第3回 “交渉の罠”に掛からないための「3つ」のスキル

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第3回 “交渉の罠”に掛からないための「3つ」のスキル

2016/03/22

交渉学を学べば、あなたの仕事が変わる

 前回はハーバード大学での交渉学研究と、交渉力をアップさせるためになぜ実践形式でのトレーニングが必要かというお話をしました。そこで、今回はより実際の交渉シーンに近いお話をしていきます。

 交渉には大きく分けて「分析力」「コミュニケーション力」「意思決定力」の3つのスキルが必要となります。

 交渉のプロセスは、まず情報の収集・整理をし、選択肢の検討・評価を行います。その上で判断基準を明確にしながら、最終的に交渉のシナリオを作成します。ここでの分析が不確かな状態であると、その後の判断を誤ってしまうので慎重にならなければなりません。

 このようにして準備したシナリオに基づいて、交渉相手にメッセージを発し、相手のメッセージを聞き、質問、観察、分析を行います。交渉相手の立場を考慮して、いかに自分の情報を的確に伝えるか、またはいかに相手の情報を引き出すか。同様に、いかに自分の意思を伝えるか、いかに相手の意思を引き出すか、といった「コミュニケーション力」が大変重要となります。

 最後に交渉の場で得た情報と、事前に分析した情報をすり合わせ、具体的な条件について、「受諾するか受諾しないか」「条件を付けて受諾するか」など、部分的な意思決定をするのです。このサイクルが繰り返された後、交渉相手との最終条件の詰めを行い、「この相手とこの条件で合意するかしないか」という意思決定をします。

交渉結果を大きく左右するコミュニケーション力

 交渉は相手とのコミュニケーションなしでは進んでいきませんから、3つのスキルの中でも、当然「コミュニケーション力」が大きなポイントとなります。

 何かを言うタイミングひとつとっても、相手の心証は異なってきます。また、人の伝達手段には「言語メッセージ」と「非言語メッセージ」の両方があり、特に非言語の部分によって与えられる心理的影響はとても大きいのです。

図1

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図1

 このことを理解した上で慎重に交渉に臨まなければ、自分の意思に反して交渉相手に悪い印象を与えかねません。腕組みをする癖が、相手には拒絶の意に取られてしまう。または話の過程でつい前のめりになり、知らず知らずのうちに相手のパーソナルスペースに入り不快感を与えてしまう、などというように、本当に些細なことでも影響を及ぼしてしまいます。

 声のトーン、身振り手振りや腕組みなどの仕草、そして座る席の位置、角度、距離なども相手に影響を与えるメッセージなのです。コミュニケーションの構造は図1のようになります。

気をつけるべき交渉の罠

 実際の交渉においては、相手がさまざまな仕掛けを講じてくることがあるので注意しなければなりません。仕掛けてくる罠にはどんなものがあるのかを学んでおくことは、自分が仕掛けるのではなく、相手が仕掛けてきたときに、慌てることなく対処するために必要となるものです。


 では、代表的な例を紹介しましょう。

図2

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図2

●アンカリング
 最初に見た数値や情報が印象に残って基準点となってしまい、その後の判断に影響を及ぼしてしまうこと。図2を見て下さい。15%が基準になり、7%の値引きという予定外の行動をとってしまっていますよね。

●グッドコップ/バッドコップ
 警官のコンビ、刑事ドラマの取調室の場面を想像して下さい。ドラマでよく見かけるシーンです。

若いバッドコップ:激しく、厳しい口調で「X、お前がやったんだろう!白状しろ!」
容疑者:(勢いに驚き、そしてたじろぐ)
初老のグッドコップ:柔らかい口調で「まあまあ。まだXさんがやったと決め付けるのは早いですよ。でも、昨日の○○時頃、君はどこにいましたか?お茶でも飲んで落ち着いて思い出してごらん」
容疑者:グッドコップの柔らかい口調により心を開いて「実はその時間は…」

 あるある!これも立派な「交渉戦術」のひとつなんです。バッドコップが攻撃的かつ否定的な態度を示し、グッドコップが同情的な態度を示すことで相手を揺さぶるテクニックですね。

 また、商談の中で大幅な値引きを要請されて、「ギリギリまで値下げしていまして、これ以上は、どうしても上司(ここにいない)がダメだと言っていまして…」なんていうのも変形版。つまり、1人でグッドコップ/バッドコップの両方を演じているんですね。
 その他、「ドア・イン・ザ・フェイス」、「フット・イン・ザ・ドア」なども交渉の罠として挙げられます。

 次回はここまでの内容を踏まえ、更に実際の交渉を想定したポイントをご紹介します。

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キーマンズネットとは
情報システム部門の責任者として、社内外向けに多数の業務システム開発を担当。開発全体のマネジメント、及び顧客やハードメーカー、協力会社との交渉を多数実施。現在では、その経験を活かし、交渉学をはじめプロジェクトマネジメント、情報セキュリティなど社内外向け講師を担当。唯一の趣味は、小さな居酒屋でまったり過ごすこと。

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