利用企業にインタビュー!事例で学ぶBeacon活用の可能性【後編】

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利用企業にインタビュー!事例で学ぶBeacon活用の可能性【後編】

ネットワーク機器 2016/02/15

 前回は 、大型の採用イベント(合同企業説明会)でBeaconを利用された一般財団法人大阪労働協会様にインタビューを行い、実際にBeaconを利用してみることで得られた成果や見えてきた課題についてレポートしました。

 今回は、同協会の2度目のBeacon利用となるイベントの結果をレポートします。前回の利用結果をふまえ、どのようにBeacon活用を発展させたのでしょうか?前回に引き続き宍野様と反田様にお伺いします。

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一般財団法人大阪労働協会 人材開発事業 第二統括グループ グループ長 宍野雅幸 様(左)
人材開発事業 第二統括グループ 就業支援チーム コーディネーター 反田和希 様(右)

Q1.今回のイベントは私も実際に会場に伺ったのですが、Beaconの設置場所が前回と異なることに気づきました。その理由について教えていただけますか。

A1.【大阪労働協会】
 今回のイベントでは会場全体に16個のBeaconをまんべんなく設置し、これらの設置場所を「ドリームポイント」と名付け、来場者に能動的に情報を取りに来てもらうための要所として配置しました。前回は来場者からはあまり目立たない会場内の椅子などにBeaconを設置し、そこから付近を通る来場者に向けて付近の企業情報をPUSHで通知するといういわば影の存在でした。今回はBeaconの存在を前面に押し出し、そこに来場者自らがスマートフォンでタッチすることで情報を取得してもらうことにしました。その点が、前回と大きく異なります(以下写真参考)。

前回のBeacon設置場所

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前回のBeacon設置場所
今回のBeacon設置場所

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今回のBeacon設置場所

 これは、前回のBeacon設置場所(左写真)と、今回のBeacon設置場所(右写真)の比較です。前回は来場者から目立たない椅子にBeaconを設置していたが、今回は来場者から情報を取りに来てもらうための要所(ドリームポイント)としてBeaconの存在を前面に押し出しています。

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Q2.では来場者はそのドリームポイント(Beacon機器)をどのように活用したのか、またどのような情報を発信したのかを教えていただけますか。

A2.【大阪労働協会】
 来場者がイベント会場の各所に設置されたドリームポイントにスマートフォンをかざすことにより、大きく次の2つの活用を可能にしました。

 まず1つ目は、会場のドリームポイントごとにその付近の出展企業の紹介動画を見ることができるようにしました。この動画は本イベント会場限定で閲覧できるもので、動画を見た来場者(学生)がその会社で働く自分の姿を想像できるように、当協会の取材班が出展企業を事前に訪問し、会社の雰囲気を余すことなく撮影して作成した動画です。

 そして2つ目は、会場のドリームポイントごとに様々な就活応援グッズがもらえる応援グッズ引き換えコードを発行しました。これは、来場者が会場の出展ブースを訪問する途中で、ドリームポイントにスマートフォンをかざすと、4桁の数字が表示される仕組みで、この引き換えコードを記入した会場内MAPを受け渡し場所に持参すると、出展企業などから提供された就活応援グッズがもらえるというものです。

Q3.前回のインタビューで、Beaconを基点として来場者から情報を取りに来てもらうためには強い動機づけを行なうことが不可欠であり、次回のイベントではコンテンツの充実に注力していく、というお話をお聞きしました。
それで今回は、来場者に能動的に情報を取りに来てもらうためにオリジナルコンテンツの充実や応援グッズの引き換えなど、エンターテイメント性を高める工夫をされたのですね。では実際にどの程度活用されたのか、結果を
教えていただけますか。

A3.【大阪労働協会】
 結果としては当日の受信端末総数387台に対して、Beaconの通知数は797件で、全来場者の企業ブース訪問数の平均は3.34社(前回3.3社)となりました。具体的には、Beaconから情報取得した人の平均ブース訪問数は3.70社に対し、Beaconから情報を取得しなかった人の平均ブース訪問数は2.97社でした。また、イベント当日のアプリのダウンロード数は442件(Android191件、Apple251件)。アプリを利用した人の平均ブース訪問数は3.40社(Android平均3.36社、Apple3.43社)に対し、アプリを利用しなかった人の平均ブース訪問数は3.09社でした。

 これらの結果から、Beaconやアプリをしっかり活用する「意欲の高い」来場者がブース訪問数も多いことが分かります。これはBeaconからの情報取得を目的として、参加者は会場内を回遊することにより、多くの企業ブースの前を通過します。その際にBeaconを利用しない参加者と比較し、より多くの企業から声掛けされる機会が増えたと考えられます。現在の若者は自分から積極的にブースを訪問せず、壁際や休憩スペースにかたまり、企業冊子を読み込む傾向があり、企業担当者からの声掛けが多ければ多いほどブースに着席する数が増えていると考えられます。

入場前にBeaconの設定やアプリのダウンロードについて係員からレクチャーを受ける学生

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入場前にBeaconの設定やアプリのダウンロードについて係員からレクチャーを受ける学生
ドリームポイントから情報を受け取る来場者

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ドリームポイントから情報を受け取る来場者
ドリームポイントでもらえるグッズの内容

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ドリームポイントでもらえるグッズの内容

Q4.Beaconから情報を取得した人とそうではない人との平均ブース訪問数に差が出るのは想定できますが、3.70社と2.97社で0.73社の差は大きいですね。さて先程、企業冊子のお話が出ましたが、今回は、会場で来場者に配布する企業冊子を作成されませんでした。前回のインタビューで、Beacon導入の目的のひとつが「イベントのペーパーレス化」ということをお聞きしましたが、徐々に減冊されていくものと考えていました。どのような経緯からこのような思い切ったご判断をされたのか教えていただけますか。

A4.【大阪労働協会】
 今回のように企業情報を冊子で配布せず、電子版企業情報としてアプリで閲覧することに舵取りをすることは、公共事業としては勇気のいる決断でしたが、近い将来この手法がスタンダードになっていくことは想像に難くないと思います。他の公共事業ではしていないことでも、それほど先走り過ぎた取り組みとは感じていません。

 ちなみに今回のペーパーレス化により、およそ75万円のコスト削減が実現しました。具体的には、100社規模のイベントの場合、想定参加者数は1,000〜1,500名程度となります。ここから必要十分な数量として1,500〜2,000部を印刷する場合、原稿制作や印刷費用を合わせると約100万円程度必要となります。しかし今回は企業冊子の代わりにA3サイズの2つ折りの簡易資料(会場図面のみ)の作成に留めましたので、このデザインに15万円程度、またその印刷は内部で行いましたので、多く見積もっても合計25万円で収まりました。

 つまり結果として75万円のコスト削減が実現したことになります。アプリ制作に係わる経費を考えても、3〜4回程ペーパーレスのイベントを実施すれば回収できます。また、企業情報冊子を作成していた時は入稿日までに原稿を仕上げる必要があり、この原稿チェックなどの作業に相当な人員コストを費やしていました。今回冊子を作成せず電子化したことにより、スケジュールに余裕ができるとともに、電子版企業情報は万が一修正が発生した場合でも、当日対応できるためリスクヘッジとしても効果的でした。

Q5.実際に削減できた金額や効率化できた業務をお聞きすると、ペーパーレス化の必要性が理解できます。私も会場で企業情報冊子の有無について来場者(学生)に直接感想を聞く機会がありましたが、「紙の企業情報冊子が無いことはあまり問題ではないです。企業ブースで実際に話を聞いてみれば良いことですから。」という声を聞きました。ペーパーレス化は、来場者が冊子に書かれている内容だけに頼ってしまう(完結してしまう)ことを避け、ブースに座るという行動の後押しになったのではないかとも感じます。今回のペーパーレス化に対する来場者の受け取り方はどのようなものだったと思いますか?

A5.【大阪労働協会】
 来場者アンケートの結果を踏まえてお答えしますと、企業情報冊子を配布した7月のイベントでの、イベント自体の満足度は68%(大変満足+満足)でした。それに対して冊子を配布しなかった今回のイベントでは67%となっており、冊子の有無で満足度に影響はないものと思います。当協会としては、次年度以降のイベントでも可能な限りペーパーレス化に取り組み、コストや資源の無駄をなくす努力を続けていきたいと考えています。

Q6.ありがとうございます。ではここまで2回に渡り「事例で学ぶBeacon活用の可能性」と題し、大阪労働協会様のBeacon利用に関するインタビューをお届けしてきましたが、最後に、これまでのBeacon活用を総括いただき、今後の活用の方向性を教えていただけますでしょうか。

A6.【大阪労働協会】
 2回目のBeacon活用を終えて見えた課題としては、アプリはイベントへの集客としても利用価値があるはずだということです。イベント専用のアプリでは、イベントが終わった後にアンインストールされる可能性が高く、これを如何に日常的に利用してもらえるものにしていくか、ということを検討していきたいと考えています。

 そうすることで「就活に役立つ便利なアプリ」という認識をもってもらい、日に日にアプリ取得者が増えるような状況を作りつつイベントの告知ができ、結果として集客につながるのであれば、Beaconやアプリの継続的な活用は費用対効果の面で申し分ない投資であると言えると思います。

現在のイベント専用アプリから、就活のためのアプリとして日常的に活用してもらうことによって、「アプリからイベントへの集客」というBeaconの醍醐味であるO2O利用が実現するということですね。では、導入支援側である弊社の担当者からお願いします。

A6.【シナジーマーケティング】
 おっしゃる通り、日常的にアプリを利用してもらうことが非常に重要です。加えて利用者にとって有用であることが絶対条件であるとも思います。有用なアプリはアンインストール率が低く、プッシュ通知を送ったり、Beacon通知が送られてきた際の開封率が跳ね上がります。その有用な情報を「利用者ごとに」「利用者が意識して取得しに行かずとも」「利用者にあった適切なタイミングで」自動的に送られてくるのが、O2Oの真の目的であり、O2Oだから可能なことだと思います。弊社はこれを目指していきたいと思っています。

 例えば、店舗に近づいた時にクーポンを配布、という仕組みはBeaconのよくある事例ですが、これは「利用者が意識して取得しに行かずとも」は満たしていますが「利用者ごと」ではなくバラマキであり、また「利用者にあった適切なタイミング」とは言い切れません。どちらかというと「お店に取って適切なタイミング」なのかも知れません。ですので、まだまだBeacon導入は黎明期にあり、どのような活用がベストなのか各社が模索している段階にあると感じます。当社は今回のBeacon活用で得たノウハウをもとに、強みであるマーケティングに関するノウハウとBeacon(O2O)を絡めて、先進的なソリューションを生み出していきたいと考えています。

大阪労働協会のBeacon利用に関するまとめ

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シナジーマーケティング株式会社
プロデュース:事業本部 西日本事業本部 クリエイティブグループ 大矢良太郎(左)
企画・営業担当:事業本部 西日本事業本部 第二営業グループ 多田理紗(中)
技術担当:技術本部 ソリューション開発部 第一ソリューショングループ 森川琢磨(右)

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キーマンズネットとは
2005年、メールマーケティングシステムの開発・提供を行っていたインデックスデジタル株式会社(現シナジーマーケティング株式会社)に入社。それから現在に至るまで、シナジーマーケティング株式会社の広報業務に従事している。

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