第2回 申請・承認フローをシステム化することの利点と新たな課題

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第2回 申請・承認フローをシステム化することの利点と新たな課題

基幹系システム 2016/03/29

 前回(第1回)は申請・承認ワークフローが必要な根本的な理由を整理し、手書きの帳票及びExcelファイルやメールの利用といった「手作業」でのワークフローの問題点を指摘した。

 第2回となる今回は、申請・承認ワークフローの専用システムについて、その導入メリットを解説したうえで、新たに課題が浮上しつつある現状について考察する。

ワークフローの手間を軽減した承認申請システム

承認申請システムの導入効果

 どこの企業にも経理があるのと同じように、申請・承認ワークフローもどの企業でも必ず行っている。頻繁に発生し手間も掛かるためシステム化のニーズは古くからあった。

 先頃の申請・承認ワークフローに関する調査結果では43.6%が承認申請システムを利用していると答えている(調査結果は第1回に掲載)。申請・承認ワークフローにシステムを導入することで得られる効果は数多くある。

(1)起票時のミスの低減

必要項目をマスタ登録しておくことができ、入力値のエラーチェックが可能なのでミスが低減される

書式の管理工数が削減できる

(2)回覧の手間の削減

あらかじめ設定した経路に沿って自動的に回覧されるので、手間が削減される

拠点間の移動や郵送によるタイムラグがなくなり、その分迅速化される

紛失、見落としによるトラブルが激減する

(3) 進捗状況の可視化

進捗状況が可視化されてタスク管理が容易になる

管理工数が削減される

(4) 保管コストの削減

帳票種別ごとに自動で分類されるためファイリングの手間が掛からなくなる

紙に比べ保管場所を大幅に減らせる

膨大な帳票をペーパーレス化することで経費削減ができる

(5) 情報共有スピードの向上及びガバナンスへの対応

検索性が向上し、過去事例が確認しやすくなる

監査の準備が容易になる

処理した日付やユーザを正確に記録できるので、業務分析や不正防止に応用できる

蓄積されたデータを資産として活用できる

他システムへの連携が可能となる

 このようにシステムの導入によって手間の軽減やコスト削減が達成でき、活用性も大幅に上げることができる。

 期待できる効果はそればかりではない。ワークフローシステムの導入は、従来の業務プロセスを見直す好機でもある。まず、現状の業務プロセスをワークフロー図などで可視化する。次に、無駄な作業が含まれていないか、承認ルートは適切かといった視点で業務を分析し、問題点を把握する。その後、全体最適を踏まえて検討し、新業務プロセスを策定する。これをワークフローシステムの申請フォーマットや承認経路の基礎とする。

 一度手順が決められた申請・承認ワークフローは、たとえ無駄があってもそのまま運用しがちだ。ワークフローシステムの導入は、今まで見過ごしてきた非合理な業務プロセスを改善するよいきっかけになる。単純なシステム化の効果だけでなく、業務プロセスの改善によって得られる効果も大きいのだ。

内部統制をきっかけにシステム導入

 こうした承認申請システムが世に普及するきっかけとなったのが、2006年の内部統制の法制化だ。金融商品取引法の改正が行われ「内部統制報告制度」(いわゆる「J-SOX法」)が導入された。上場企業とグループ会社は、2008年4月以降の事業年度から財務報告に関わる「内部統制報告書」と「内部統制監査報告書」を毎年提出することが義務づけられた。2006年5月から施行された会社法でも、資本金5億円以上または負債が200億円以上の大会社に対して「業務の適正を確保するための体制」を整備することを求めた。

 これら内部統制の法令化は、相次いで企業の不祥事が発覚したことを受けて財務報告の適正性を確保するために実施された。同時にコンプライアンスを順守し、業務の効率を高め、資産を適切に保全するといった企業活動全般への統制も意図していた。その体制構築にはITの利用が前提とされた。

 ワークフローシステムはそれらの目的を達成する手段として最適なものだった。内部統制や業務効率化といった当時のトレンドを受けて、上場企業や大会社を中心に導入が進んだ。一方で初期費用の高さがネックとなり、予算の確保が難しい企業は独自に工夫や苦労をしながら手作業で申請・承認ワークフローの運用を続けてきた。

承認申請システムの新たな課題

ワークフローシステム利用者でも高い不満

 導入することで様々な利点のあるワークフローシステムだが、課題もある。

 図1はビジネスを推進するのに不可欠となる営業申請および稟議申請について、現在利用しているツール別に、どの程度ワークフローに関する課題や不満を持っているかを調べた結果である。

 このグラフからは、営業申請・稟議申請ともに「手作業」で申請・承認ワークフローを行っている人は「専用の承認申請システム」を利用している人よりも多くの課題や不満を感じていることが分かる。

 しかし「専用の承認申請システム」を利用している人でも、営業申請で51.9%、稟議申請で46.5%と、半数程度が課題や不満を感じている。これはかなり高い割合だ。ワークフローシステムの導入によって業務プロセスが効率化され、手間やコストも削減されたはずであるにも関わらず、一体何が課題や不満の要因となっているのだろうか。

ワークフローシステム利用者の課題・不満

 図2は承認申請システムを利用している人が、具体的にどのような課題や不満を持っているかを調査したものだ。「申請から承認までにかかる時間」に課題・不満を持っている人が最も多く、実に65.1%に及んでいる。続いて「操作性」が49.1%、「モバイルで申請・承認できないこと」が35.9%となっている。

 つまり、単にワークフローをシステム化するだけでは問題は解決しないのである。ワークスタイル変革に寄与するワークフローシステムを選ぶことが重要だ。

 次回はこれらの課題・不満について詳しく分析したうえで、ワークスタイル変革時代を迎えた今、ワークフローシステムには何が期待されているのか解説していく。

 なお、この記事は当社で実施したワークフロー実態調査の結果を基に作成している。調査の内容はこちらで確認いただけるので、ご興味のある方は是非ご覧下さい。

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株式会社グルージェント ビジネス開発部 統括マネージャー。Google AppsやOffice 365のアドオンサービスの展開におけるセールス&マーケティングをパートナー企業とどのように展開するかを担当。クラウドの導入によるワークスタイルの変革、テレワークの実現をすべくソリューション展開にクラウドの普及に従事。

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