IoT時代の組織マネジメントで考えるべき「3タイプの移行モデル」

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IoT時代の組織マネジメントで考えるべき「3タイプの移行モデル」

2016/01/28

 前編では「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載されたマイケル・ポーター教授/PTC社長兼CEO ジム・ヘプルマン氏共著の論文から、スマートコネクティッドプロダクツ(接続機能を持つスマート製品)が“企業間競争”にもたらす影響について紹介した。後編では接続機能を持つスマート製品が“企業内”に及ぼす影響について採り上げる。論文の解説は、PTCジャパン SLMセグメントセールス/事業開発担当バイスプレジデントのアシャー・ガッバイ氏だ。

データ分析前に“データレイク”を作ることで、データの利用価値はさらに高まる

 まず今回の論文では、現在収集できるデータを3つに分類して説明している。1つ目が従来通り、企業内で生成されるもので、サービス履歴や保証のステータスなどが該当する。2つ目が天候やサプライヤの在庫状況など社外から入ってくるもの、そして3つ目が、ユーザの位置情報や利用状況など接続機能を持つスマート製品からリアルタイムで収集されるものだ。

「IoTの時代には、社内、社外、接続機能を持つスマート製品の3つのデータ源から収集したデータを組み合わせ、“データレイク”という形で一元的に管理する仕組みが求められる。このデータレイクは、データ分析を行う前段階として作られるもので、いわば複数のフォーマットによる生データの集合体だ。ポーター氏は、データを解析する前にデータレイクという形でデータが組み合わさることで、データの利用価値はさらに高まると指摘している」

 さらにデータ解析には4つのタイプがあるという。順番に記述的解析、診断的解析、予測的解析、処方的解析だ。

 記述的解析とは、その製品の状態や運用状況が分かるもの、診断的解析とは、製品に何か問題が発生した時にその原因が分かるもの、予測的解析とは、過去のデータを分析することで、次にいつ、同じような問題が発生する可能性があるかが分かるもの、そして処方的解析とは、外部のナレッジデータベースとも組み合わせて、問題発生時にどんな対処をすればいいかを示してくれるものだ。

「データレイクがあることで、これら4つの解析が可能になる」

新たな情報源が生まれ、解析により価値が見いだされる

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新たな情報源が生まれ、解析により価値が見いだされる
資料提供:PTCジャパン (c) Copyright 2016 PTC

接続機能を持つスマート製品は、企業のバリューチェーン全体に大きな変化を及ぼす

 次にガッバイ氏は「接続機能を持つスマート製品は、製品設計や製造、販売、マーケティング、アフターサービスなど企業のバリューチェーン全体に影響を及ぼすもの」だと説明し、「これが2つめの論文の主要部分」だと強調した。

 例えば製品開発部門では、新たな製品設計のアプローチ方法が必要になる。接続機能を持つスマート製品には様々なITが組み込まれており、製品設計の場面ではITと研究開発の連携が進んでいる。そこでは設計業務をシステムエンジニアリングの問題として捉えて、開発作業を進めなければならない。

 また接続機能を持つスマート製品では、ユーザインタフェースを製品自体に組み込む必要がなく、スマートフォンやタブレット端末でその機能を提供できるようになる。製品の種類についても、例えば農業用トラクターなら1モデルだけを開発し、馬力などの機能は搭載したソフトウェアの設定変更で行うことも可能になる。物理的に複数のモデルを作る必要はなくなり、開発コストの大幅な低減も可能となる。

 さらにアフターサービスを担当する部門も、接続機能を持つスマート製品によって大きな影響を受けることになる。

「接続機能を持つスマート製品のもたらす影響は、このアフターサービスの領域へのものが一番大きいのではないかと、個人的には考えている」

 接続機能を持つスマート製品から収集されるデータを活用することで、例えばメンテナンス作業の現場で、今後故障が起こりそうな箇所を予測することが可能になったり、現場で持ち回る部品の量を減らすことが可能になったり、さらにはサービスエンジニアを派遣する回数を減らすことができたりするようになる。

 またアフターサービスの領域で大きな役割を果たす可能性があるのが拡張現実(Augmented Realit:AR)と呼ばれるテクノロジーだ。人間が見ている現実の世界に、様々な情報を重ね合わせて提供することができる技術で、例えば現場に派遣されたフィールドエンジニアが、手元のタブレット端末をカメラモードにして製品にかざすだけで、前回作業をしたのはいつか、あるいは今後3ヵ月以内にどんな保全作業をしなければならないかといった情報をディスプレイ上に自動表示させることが可能になる。

「今後企業は各部門への影響を正確に分析し、その機能を変化させていかなければならない」

IoT時代の組織をマネジメントするための3つの移行モデル

 さらに接続機能を持つスマート製品が登場してきたことで、企業には新たな組織形態が求められることになる。

 まずIT部門と研究開発部門との協業が重要になり、また開発部門と運用部門が一体となって製品のライフサイクルを短縮し、より市場ニーズに即した製品を継続して提供していく必要がある。いわゆるDevOps体制の構築だ。

 次にデータを全社的な視点で分析/活用するための統合型データ部門も必要となり、先進的な企業では、既にCDO(最高データ/解析責任者)という役割を設置したところもある。さらには顧客を成功体験に導くような部門も必要で、これにより顧客との関係維持や製品のアップデートに繋げていくことが求められる。

新たな組織形態

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「接続機能を持つスマート製品の登場によって、企業では新たな役割や機能が生まれ、様々な変化が発生することになる。経営層はこれらをうまくマネジメントしていかなければならない。具体的なアプローチ方法としては大きく3つで、1つ目が事業部間連携によるステアリングコミッティ、2つ目がセンター・オブ・エクセレンス(CoE)、そして3つ目が全く新たな独立部門を作ってしまうやり方だ」

 例えば医療機器メーカーの米VENTANAでは、各部門の代表者が集まってステアリングコミッティを形成し、IoTに関わる取り組みを進めている。米GEでは、接続機能を持つスマート製品に関する専門性を持った本社独立部門(CoE)を設置している。また独ボッシュでは、損益責任まで持つ接続機能を持つスマート製品に関する主管部門を設けている。

「論文の中でポーター氏は、接続機能を持つスマート製品やIoTは、コンピュータ、インターネットに続く第3のIT革命だと言っている。しかしこの革命を企業の中から捉えた時には、“進化”として扱うべきだとも指摘している。今後企業は、接続機能を持つスマート製品によってもたらされる変化をうまくマネジメントしていかなければ、IoTの取り組みを進めることはできないだろう」

必要となる移行モデル

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(レッドオウル 西山毅)

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