ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)の利点とは?

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ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)の利点とは?

データセンター 2016/04/26

分かりにくい「SDS」はインフラ運用者の視点から見れば分かりやすい

 ここ数年、ソフトウェア定義型ストレージ(Software Defined Storage:SDS)が注目を集めている。SDSの利点は、ストレージをハードウェアとしてではなく「ソフトウェア」として扱える点にある――といわれても、すぐにはピンとこないのではないだろうか。ユーザーの視点からすると、既存の「何か」との違いが分かりにくい。

そもそも、ソフトウェア定義型○○とは何か?

 「ソフトウェア定義型○○」といわれるITソリューションは、特性によっていくつかの種類があるが、いずれもが、繰り返し発生するインフラ調達と設定、管理の手間を効率化することを目的に、物理的な計算機資源にレイヤーを用意して抽象化し、「リソース」を運用管理の単位として扱えるようにする点が特徴だ。インフラ担当者は個別のシステムごとの見積もりをせずにまとめて物理リソースを調達でき、システム開発部門は、インフラの物理構成を知らなくても新しい計算機資源を調達できるようになる。

 「ソフトウェア定義型」などと表現しているが、実のところ導入する側から見ていままでのITインフラと最も異なるところは、「ソフトウェアか」という点よりも「安く早く楽に管理できる」という点にある。サーバ仮想化技術などを応用したクラウド型の自動化されたITインフラ運用管理が注目されているが、SDSはその文脈で注目されているといえる。ここでの「クラウド型の自動化されたITインフラ運用管理」とは、およそ次のような特徴を備えている。

・ユーザーや開発者は欲しいときに欲しいだけのリソースを獲得できる
・運用者は開発案件ごとの個別対応が不要になる
・運用者はリソースの管理に注力でき、余剰リソースを柔軟に振り分けられる
・運用者は案件によらず、標準化したシステム運用管理ができる

SDSの適用領域は製品によって異なる

 「ソフトウェア定義型○○」を整理したところで、ソフトウェア定義型ストレージ=SDSについて見ていこう。SDSを分かりにくくしている理由の1つに、製品によって特性や用途が異なっている点が挙げられる。

 SDSを名乗る製品には、既存の物理的なストレージ装置を抽象化して管理することを軸にする製品から、いわゆる「第3のプラットフォーム」のような新しい領域のデータを扱うのに適したものまでが混在している。「Amazon Simple Storage Service(S3)」のようなストレージサービスを自前で運用する場合に適した「Ceph」や「Cloudian」などの「ハイパースケール」と呼ばれるストレージソフトウェアもSDSに含まれる。その上、ソフトウェアのみを提供する場合もあれば、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせたアプライアンス型で提供されるものもある。

 どちらもSDSと呼ぶので混乱しやすいところだが、前述したように、ITインフラの運用管理に対する考え方の違いから見ていくと、どの製品も目指すところは運用管理の自動化や標準化だ。

 SDSによって、ITインフラ運用者やストレージ管理者からするとオペレーションコストを大きく削減できる可能性がある。ストレージを「製品の箱」や個別のストレージOSなどから分離することで、将来的な調達計画で大幅なコスト削減を実現することも考えられるだろう。

 例えば、ストレージOSが提供する運用管理向けのオプション機能が必要なためにハイエンド製品を購入していた場合は「システム更新でローエンド製品ないしホワイトボックス製品に置き換え、運用管理はSDS側の運用管理ソフトウェアに統合する」といった切り替えでコスト削減が可能になる可能性がある。

既存ストレージアレイ製品を置き換える「FreeStor」

 前置きが長くなったが、2016年4月21日、SDS製品を展開するファルコンストアが日本市場向けに新製品発表と事業戦略発表を行った。同社は、主力SDS製品「FreeStor」と、FreeStorの機能を使いやすくパッケージ化した、中小企業向けのデータ保護製品「Continuous Data Protector(CDP)」、重複排除機能を持つバックアップ製品「Optimized Backup & Deduplication(OBD)」を展開している。

 FreeStorは、バックエンドストレージに多数のストレージベンダー製品を利用できる点が特徴の1つ。EMCやNetApp、デルやヒューレット・パッカード・エンタープライズといった老舗のストレージベンダーだけでなく、PureStorageやViolin Memoryといったオールフラッシュアレイ(AFA)を含む新興のストレージベンダーにも対応している。

 前述したさまざまなSDS製品のうち、どちらかというと、既存の物理的なストレージ装置を抽象化して管理することを軸にする製品と理解することができる。

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主要なストレージ製品、運用管理ツールなどと標準で接続できる(出典:ファルコンストア ジャパン)

 FreeStorの機能アップデートでは、連携プロダクトの拡大と運用管理機能の利便性向上が図られている。

 まず、オープンソースのIaaS(Infrastructure as a Service)構築基盤ソフトウェア「OpenStack」の最新版である「Mリリース(Mitaka)」で、ブロックストレージコンポーネント「Cinder」に正式なドライバーを提供する。OpenStackは、インターネットサービス事業者や大手自動車メーカーなどでも採用される、大規模なプライベートクラウド運用のための基盤だ。接続ドライバが標準で提供されるようになったことから、OpenStackベースのクラウドインフラ運用管理を行っている事業者にとっても選択しやすくなる。

 加えて、インメモリデータベース製品「SAP HANA」の認定も獲得している。ファルコンストア ジャパンでは、バックエンドストレージにあるAFAをディスクキャッシュとして利用できるため、パフォーマンス向上に寄与するとしている。

 同社では、既にOracle Database向けのストレージとしての実績も持っており、今回、新たに2つの機能を追加したことで、データサービスの提供範囲を拡大した形だ。

 このほか、運用管理面では、「予測分析機能」を追加している。以前より、管理画面では性能やデータ量推移を確認できたが、新たに将来的なリソース追加調達の計画立案を支援する予測情報を提示できるようになった。

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テナントごとにストレージ容量の推移を予測する(出典:ファルコンストア ジャパン)

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ストレージプールの利用量を予測し、ディスクキャッシュに高速I/Oが期待できるAFAを投入、ストレージ更改のタイミングで古いストレージを別の用途に流用するといった運用も可能(出典:ファルコンストア ジャパン)

データ量が多ければ多いほどコストメリットは高まる

 ファルコンストア ジャパンでは、FreeStorでコスト面でのメリットが得られるデータ量の分岐点は、およそ100TB以上だとしている。運用効率の向上や調達コスト削減が強みであるため、管理対象のデータやストレージがあればあるほど、効果が大きくなる。

 ファルコンストア ジャパン社長の森本雅之氏は「1PBのデータを扱っているある企業では5カ月で投資回収を完了した事例もある」と説明する。

 さまざまなデータを活用しようという機運は大手企業だけでなく、先進的な中堅中小企業でも進んでいる。データを資産として獲得・運用する企業では、事業規模や従業員数によらず、このしきい値を超える可能性もあるとしている。

 同製品は、同社パートナー経由での販売のほか、OEM提供も行われている。同社パートナー企業経由では日本国内で既に3社が導入ないし導入予定となっている。このほか、2016年内には、既に導入検討を進めている企業で本稼働に入るものが出てくる予定だという。

 森本氏は2016年度の日本国内での事業計画として、ユースケースが増えてきたCDP、OBD製品を中堅・中小企業にも展開していく予定。FreeStorについてはハイパースケール型の機能強化も予定している。

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