第1回 ITADと廃棄リスク 〜冷凍カツ転売事件から学ぶこと〜

IT・IT製品TOP > Key Conductors > 杉 研也(株式会社パシフィックネット) > 第1回 ITADと廃棄リスク 〜冷凍カツ転売事件から学ぶこと〜
この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

IT現場の道先案内人 Key Conductors

第1回 ITADと廃棄リスク 〜冷凍カツ転売事件から学ぶこと〜

エンドポイントセキュリティ 2016/03/23

廃棄に関わる事件が多発!

 2016年1月に、企業からの廃棄物に関して、大きな事件が2つ発生しました。まず、その事件を振り返りましょう。

廃棄冷凍カツ不正転売事件

 先日「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋が製造工程で異物が混入したため廃棄処分を依頼した冷凍ビーフカツ約4万600枚(約5.6トン)の一部が不正に転売された事件がありました。このニュースを見て、企業や工場の調達部門の方で、商品や部材などの廃棄を担当されている方はもちろん、情報システム部門で廃棄を担当されている方は、ヒヤッとされたのではないでしょうか?実は全く同じことが、IT機器の廃棄でも起こり得るのです。  

 私が所属しているパシフィックネットという会社では、企業や官公庁のIT機器の処分業務を行っております。具体的には、処分時のデータ消去などの作業代行とIT機器の買取・リユース・リサイクルなどがその内容です。これらの事業は、欧米では「ITAD(IT Asset Disposition)」と言われる事が多いのですが、日本ではまだなじみが無いですよね。そのような事業に携わっていますので、私がこのニュースを見てまず想像したのは、企業が廃棄したものが「冷凍カツ」ではなく「パソコン」だったら…データ消去もされないまま、流出してしまうという事でした。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

(参考サイト)株式会社壱番屋:産業廃棄物処理業者による、当社製品(ビーフカツ)不正転売のお知らせ

同志社大学、廃棄物処理法違反事件

 冷凍カツ不正転売事件では、企業が委託した産廃業者が不正を働いた事件でしたが、同時期に同志社大学の100%子会社が、同志社大学が排出した廃棄物を無許可で収集運搬して摘発された事件もありました。

 こちらは、廃棄物の処理の委託を受けていた同志社エンタープライズとその実務を担当していたコスモビルメンテナンスから6名、廃棄物の処理を依頼した同志社大学から3名の逮捕者が出ています。  

 報道の内容を見ると、京都市からの7度の改善指導を受けたにも関わらず改善を行わなかったとありますので大学の対応自体が悪質だったようです。しかしながら、排出者の学校法人とその子会社が摘発され、企業の廃棄業務における社会的責任と違反した場合のペナルティの重さを実感できる事件でした。

※会員登録いただくと図をご覧いただけます。
会員登録はこちら(無料)

(参考サイト) https://www.doshisha.ac.jp/news/2016/0219/news-detail-3173.html
■非常に低い廃棄リスクへの意識

 これらの2つの事件を見ると、廃棄リスクに関する企業の意識というものは、非常に低いと感じます。こういう事件が起こった時の不評被害に合うのはどこでしょうか?不正な横流しを行った産廃業者や、許可を得なかった廃棄を行った業者が最も問題だと思いますが、このようなトラブルで真っ先に名前が出るのは「カレーハウスCoCo壱番屋」や「同志社大学」です。そのような事を考えると、排出者のリスク管理という事は、廃棄したら終わり、委託したら終わりという事にできないなと感じました。廃棄時のリスクを想定できていれば、報道されているような問題は起こらなかったかも知れません。

■ノーリターン(ハイリスク)

 企業にとって、廃棄や処分という行為自体は利益を生むものでありません。逆にコストのかかる事として認識されていると思います。また、投資しても、リターンが無いと考えている企業も多いのでは無いでしょうか。

 その反面、何か問題が起こった場合には、このように大きく報道される事にもなりますし、逮捕者が出る事もあり得ます。IT機器の処分でいうと、廃棄物処理の問題だけでなく、データ漏洩の危険性も孕むことになります。つまり、廃棄という行為は、非常にリスクの高い業務であると言えます。  

 廃棄は、リターンが無い事がクローズアップされ、リスクに関しては、顕在化しなければ認識されない、「ノーリターン(ハイリスク)」そんな位置づけなのではないかと感じます。

■廃棄に関するリスクへの企業意識の高まり

 この2つの事件の報道を契機に、当社にも学校法人や企業から、IT機器処分やその他廃棄物に関する多数のご相談が増えています。お問い合わせいただいている内容としては、  

(1)委託先が不正を行うリスクとその防止策
(2)自社が知らず知らずのうちに、廃棄に関して法令違反を犯していないかの検証
(3)IT機器廃棄に関する企業リスク
 
 というご相談が多く寄せられています。

■本コラムを執筆した理由

 そのような状況もあり、キーマンズネットをご覧いただいている皆さんに、企業による廃棄の中でもIT機器処分に関してのリスクと「ITAD」と言われる欧米式のIT機器処分のご紹介を行いたいと思い、このコラムを執筆する事にしました。

 分かりにくいところもあるかも知れませんが、より適切なIT機器処分の参考になればと考えております。前置きだけで、第1回目が終わってしまいましたが、次回はIT機器処分における課題やトレンドに関して、事例を交えて考察したいと思います。

会員限定で「読者からのコメント」が読み書きできます! 「読者からのコメント」は会員限定の機能。会員登録を行い、ログインすると読者からのコメントが読み書きできるようになります。

会員登録(無料)・ログイン

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この寄稿記事に掲載している情報は、掲載日時点での情報となります。内容は変更となる場合がございますのでご了承下さい。また、「Key Conductors」の寄稿記事及び当該記事に寄せられたコメントについては、執筆者及びコメント投稿者の責任のもと掲載されているものであり、当社が、内容の最新性、真実性、合法性、安全性、適切性、有用性等を保証するものではありません。


30008817


IT・IT製品TOP > Key Conductors > 杉 研也(株式会社パシフィックネット) > 第1回 ITADと廃棄リスク 〜冷凍カツ転売事件から学ぶこと〜

このページの先頭へ

キーマンズネットとは
株式会社パシフィックネット取締役。アセット・ビジネス・カンパニー長として数多くのリユースの現場に携わる。環境省使用済製品等のリユース促進事業研究会委員を務めるなど、社外での活動にも積極的に参加。渡航経験も豊富に持ち、海外のIT機器リユース事情に精通する。

ページトップへ