第3回 プロジェクト成功のカギを握る「実践力」とは?

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第3回 プロジェクト成功のカギを握る「実践力」とは?

情報共有システム・コミュニケーションツール 2016/03/07

プロジェクトには「実践力」が大切

 前回は、プロジェクトマネジメントの概要について学びました。プロジェクトマネジメントの手順や知識体系は非常によくまとめられており、プロジェクトを成功に近づけてくれるものです。

 大切なことは、プロジェクトを進める中でプロジェクトマネジメントの教えをどれだけ着実に実行できるかです。さまざまな制約条件や次々と発生する課題の中で、プロジェクトを成功に導くように進めるには、プロジェクトマネジャーの「実践力」が必要です。

 今回は「実践力」に焦点を当てて、見ていくことにしましょう。

「実践力」とは?

 右図はP2Mにおける「実践力」についてまとめた内容です。

 この図をベースにして「実践力」を見ていきましょう。

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引用 日本プロジェクトマネジメント協会:「改訂3版 P2Mプログラム&プロジェクトマネジメント標準ガイドブック」
図表6-1-1:P2Mにおける実践力の概念

「実践力」は4つの要素から構成される

 「実践力」は、「思考能力」「体系的知識」「マネジメント行動スキル」「基本姿勢」の4つの要素から構成されます。それぞれの要素を見ていきましょう。

●思考能力
いわゆる「考える力」です。論理的思考力、分析力、統合的思考力、価値評価力、仮説・推論能力などがあります。最近「ロジカルシンキング」などが脚光を浴びていますね。プロジェクトマネジャーは、このような思考能力を向上させるような学習やトレーニングを行うことが必要です。

●体系的知識
プロジェクトに関する体系的な知識です。プロジェクトに必要な専門知識、例えばICTのプロジェクトだとICTの技術に関する知識が必要ですし、プロジェクトマネジメントに関する知識も必要ですね。知識習得には、やはり学習が必要です。プロジェクトマネジャーになる方は常に学ぶ意欲や姿勢が重要です。

●マネジメント行動スキル
マネジメントに関する「能力」です。さまざまな知識は学習したり調べたりすることによって身につきますが、その知識を使って「〜することができる」状態になるには、後述する「経験」が重要になってきます。

●基本姿勢
個人の態度として現れる「意欲や価値観」です。困難な状況でもチームを勇気付けたり周囲を明るくしたり、何事も公平に考えたりするような姿勢が重要です。

「実践力」を高める「経験学習モデル」

 「実践力」を高めるには、獲得した「知識」をベースに「経験」を積んでいくことが重要です。それを行うときに有効な「経験学習モデル」を見ていきましょう。

 経験学習モデルとは、右図に示すとおり「経験→省察→概念化→実践」という4つのプロセスを経て実践力を高めていくという考え方です。

 知識をべースに実際にやってみてさまざまなことに気付き(経験)その経験から振り返り(省察)他でも応用できるよう教訓化(概念化)し、そして新たなケースに活かす(実践)という流れを繰り返していくことで実践力を高めるという考え方です。例えば、以下の様なイメージです。

経験学習モデル

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経験学習モデル
(Kolb,1984)の考え方に基づき作成

●プロジェクトマネジメントの知識体系に準拠したプロセスに従って、プロジェクトを遂行する(経験)

●プロジェクト完了時に、振り返りを行う。うまくいったこと、課題点を明確化していく(省察)

●他のプロジェクトにも応用できるよう教訓として整理し、プロジェクトマネジメントプロセスに改善を加える(概念化)

●新しいプロジェクトで実践してみる(実践)

「実践力」を高める教育体系

 右図は「PM 育成ハンドブック」の「PMに求められるコンピテンシー」です。「実践力」を高めるために必要な5つのスキル領域についてまとめられています。

 まずは、これらの5領域の「知識」を習得することが必須です。そのためには、教育体系を整備するのが効果的でしょう。
例えば、以下の様なやり方があります。

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引用 ITスキル標準プロフェッショナルコミュニティプロジェクトマネジメント委員会 2004年度版「PM 育成ハンドブック」
図22 PMに求められるコンピテンシー

●「プロジェクトマネジャー認定制度」を設ける。

●初級PM、中級PM、上級PMなどとランクを分けて、ランク別に担当できるプロジェクトの規模や難易度を規定する。

●その認定制度に合わせて、必要な研修や資格を規定する。

●規定された研修の受講や資格の取得を必須とする。

 最近では「eラーニング」と「集合研修」をうまく活用して効率的に学習することもできるようになってきました。学習で得た知識をもとに、前述した「経験学習」によって、実践力を高めていく流れになります。

「実践力」の可視化

 「実践力」の診断を定期的に行い、可視化していくことも有効な手段です。代表的なものにITSSの診断プログラムがあります。また「PMに求められるコンピテンシー」の内容をもとに、独自で診断問題を作成してもよいですね。個人の実践力が可視化できると、弱みを補い、強みを伸ばす策が見えてきます。

 また、組織や会社としての実践力の実力値も分かります。これを定期的に実施して、改善を加えていくPDCAを回していくことで、更に実践力が高まるようになります。



 いかがでしたか?プロジェクトを成功に導く重要なポイント「実践力」について、ご理解いただけましたでしょうか。次回は、プロジェクトチームについて学んでいきたいと思います。

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キーマンズネットとは
松下電器産業(現パナソニック)に入社後、SEとしてICTシステム構築のプロジェクトを多数担当。2008年 教育部門に転身、現在に至る。PMを中心とした企業向け教育、P2M試験対策講座の講師を担当。50歳でマラソンを始めスローランニングを楽しんでいる。PMS、PMP、ITIL foundation、情報セキュアド、阪神タイガース検定など資格を保有。

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