 次に、契約書を誰が作るかです。

 出来る限り、こちら(自社)で契約書を作りましょう。相手方が作成した契約書では、相手方のペースにのってしまうことになります。相手方の契約書をすみずみまでチェックするのは大変なことです。相手方の契約書では、こちら側に大事な事が漏れてしまうかも知れないし、不都合な条項が気付かれないようにさらっと分からないように紛れ込んでいるかも知れません。

 結局のところ面倒でも、こちら側の契約書を提示してその修正をもらう方が、相手方をこちら側の手のひらにのせることができます。

3.コピペで良いか。→ OK! だが、注意点あり。

 こちらで作るとしても、どうやって作れば良いか分からないですよね。どこかで既にある契約書を拾ってきて修正することになると思います。誤解を恐れずに言いますが、弁護士だって“コピペ”します。そして、そこから修正していくのです。

■(1)今回の契約に近い契約書を探す

 まずは、どこからコピペするのか、つまり、コピペしてくる元の契約書が重要になります。できるだけ、今回の契約体系に近い契約書を探しましょう。委任契約なのに請負契約の文字ずらだけ変えるようなことをするのは、思わぬ間違い・不利益の元になります。また、契約は表題だけでどの契約類型なのかが決まるわけではありません。例えば、表題が委任契約となっていても内容が請負であれば、印紙を貼る必要がありますし、裁判所でも、どの契約類型なのかは、契約で何を合意しているかで実質的に判断されます。

■(2)こちら側に有利な契約書からコピペする。

 次に、同じ種類の契約書を探し出したとして、その契約書は発注側受注側などどちらに有利に作られているでしょうか。相手の立場に有利な契約書をそのまま使ってしまったら、当然自分に不利になってしまいます。ですので、入手できるのであれば、どちら側に有利な契約書なのか確認した上でコピペしましょう。典型的な契約書の事例集であれば、比較的中立の立場の契約書のひな形があるかも知れません。いずれにしろ、条項毎に有利不利を判断し、それを修正していく必要があります。

 次回以降は、契約書を作成・チェックする時の心構えと、その後の交渉について述べたいと思います。

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キーマンズネットとは
IT法務を専門とする弁護士。現在は,IT契約書,利用規約の作成。開発紛争の解決。著作権,個人情報保護,IT企業の労務管理などを取り扱う。リクルートで16年,SEとして,社内勘定系システム,グループウェアの開発,Webのセキュリティ監査,社内個人情報ガイドラインの作成などを担当。一橋大学法科大学院修了。

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