第4回 知っておきたい”フリーランスITエンジニア”という選択肢

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第4回 知っておきたい”フリーランスITエンジニア”という選択肢

情報共有システム・コミュニケーションツール 2016/04/22

エンジニア獲得の選択肢

 前回はIT部門をあるべき姿に変革させるためには、優秀な人材の確保や育成が必要不可欠であり、IT市場の拡大と人材不足という時代においては優秀なフリーランスITエンジニア(IT個人事業主)の活用も有効であるというお話をしました。

 一方で、エンジニア売り手市場と言われながらも、改正派遣法などの影響でITエンジニアにとっても自身のキャリアプランやライフプランが描きにくいという状況が生まれています。

 最終回である今回は、このフリーランスITエンジニア(IT個人事業主)について詳しくご説明したいと思います。

IT業界からの人材流出

 絶対的に足りないITエンジニアは、労働者派遣法の改定によりユーザ企業側から見ると一層確保が難しい状況となり、一方で中小のソフトハウスに在籍しているほとんどのITエンジニアも、プロジェクトは続いているのに仕事を途中で降りなければならないという状況になりかねないという相反する現状があります。

 中小のソフトハウスに在籍しているITエンジニアは、大手ソフトハウスやベンダ、SIerに派遣契約にて出向き、そこで指揮命令を受け作業をこなしていますが”3年間”という時間と共に仕事を失ってしまう可能性があり、ユーザ企業にとっても”コスト管理”という面でのメリットはあるものの、場合によってはプロジェクト途中での人員交代は大きな痛手です。

 どんなに優れたエンジニアでも、派遣契約であれば会社に所属し指揮命令がなければ作業ができないという、専門職でありながら労働性が高い働き方しかできませんでした。これは正社員であっても同様で、当然ながら雇用している会社のもくろみで仕事にアサインされ、エンジニアのストレスは増加。他業種に転職していく人も増えています。

 ”3K”や”7K”といったネガティブワードが独り歩きし、IT業界で働くことへの魅力が失われている現状があるのです。

フリーランスITエンジニアとは

 自分のスキル・実力が正当に評価され、また自身の明確なキャリアプランやライフプランに沿って仕事に取り組める環境を求めて、フリーランスとして独立を考えるITエンジニアが増えています。

 とはいえ、これまでフリーランスITエンジニアが活躍するためには、さまざまなハードルがありました。1つには採用側の懸念です。「セキュリティ面の不安」「スキルの評価が難しい」「仕事に対する責任感は?」「人柄は?」などなど…挙げればキリがないのかもしれません。万一問題が生じたらどうするのか?という懸念です。

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 一方のITエンジニアも、現状に疑問がありながらも一歩踏み出せずにいる方が多くいます。技術には自信はあるものの「どうやって仕事を探せばいいのか」「契約や請求などの事務処理は」「病気や怪我などまさかのときが心配」といった具合です。

 当社のようなIT人材のコーディネート事業者は、そのような懸念、負担、リスクを軽減するため、試行錯誤を繰り返しより良いサービスの充実に努めています。

フリーランスの地位向上のためブランド化を推進

 例えば、弁護士や会計士のように高度な専門性を求められる職業に就いている人の多くは独立して事務所を開業しています。あるいは会社組織に所属しながらも、将来は独立を志向しているケースが多いでしょう。ITエンジニアも同様で、優れた技術スキルや経験をベースにフリーランスとして活躍する人がいるのです。

 しかし「多様な働き方」「一億総活躍社会」などと言われるものの、日本ではまだまだフリーランスに対する理解が低いのが現状です。「正規雇用」に対する「非正規雇用」という画一的な括り方にも遠因があるのでしょう。欧米ではフリーランス=プロフェッショナルという認識が定着しています。

 フリーランスとしての強い志を持った多くのITエンジニアは、単に技術スキルだけでなく「一人社長」としての自覚と責任感を持ったプロフェッショナルばかりです。自らキャリアプランを組み立て、それを実現するために努力を惜しまない上昇志向の持ち主が多いのが特徴です。

 PE-BANKでは、そのような志の高いITエンジニアをもっと多く方々に知っていただくため、このフリーランスITエンジニアを「プロエンジニア」と呼びフリーランスITエンジニアのブランド化を推し進めています。

ITエンジニアにとってのやりがいとは

 フリーランスITエンジニアとその他の働き方の違いとして分かり易いのは報酬の違いでしょう。スキルや経験、仕事の評価が報酬に直結するという点が大きな魅力であることは間違いありません。1つの案件ごとに得る報酬は、そのスキルや経験、貢献度に対する評価で決まるので本人次第で高収入が得られます。

 しかし本当の意味でのやりがいは、仕事に対する評価の違いです。フリーランスITエンジニアとしての仕事は「○○さんがつくったシステム」とされ、これはエンジニアにとって大きなモチベーションなのです。正社員や派遣社員の場合、成果物は会社の実績とみなされてしまい、エンジニア個人の評価につながらないことが多いものです。会社組織で働くITエンジニアが仕事に対して抱く不満の多くはここにあります。 

 フリーランスITエンジニアは、自身の目的に沿った仕事を自らの意志で選択し、かつ目標が常に見えているため、仕事に対し能動的に積極的に取り組むことができ、更にそれが自分のキャリアを形成する原動力にもなります。常に会社や上司から指示されたことを”こなす”という立場とは大きな違いがあるのです。

 能力に見合う報酬と手ごたえのある仕事、専門職としてのステータス。こうした輝かしい実りを手にすることができるのが、真のプロフェッショナルたるフリーランスITエンジニアと言っても差し支えありません。

業界の未来のために

 ライフスタイルやキャリアプランに合わせた「多様な働き方」の環境整備は、エンジニアにとっても、また広く業界の未来のためにも大きな意味があると考えます。

 ITエンジニアは、市場で評価される確かなスキルさえあれば、年齢を問わずフリーランスITエンジニアとして働き続けることができます。特に技術志向の強い生涯エンジニアを目指す方々にとって、年齢とともにマネージメントなど現場から離れなければならないことを嫌う方も多いのです。

 また、子育てをしながら、勉強をしながらなど、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせた柔軟な働き方ができることは大きな魅力なのではないでしょうか。実際に当社に所属するエンジニアにも「このプロジェクトを終えたら半年ほど海外に行ってくる」「次は新しい技術に挑戦したい」「休日に開発したアプリで起業した」といった柔軟な働き方を実現している方が数多くいらっしゃいます。

 会社組織に属して働くことには一定の安心感があり、一方でフリーランスになることには相応の責任とリスクが伴います。しかし、会社の業績悪化や派遣契約の打ち切りなど、ひとたび不測の事態が生ずることがあれば、いかに企業の正社員、大手派遣会社の登録社員といえども、安定した生活を失いかねません。一概には言えませんが、どのような働き方であっても、大切なのはITエンジニアとして市場にアピールできるスキルとキャリアを築けるかどうかにかかっているのではないでしょうか?

 ユーザ企業は優秀なITエンジニアを獲得するため、外注戦略の見直しを図り、人材の維持拡大が急務となります。そしてITエンジニアにとっては、法律が変わろうとも会社がなくなろうとも、技術力や折衝力があれば仕事はなくならないでしょう。

 ユーザ企業の皆様、そしてITエンジニアの皆様に、1つの選択肢として「フリーランスITエンジニア」について関心を持っていただければ幸いです。

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キーマンズネットとは
東京都生まれ。1992年、首都圏コンピュータ技術者協同組合(現:株式会社PE-BANK)入社。2015年より同社代表取締役。フリーランスITエンジニアと企業をつなぐ開発業務コーディネート事業、および顧客企業のマイナンバーを含む個人情報管理ソリューション事業を展開している。

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