第4回 ITADと廃棄リスク 〜あなたが排出したIT機器が国際問題に〜

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 杉 研也(株式会社パシフィックネット) > 第4回 ITADと廃棄リスク 〜あなたが排出したIT機器が国際問題に〜
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

第4回 ITADと廃棄リスク 〜あなたが排出したIT機器が国際問題に〜

エンドポイントセキュリティ 2016/04/13

 前回は、E-wasteとバーゼル条約の解説を行いました。今回は、具体的な事例を見ながら、企業の使用済IT機器排出の最終流通における課題を紹介したいと思います。

偽装リユース問題

 リユース品として輸出されたIT機器が、リユース品として認められず相手国の税関で通関できない事例が近年多発しています。そのような偽装リユース品は、日本にシップバック(返送)されます。
 
 環境省の資料によると、平成27年度は12件ものシップバックが発生しています。下の写真のように、荷姿や年式・外観などの問題から、相手国においてリユース品とみなされず、バーゼル条約に基づきシップバックされる場合があります。「リユースを隠れ蓑に海外への廃棄品の輸出」という、あってはならない事例が頻発しているともいえます。(シップバック事例:環境省のホームページより)

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

 
シップバック問題の画像(環境省資料:廃棄物等の不適正輸出対策強化に 関する課題について資料3-1より抜粋)

輸出先での不適切な処理

 雑品とは、鉄、非鉄金属・プラスチック等を含む雑多な「未解体」「未選別」のスクラップの事です。「雑品スクラップ」と呼ばれる事もあります。排出元としては、解体業者・工場や一般家庭・事業所等の不用品であります。リサイクル目的の名目で、こちらが海外へ輸出される事があるのですが、輸出先の国で不適切に処理され環境問題を引き起こしています。  

 海外でのリサイクル処理に関しては、日本の常識と相当異なる可能性があると考えた方がいいかも知れません。下の環境省の資料の写真をご覧下さい。我々が排出したIT機器がこんな状況で処理されている事を思うと、責任を感じずにはいられません。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

環境省資料:廃棄物等の不適正輸出対策強化に 関する課題について資料3-1より

安く処分できるのには裏がある?

 バーゼル法に絡むシップバック問題や輸出先での環境汚染の問題、前回までのコラムで紹介した「カレーハウスCoCo壱番屋」の廃棄品の横流し問題、九州某市職員労働組合からの個人情報流出事件など、これまで廃棄問題の実態を見てきました。

 健全に廃棄やリユース、リサイクルを行っている事業者もたくさんあります。しかしながらこのような事例を見ると、違法な取り組みを行っている事業者も少なからず存在していると言えます。「高値で買い取る」「安価に処分できる」その裏にはこのような事情が隠れているのかも知れません。

企業の排出は”出せば終わり”なのか?

 製造メーカーの責任として、家電リサイクルやパソコンリサイクルの制度があります。一方、排出企業の責任としては廃棄物処理法のような法律はありますが、廃棄以外の有価での売却などに対しては明確な規制なり責任があるわけでありません。

 それにも関わらず万が一、廃棄物なり有価で売却した使用済IT機器が流出し、コンプライアンスに違反している場合(例えば不正輸出、不法投棄、廃棄物の横流しによる情報漏洩など)社会的に名前が出るのは名の知れた大企業であったり自治体の名前であったりします。

 排出したIT機器のリスクと責任は排出した後もつきまとっていると言えます。最終的に問題があった場合のリスクは、排出する大手企業が負うことになります。そこに企業IT機器処分の最大の課題があるように感じます。

 次回はいよいよ最終回。「ITAD」という言葉を通じて企業のIT機器処分を考えたいと思います。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30008853


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 杉 研也(株式会社パシフィックネット) > 第4回 ITADと廃棄リスク 〜あなたが排出したIT機器が国際問題に〜

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
株式会社パシフィックネット取締役。アセット・ビジネス・カンパニー長として数多くのリユースの現場に携わる。環境省使用済製品等のリユース促進事業研究会委員を務めるなど、社外での活動にも積極的に参加。渡航経験も豊富に持ち、海外のIT機器リユース事情に精通する。

ページトップへ