IoT時代の企業間競争に勝つために検討すべき10の戦略的選択肢

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IoT時代の企業間競争に勝つために検討すべき10の戦略的選択肢

2016/01/27

 今、世の中ではスマートコネクティッドプロダクツ、即ち“接続機能を持つスマート製品”が爆発的に普及しつつある。企業はスマート製品から収集されるデータを活用して製品設計から製造、運用、サービスを大きく変化させている。その目的は新たな価値を創造することだ。

 こうした現状を背景に2015年、ハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・ポーター教授とPTC社長兼CEOのジェームス・へプルマン氏がIoTに関する論文「How Smart、Connected Products Are Transforming Companies」を共同執筆した。その日本語版は2本に分けて「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載されている。

 今回は前編として、その1本目で取り上げられた“接続機能を持つスマート製品が企業間の競争にどのような影響をもたらしているのか”について紹介する。論文の解説を行ったのは、PTCジャパン SLMセグメントセールス/事業開発担当バイスプレジデントのアシャー・ガッバイ氏だ。

接続機能を持つスマート製品の開発には、新たなテクノロジースタックが必要

 解説の冒頭、ガッバイ氏は「ポーター教授と米PTCのへプルマンによる今回の論文は、IoTへの取り組みを検討している、あるいは既に進めている数百の企業に対して複数年にわたるインタビューを行い、その調査結果も踏まえて発表されたものだ」と説明。今回の論文が単なる学術的なものではなく、企業のIoTに対するリアルな取り組み状況を反映したものであることを強調した。

 その日本語版は「DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー」の2015年4月号と2016年1月号の2回に分けて掲載され、前編では接続機能を持つスマート製品が企業間競争にもたらす影響、後編では企業内にもたらす影響について説明されている。ここでは前編に対するガッバイ氏の解説をレポートする。

 始めにガッバイ氏は接続機能を持つスマート製品の定義について言及し、「スマート化された製品というのは、従来の製品そのものの機構に加えてソフトウェアが組み込まれ、さらにインターネットに接続する機能を持つものだ」と説明した。

アシャー・ガッバイ氏

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アシャー・ガッバイ氏
PTCジャパン SLMセグメントセールス/事業開発担当バイスプレジデント

 また接続機能を持つスマート製品の開発には、全く新しい技術の集合体、つまりテクノロジースタック(=技術インフラ)が必要になるという。

「接続機能を持つスマート製品には通信機能やセキュリティ機能、ID管理機能が必要となる。さらにはこうした技術を自社内で担保するのか、あるいは社外から調達するのかについても、企業は意思決定しなければならない」

接続機能を持つスマート製品は4つの機能を提供する

 次に接続機能を持つスマート製品の提供する機能は、大きく4つに分類される。「モニタリング」「制御」「最適化」そして「自律性」だ。

 まずモニタリングは、製品メーカやユーザが、製品に組み込まれているセンサからデータを取得して、その製品の運用状況を監視していくものだ。次に制御は、実際に人が製品の近くにいなくても、遠隔操作で製品の運用をコントロールすることを可能にするもの、最適化は、制御に加えてその製品の運用状況を最も適した状態へと移行するもの、そして自律性は、人が介在することなく、様々なアルゴリズムを使って製品の自律的な運用を可能にするものだ。

「これら4つの機能によって製品運用の効率化が実現され、それがサービス提供時の効率化にも繋がる。そこから製品の差別化、さらには様々な製品を顧客のニーズや要件に合わせて提供していくことも可能になるだろう」

差別化と業務の有効性でブレークスルーを実現

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差別化と業務の有効性でブレークスルーを実現
資料提供:PTCジャパン (c) Copyright 2016 PTC

 ここで自律性の事例として、ガッバイ氏は米BOSTON ENGINEERINGが開発したマグロ型ロボットを採り上げた。このロボットには多くのセンサとアルゴリズムが組み込まれており、水中を自律的に泳ぎ回ることができるようになっている。人を救助したり、海底の地図を作成したりする場面で活用されるものだ。例えば海底の地図を作るためには、深海まで潜る必要があるが、そこまで制御のための通信は届かない。そこでロボットが自律的に動いて作業を行い、データを取得して水上まで戻ってデータを連携するのだ。

自律性を備えるマグロ型ロボット

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自律性を備えるマグロ型ロボット
資料提供:PTCジャパン (c) Copyright 2016 PTC

今後企業は、10の戦略的選択肢の検討を迫られることになる

 ポーター教授は1980年に著書「Competitive Strategy(競争の戦略)」を発表し、その中で5つの競争要因(5 Forces)を提示した。買い手の交渉力、既存企業同士の競争、新規参入者の脅威、代替品や代替サービスの脅威、サプライヤの交渉力である。

 今回の論文ではこの5つの競争要因の観点から、接続機能を持つスマート製品が業界や企業間競争にもたらす影響を分析しているという。

「接続機能を持つスマート製品の登場によって、製品の運用の仕方が変わってきただけでなく、製品が他の製品やシステムとも連携できるようになってきた」

 例えば農業用トラクターがスマート化することで、他の製品と通信したり、あるいは気温、土壌、風の状態を管理している他のシステムと連携したり、更にはそうしたシステム全体を管理している“システムのシステム”とも接続することが可能になってきている。企業間の競争は、製品自体の機能から、製品システム全体としての性能へとシフトしているということだ。

「接続機能を持つスマート製品は、従来の業界の構造そのものを変え、さらにはその境界線を外に押し広げていく。こうした新たな環境が作られつつある状況を企業として考えた場合、大きなビジネスチャンスにもなるし、逆に脅威にもなり得る」

 例えば企業は、業界の中でより幅の広いサービスを開発して提供することが可能となり、また新たなビジネスモデルに移行することもできるだろう。しかしこの変化に素早く対応できない企業は、他の企業が業界に参入してくる、あるいはIT企業が自分の業界で新たなサービスを提供し始めるという脅威に脅かされることになる。

「接続機能を持つスマート製品やIoTの世界に進もうとしている企業は、まず自社業界の状況を正しく分析し、必要に応じて変化していくことが求められている。そのためには、以下10の戦略的選択肢を検討していくことが必要だ」

(1)どの製品機能を追求するか
(2)機能は製品に組み込むか、クラウドか
(3)開放的なシステムか、閉鎖的なシステムか
(4)技術開発は社内か、外注すべきか
(5)どのようなデータを取得すべきか
(6)データの使用権、アクセス権をどのように管理するか
(7)販売、サービスチャネルを排除すべきか
(8)ビジネスモデルを変えるべきか
(9)データを第三者に販売するか
(10)事業範囲を拡大すべきか

 後編では、接続機能を持つスマート製品やIoTが企業内にもたらす影響について紹介する。

(レッドオウル 西山毅)

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