Google X創設 セバスチャン・スランが描く人工知能の未来(後編)

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Google X創設 セバスチャン・スランが描く人工知能の未来(後編)

2015/12/28

前編はコチラよりご覧いただけます。

人工知能時代を乗り切るには意識改革が必須

「何でもいいので職業を1つ選び、人工知能に1年間学習する時間を与えるといい。おそらく人間よりも効率的にその仕事をこなせるようになるだろう」。

ワークスアプリケーションズ主催「COMPANY Forum 2015」のオープニングセッションで、Google X創設者で現在はUdacity共同創業者兼CEOのセバスチャン・スラン氏は断言する。

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ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者、牧野正幸氏と、Google X創設者、現Udacity共同創業者兼CEO、セバスチャン・スラン氏

その影響が最も顕著に出始めているのが、オフィスワークの現場だ。フォーラム当日の12月10日、主催のワークスアプリケーションズは世界初の人工知能型ERP「HUE」を発表した。
 
HUEは、「一度入力したものは二度入力させない」というコンセプトのもと、過去の入力内容を記憶、学習し、単語などを一覧表示でサジェストする。カラムごとに入力が必要な場合も、サジェスト一覧から選択して全項目の入力データを決定、確定するだけでカラムごとにデータを自動で振り分けてくれる。この精度は、HUEを使えば使うほどに向上する。

勘定科目を入力すると、次のセルに入力するだろう単語を過去の入力から推測、一覧で提示する

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勘定科目を入力すると、次のセルに入力するだろう単語を過去の入力から推測、一覧で提示する

もう1つユニークなのは、人事支援機能だ。例えば課長職の昇格候補者を選ぶ時、これまでは昇格候補の条件をあらかじめ入力して検索をかける必要があったが、HUEでは過去のデータをクローリングしてどのような人物が候補に選ばれたかを分析、サジェストを行う。現在は違う条件が必要となればその条件を学習し、次回サジェストから反映される。

過去の課長職の昇格候補条件から、推奨される候補者を自動的にサジェストする機能もある

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過去の課長職の昇格候補条件から、推奨される候補者を自動的にサジェストする機能もある

また、LINEに近いGUIや操作感のコミュニケーションツール「HUE Talk」のほか、FacebookやLINE、社内メールなどと併せて社員の業務内容や社員同士のやりとりおよび関係、社会活動を自動分析し、人事評価に必要な情報をまとめる機能も提供する。もちろん、社員自身が収集対象を変更することも可能だ。

デモンストレーションを見たスラン氏は、「ビジネスにおける人工知能時代の幕開けを感じさせる」と評価し、「HUEを入れたら、入力業務の3割が削減されるかもしれない。入力業務に従事していた社員は、仕事を奪われることになる」と警告した。ただし、ここで人工知能を危険視するのは間違いだ。単調で反復的な作業から、よりクリエイティブな仕事へと業務内容をアップグレードするチャンスと捉えるべきだ。

「人工知能は人間を単純労働から解放し、より人間らしい仕事をする機会を与えてくれる。企業や社員は、そんな発想へ切り替える時期に来ている」と、ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者、牧野正幸氏は強調する。

Udacityが育てる「人工知能時代に生き残る人材」

スラン氏は、テクノロジーの限界を押し広げたいと考え、その中の1つである人工知能に取り組んだ。「そして次は、人間の限界を押し広げる番だ。それをサポートするために開設したのが、Udacityだ」。
 
Udacityは、人工知能時代に登場する新しい技能に備えて人材育成するためのオンライントレーニングサービスだ。19世紀に構築された大学教育で、果たして未来に必要な技能を生み出せるのか疑問に思ったスラン氏は、既成概念の枠組みから逃れた自由な発想を培う教育の場が必要と考えた。

また、教育の場自体も物理的な教室に出向くのは非効率で、時代の変化速度にそぐわないと同氏は言う。「技術は目まぐるしく進化し、私たちが新しい技能を吸収して転職するスピードも加速化するだろう。大学教育は一度きりのものではなく、人生の中で何度も学ぶ機会を提供する存在になる」。オンライン教育であれば、電車や車の中、もしかしてトイレの中も勉学の場に変えることができ、場所や時間に捉われずスキルアップが図れる。

「個人のスキルアップは、企業にとっても非常に重要だ」。そう述べるスラン氏は、Udacityと提携してコンピュータ科学の修士号が取得できる講座を運営するAT&Tは、在籍する社員に無償で教育支援を実施しており、Udacityの講座を受講する社員は1,000人を超えると明かす。

「AT&Tには終身雇用制度もあるが、それに甘んじて何も学ばず現状維持したままの社員は、10年後には役に立たなくなると考え、教育制度を導入している。若いGoogleでも、当初はWeb技術に強いエンジニアを多く採用したが、最近はモバイルへ移行が進んでいることから、10〜15年前に入社した技術者のスキルは時代遅れになりつつある。常にスキルアップを図れる社員教育の提供は、人工知能時代でますます重要になると思う」(スラン氏)

人工知能の時代は、もう既に始まっているとスラン氏は繰り返す。企業は目の前の現実を受け入れ、人工知能を活かすイノベーションに本気で投資すること。そして、社員には新しい技術や業務を学び触れる機会をきちんと与えること。そして、社員個人もただ人工知能を恐れるのではなく積極的に受け入れ、自らのクラスチェンジに活かすこと。それが人工知能の時代を乗り切るヒントになるだろう。

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