第4回 結果を出す「強いプロジェクトチーム」になろう

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第4回 結果を出す「強いプロジェクトチーム」になろう

情報共有システム・コミュニケーションツール 2016/03/14

「強いプロジェクトチーム」になろう

 今回は最終回です。過去3回にわたってプロジェクトやプロジェクトマネジメント、そしてプロジェクトを成功に導く実践力について述べさせていただきました。

 最後に「強いプロジェクトチーム」について見ていくことにしましょう。
 プロジェクトには有期性という基本属性があります。「始まり」と「終わり」が存在するということでしたね。プロジェクトの開始時点で、新たにプロジェクトチームを編成しプロジェクトを遂行します。そして、プロジェクトの終了時にプロジェクトチームを解散します。

 プロジェクトチームを編成する際には、そのプロジェクトに必要な経験やスキルを持った専門家を社内外から集めます。気心知れたメンバーもいるかも知れませんが、初めて顔を合わせるメンバーがいることもあります。プロジェクトチームがまとまっていないと、プロジェクトがうまく進まないことは容易に想像できます。

 では、プロジェクトが困難な状況になっても成功に向かって一丸となって進んでいく、そんな「強いプロジェクトチーム」になるにはどのようにすれば良いのでしょうか?今回はそのポイントを見ていくことにしましょう。

「強いプロジェクトチーム」の3つの条件

 私は、関西のPMコミュニティ活動でさまざまな企業のPM達と一緒に事例研究を行っています。最近の研究テーマとして「強いプロジェクトチーム」について議論を行ってきました。その内容もふまえながら「強いプロジェクトチーム」とはどんなチームなのかを考えてみましょう。

 「強いプロジェクトチーム」とは、端的に言えば「勝てるチーム」「結果を出すチーム」です。制約条件やリスクを抱えるプロジェクトの中でも、強いチーム力を発揮して「勝つ」「結果を出す」そんな「強いプロジェクトチーム」の条件は、大きくまとめると以下の3つになります。

1.ミッション・目的・目標が浸透していること

2.信頼関係が築かれていること

3.風通しの良いチームであること

 それでは、3つの条件について、具体的に見ていくことにしましょう。

「強いプロジェクトチーム」の条件

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「強いプロジェクトチーム」の条件

1. ミッション・目的・目標が浸透していること

 有名な例え話があります。豊臣秀吉の時代、大坂城の石垣を作っている3人の作業者に「あなたは今何をしているのですか?」とインタビューをしたところ、三者三様の答えが返ってきました。

Aさん「見りゃわかるだろ。石垣を作ってるんだよ」

Bさん「大坂城の石垣を作ってます」

Cさん「太閤秀吉様の天下泰平の世創りのお手伝いをしてます」

 これは、ミッションや目的がどこまで理解されているかの違いです。おそらくCさんはモチベーションが高く、良い仕事をしたのでしょうね。具体的な目標(どのような石垣を、誰が、いつまでに、どのくらいのコストでなど)を明確化することはもちろん必要ですが、「なんのためのプロジェクトなのか」「これを実現すると誰が何を喜ぶのか」ということまでチーム全員が共有すると、モチベーションが上がり、全員が同じ方向に向かって力強く進み始めます。

2. 信頼関係が築かれていること

 チームの中に信頼関係があるときとないときでは、チームのパフォーマンスがまったく違ってきます。

 少し前の話になりますが、「ROOKIES(ルーキーズ)」という野球ドラマがありました。最初の頃は先生と生徒、あるいは生徒同士の信頼関係がまったくなかった。しかし、ともに困難を乗り越える中で、次第に信頼が芽生えてきて、強いチームになった。ドラマの世界の話ですが、実際のプロジェクトでも、信頼関係を構築できるかできないかによってプロジェクトがうまく進むか進まないかが決まると言っても過言ではありません。信頼関係、やはり大切です。

3. 風通しの良いチームであること

 「1つの重大な事故の前には、29の軽微な事故が発生している。更にその前には300のヒヤリハットが発生している」有名なハインリッヒの法則です。

 風通しの良いプロジェクトチームでは、さまざまなコミュニケーション(雑談)の中で、ヒヤリハットを感知し、事前に手を打てる確率が高まります。

 それにより、その後に潜む軽微な事故や重大事故を未然に防ぐことができます。まさに「風通しの良さ」はプロジェクトを成功に近づける重要な要因ですね。

ハインリッヒの法則

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ハインリッヒの法則

 風通しの良いチームを創るには、コミュニケーション計画で、さまざまな報告、連絡、相談などのルールを明確化するということが有効ですが、それだけでは不十分です。

 ルールや手順に加えて「話しやすい雰囲気」を作り上げることがより大切です。そのためにはプロジェクトマネジャーが主体となって、相談しやすい・されやすいプロジェクトに意識的に変えていくことが重要です。

チームを一丸とする「チームビルディング」

 強いチームの3条件を見てきました。このようなチームだと、安心してプロジェクトを進めていけそうですね。しかし、放っておいても「強いプロジェクトチーム」になってくれるわけではありません。やはり、プロジェクトマネジャーが強いチームなるように主体的にチームビルディングを行う必要があります。

 右図は「タックマンモデル」です。チームビルディングは、5つの段階を経て進むという考え方です。

 まずはプロジェクトチームが形成された状態(Forming)から始まり、その後対立する時期(Storming)が現れ、その後互いに信頼できる状態(Norming)になり、更に一丸となり強いチーム(Performing)になって、プロジェクト終了時に解散(Adjourning)という流れになります。

タックマンモデルの考え方に基づき作成

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タックマンモデルの考え方に基づき作成

 前述しましたが、この5段階は勝手に進んでくれるものではありません。もしかしたらStormingの状態がプロジェクトの終盤まで続くケースもあるかもしれません。大切なことは、プロジェクトマネジャー自身が熱意と情熱を持って「強いプロジェクトチーム」を創っていくことだと思います。

 吉田松陰は「至誠にして動かざる者は未だこれ有らざるなり」と言っています。至誠の心を持って動けば、人は皆動くものだという意味です。プロジェクトマネジャーが、熱い想いを持って動けば、周りも動き出し、困難なプロジェクトも成功に導くことができると思います。

 今回の連載が、皆様の活動の一助になれば幸いです。ご愛読ありがとうございました。

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キーマンズネットとは
松下電器産業(現パナソニック)に入社後、SEとしてICTシステム構築のプロジェクトを多数担当。2008年 教育部門に転身、現在に至る。PMを中心とした企業向け教育、P2M試験対策講座の講師を担当。50歳でマラソンを始めスローランニングを楽しんでいる。PMS、PMP、ITIL foundation、情報セキュアド、阪神タイガース検定など資格を保有。

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