第1回 仕事を上手に進める極意!「交渉学」を学ぼう!

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第1回 仕事を上手に進める極意!「交渉学」を学ぼう!

2016/03/07

仕事がうまくいかない、実はそれ「交渉」の問題かも?

 もともと私は情報システム部門の出身ですが、教育部門で同じ職場に在籍していた一色正彦(注1氏から「交渉学」の指導を受けて、システム開発において「交渉」の知識が大変重要であると痛感しました。数多くのシステム構築を手がけて、仕事には自信を持っていた私ですが「交渉」の知識があれば、もっと良い形で仕事ができたはずだと内省したのです。

 勉強を続けるにあたり、この「交渉学」がビジネスだけでなく、社会のあらゆる場面で有効な知識だということに気づきました。それを少しでも多くの方に理解してもらうため、私はその後「交渉学」の講師となりました。これまでに、のべ2000人以上が当社の講座を受講し、受講後の満足度は99.8%と高い評価を頂戴しています。

 「交渉学」は、情報システム部門をはじめ、営業部門、調達部門、製造部門などで業務を問わず、複数の人とビジネスを行う担当者には大変有効なスキルです。つまり「交渉学」はあらゆる仕事において学んでおくべき理論と言えるでしょう。

 「交渉学」というあまり聞き慣れないキーワードかと思いますが、是非本コラムでご関心を持っていただけると幸いです。

交渉は「勝ち負け」だと思っていませんか?

 多くの方は交渉について、こう考えているのではないでしょうか。

■交渉は才能のある特別な人が行うことであり、日本人はあまり得意ではない。

■交渉は勝負事であり、最終的に「勝ち負け」になるようで良いイメージがない。

■交渉は合意に達しなければ失敗である。

 まずお伝えしたいのは、交渉は「勝ち負け」ではないということです。それから、FBIの交渉人、TPPを協議する外交官といった特別な人たちだけではなく、皆さん自身も日頃から交渉をする主体となっています。

 自己主張に長けていて、押しが強い人だけが交渉上手なわけでもありません。交渉する力は誰もが学ぶことでスキルアップできる能力なのです。日本人は自己主張や論争をあまり好みませんが、交渉は相手の利益も念頭に置いた行為です。

 右図を参照下さい。いかがでしょうか? これならばビジネスに限らず、身近に感じられ、悪いイメージもなくなるのではないでしょうか。例えば「テレビのチャンネル争い」や「家族旅行の行き先を決める」…これらもすべて交渉なのです。

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本当は交渉上手な日本人

 ビジネス交渉では相手にパートナーとして「信頼」され、永くお付き合いするのが最終的にお互いの利益に繋がりますが、ここで紹介したいのが「三方よし」という、実に500年以上前の近江商人の心得です。

 「売り手よし、買い手よし、世間よし」この3つを満足させる商売をしてこそ1人前の商人として認められました。商売で信頼を得るためにこの「三方よし」を実践していたのです。

 近年、交渉学の分野では「Win-Win–Win」という表現が使われています。「Win-Win」は聞き慣れた表現ですが、更に「Win」が1つ重ねられているわけですね。この最後の「Win」が、まさに「三方よし」で言うところの「世間よし」なのです。日本人は交渉が下手だと誤解されがちですが、昔から交渉への高度な心構えを持っていたといえます。

合意できなくても、交渉失敗ではない

 交渉学を学んで身に付くのは、駆け引きや譲歩に陥ることなく、お互いがより満足できる合意の可能性を探すための方法論です。

 従って、この相手とは満足な交渉ができないと判断したときは無理して交渉を継続する必要はありません。自分たちの利益が想定以下の場合は「合意しない」というのも賢明な選択の1つになります。

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 世の中には交渉に関する多くの書籍が出ていますね。その中でも、例えば「○○○のとき絶対に負けないセールストーク」というような、交渉のテクニックを取り上げたものが目立ちます。これらは読み物としても面白く、役に立つ内容も含まれているのですが、ビジネスにおける交渉の場で活躍しようという皆さんには、まずは交渉の本質とも言える「交渉学」を学んでほしいのです。テクニックは後からでも充分に間に合います。

 いかがでしたか?「交渉」の捉え方が少し変わってきませんか?交渉の基本となるフレームワークに従い、事前準備〜交渉〜振り返りを様々なケースで繰り返すことで、交渉学のノウハウは確実に定着していきます。実際の交渉では、当事者双方による振り返りはできませんが、実践形式の学習プログラムであればそれが可能になるのです。

 次回はハーバード大学で研究された「交渉の基本となるフレームワーク」を提示しながら、より具体的にご説明したいと思います。

注1:一色 正彦
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社顧問アドバイザ、K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 客員教授、東京大学大学院 非常勤講師、慶應義塾大学大学院非常勤講師。パナソニック株式会社の各部門で経験した国内外の企業との交渉事例に基づき、東京大学と慶應義塾大学で実施された実践的交渉学の研究に参加。その研究成果を用いて、大学・企業で交渉学の活用を広める活動を行っている。

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情報システム部門の責任者として、社内外向けに多数の業務システム開発を担当。開発全体のマネジメント、及び顧客やハードメーカー、協力会社との交渉を多数実施。現在では、その経験を活かし、交渉学をはじめプロジェクトマネジメント、情報セキュリティなど社内外向け講師を担当。唯一の趣味は、小さな居酒屋でまったり過ごすこと。

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